※「黒猫のうたた寝」のにゃんこさんからいただきました。
映画『おばちゃんチップス』の提携商品です。
----変わったタイトルの映画だね。
おばちゃんが主人公ニャの?
「う~ん。正確には違ったね。
主人公は船越英一郎演じる家弓修平。
試写状の封筒に入っていたのが、
コダックの印画紙に焼かれた
どぎついまでのおばちゃんたちのカラー写真。
有名な役者はいない上に、
封筒には船越英一郎の手書きの文字が添えられている。
ぼくもまったく想像がつかなかったね」
----監督は『タナカヒロシの全て』の田中誠だよね。
確かあの映画、肌に合わないって言ってなかった?
「うん。完全スルー。
何を言っても悪口になりそうだったからね」
----でも今回は違ったんだ?
「そうなんだよね。
同じ監督の映画とはとても思えない。
前作はタナカヒロシを演じた鳥肌実への遠慮もあったのか、
それともそういう作風にしたかったのか、
不器用な主人公・タナカヒロシの姿があまりにもありえなさすぎて、
笑いとしてまったく弾けていなかった。
ところが、今回の主人公・修平のキャラは親近感が持てる。
同じように生きることに不器用ではあっても、
修平は逆にどこにでもいそうな普通の男。
監督はビル・マーレイを引き合いに出しているけど、
船越英一郎は確かにその匂いを醸し出していた。
いわば、あまりカッコよくない男の恋物語」
----えっ、恋のお話ニャの?
「うん。それもある。
と言うことで、ここで話を分かりやすく整理しよう。
映画は、
東京でリストラにあった会社員・家弓修平(船越英一郎)が
長年夢見た方言の研究をするため
大阪にやってくるところからスタート。
修平の下宿先は、
千春(京唄子)が営む昔ながらの雑貨屋「樋元商店」。
創業当時から、おでんや、お揚げといった食べ物も提供している。
さてそんな中、気立てのやさしい修平は
毎日店に訪れる勝手放題のおばちゃんたちに圧倒されながらも、
次第にみんなの心を掴んでゆく。
向かいのアパートに住むホステスの麻衣子(misono)もその一人。
やがて2人の間には、淡い恋が芽生えてゆく。
ところがそんなある日、地上げ屋の魔の手が「樋元商店」に迫る!
修平はその危機を救うべく、起死回生のアイディアを思いつくが…」
----ニャんだか、ベタだニャあ。
「そう。お話だけだとね。
ところがここで描かれている<小宇宙>が素晴らしい。
狭い路地に路面電車。
四つ角ごとに交わされるおばちゃんたちの井戸端会議。
どこをとっても平成の今には見えない。
まるで<昭和>がそのまま甦ったかのよう。
2階の窓を開けると、そこはすぐ隣の家の窓。
ベランダには女物の下着が吊るされて美女がいて、
そのベランダを通り抜けて
相手の部屋にも入っていける…。
なんか、こういうの60年代のスパイダースの映画にあったな。
監督いわく『三丁目の夕日、CGいらず』(笑)」
----あっ、その表現って分かりやすい。
「それと、もう一つこの映画をオモシロくしているのは、その言葉。
主人公を大阪の人に設定せず、
東京人とすることで
その目から見た大阪を描いている。
彼は大阪の大学で言語学の講師の職に就くわけだけど、
この講義が時折映画に挿入。
これによって観る側も
東京弁と大阪弁の違いをこの学びとり、
映画をより深く味わうことができる。
しかも監督は
『東京弁なのにイントネーションだけ大阪弁』という手法を採用」
----あっ、そうか。
それなら、「実際の大阪とはここが違う」とか突っ込まれても大丈夫だ。
「そういうことだね。
撮影、照明に
名コンビ、佐々木原保志&安河内央之を迎えるなど、
そのスタッフ陣容一つとっても、
この映画は
タイトルから類推されるような
ゆる~い映画ではなく、
実は相当に細かい神経が行き届いていることが分かる」
----下北沢を舞台にしたあの映画では
「ガマンできなかった」みたいだけど、
今度は違ったってことだよね。
「しっ!(汗)」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「猫にも方言はあるのかニャ」
※おばちゃんパワーで元気も出る度
人気blogランキングもよろしく
☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)