ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『田中さんはラジオ体操をしない』

2011-06-04 22:41:48 | 新作映画

----ぶっ。変なタイトル。
しかも、この男の人カウボーイハットで
ギター抱えているし…。
これってドキュメンタリーだよね。
どんな人ニャの?
「そのタイトル、そのまんまの人。
この田中哲朗さんは、
30年前に毎朝のラジオ体操を拒否したために
大手電機を解雇されたんだ。
それ以来、抗議のために
会社の前で毎朝プロテストソングを
歌い続けているんだ
(八王子に行けば会える)」

----えっ。それだけの理由で解雇されたの?
「まあ、会社もそんなにバカじゃないから、
表向きは、地方への異動命令に従わなかったからってことになっている。
しかし、それまでにもこの会社では、
社長が変わったのをきっかけに、大々的なリストラを敢行。
このラジオ体操は、
給料が払われない始業前の時間に行われていることからでも分かるように
会社への忠誠心を確かめるための踏み絵となっているんだね。
で、彼はそれには応じず、ひとり席につき、
ラジオ体操する同僚たちをじっと見つめる。
そういうことを繰り返すうちに、給料は何度も減額。
会社の仲間からは無視され、
親しくしていたマンドリンクラブの仲間も離れていく。
一方で、労働組合の役員選挙においても
会社へ支持の候補と戦う」

----ニャるほど。それだったら目をつけられても仕方ないよね。
みんなが離れていくのも分からない気がしないでも…。
だって、食っていくためには会社から離れられないもの。
「そこが、
やはり世代による考え方の違い、
いや、やはり個人の生き方の違いなんだろうね。
以後、彼の戦いは四半世紀、
14人の総理大臣と3人の社長が交代した年月を超えて、
いまも続いているんだ」

----四半世紀…。
子どももいるんでしょ。
彼らは、どんなふうに自分たちのお父さんを見ていたんだろう?
第一、養っていけるの?
「そこなんだ。
この映画、第一の興味は…。
自分だけの問題だったら、
まあ、理解できないでもない。
でも彼には家族がいる。
その家族への思い、
また、家族は彼をどう思っているのか?
一見、ひねた見方に見えるかもしれないけど、
そこが、この映画に対するいちばんの見どころ。
彼を支持して、株主総会で一緒に闘う仲間、
また、彼と同じように学校の公式行事で
『君が代』の起立斉唱をしなかったことから、
度重なる停職、減給処分を受けた女性教師なども出てくる。
彼女は言う。
『「君が代」の思想性以前に、選択の自由がないのは独裁国家と同じだ』。
これも分かる。
折しも、この映画を観た日、
公立校の教職員に君が代の起立斉唱を義務づける全国初の条例案が
大阪府議会で成立した。
こういう時代の風潮の中、
反権威、不服従をモットーとする彼の生き方は、いよいよ特異性を放つ。
でも、ここではその思想云々よりも、
さっき言った、彼の生き方と家族の関係。
これが最重要ポイントだと思う」

----監督がオーストラリア人女性ニャンだよね。
「そう、マリー・デフロスキーさん。
インターネットで田中さんの粘り強い闘争を知ったらしい。
人生、だれにでもそれは一回しかない。
その人生の大半を、このこと(闘争)に欠ける彼の信念。
その生き方を、一家の長である彼が貫くということは、
彼の家族の在り方、みんなの生きる道にも大きな影響を及ぼす。
それを受け入れる家族とは?
くどいようだけど、
やはりここだね、ポイントは…」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「確かに、相当の覚悟が必要だよニャ」身を乗り出す

※彼の活動を2回報じた新聞、それはやはり「東京新聞」だった度

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