ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ロッキー・ザ・ファイナル』

2007-01-26 18:12:52 | 新作映画
(原題:Rocky Balboa)

----今度の『ロッキー』って
16年ぶりなんだって?
「うん。
前作『ロッキー5/最後のドラマ』が
監督に第1作のジョン・G・アビルドセンを迎えて作ったにもかかわらず
クライマックスをストリートファイトにしたことなどで、
ファンの評価が低く、
シリーズ最低の興行収入に終わってしまった。
今回は、その汚名返上と言うわけだね」

----と言うことは、あのリング上での戦いが再現されているんだ。
「そういうこと。
しかもクライマックスに限らず、
全編が『ロッキー』第1作にそっくり。
まるでアナザー・バージョンを観ているかのよう。
今回の『ザ・ファイナル』の物語は
エイドリアンの命日から始まる。
ロッキーが地元フィラデルフィアの街をさまよい、
エイドリアンとの想い出の地を訪れるたびに、
彼女の面影が第1作の映像によって
オーバーラップされてくる」

---あっ、ペットショップやスケートリンク…。
「よく覚えているね。
エイドリアンとの想い出に生きるロッキーは、
自らが経営するレストランで
昔の試合を客に語って聞かせる毎日を送っている。
だが愛する妻との間に生まれた息子のロバートは
親の七光りによってようやく就職できたこともあり、
有名人であるロッキーに対して複雑な感情を抱いている。
闘いの日が過去のものとなり、
息子ともしっくりいかないロッキー。
心の空白が埋めきれない彼は、
再びプロボクサーのライセンスを取得することを決意。
一方、リングでは
現役ヘビー級王者ディクソンが向かうところ敵なし。
その<瞬殺>ゆえにファンからは強烈なブーイングを浴びていた。
そんなある日、スポーツTV局が、
ロッキーとディクソンの対決をCGでシミュレーションし、
これが大きな話題を呼ぶ。
そこでディクソンのマネージャーは、
チャンピオンの人気挽回のため
ロッキーとのエキシビション・マッチを企画。
かくして映画はロッキーの復活への路を描いてゆく…」

----ゴクッ。もちろんポーリーも出てくるよね?
「もちろん。
彼が勤める肉屋で肉をサンドバッグがわりに叩くシーンもある。
あ、ついでに言えば、生卵の一気飲みも、犬をつれて街を走るシーンも、
そしてロッキーと言えばこれ、
『Gonna Fly Now』が最高潮に盛り上がるフィラデルフィア美術館の階段もね」

----あらら。本当に同じだ。
でも、えいは確かこの第1作を…。
「そうなんだよ。
リアルタイムで最初に観たときから
どこがそんなにいいのか分からなかった。
と言うのも、物語がすべて<お約束>。
街をさまよい無目的に生きる若者が
チャンスをモノにして努力の末、愛と栄光を掴む。
決して悪い話じゃないけど、
主人公に感情移入がしづらかった。
リングでの試合経過は、
ラウンドを示すボードだけで次々と進んで
あっという間にファイナル・ラウンドがやってくる。
『シンデレラマン』『ミリオンダラー・ベイビー』のように、
じっくりと描き込むことはしないんだ。
スタローンが作品の大ヒットで一躍スターダムに上り詰めたのは確かだし、
映画史上の奇跡でもあるんだけど、
同年の『タクシードライバー』を押さえてのオスカーは
少し解せないなあ。
今回の『ザ・ファイナル』でも不思議だったのは、
現役チャンプは最初からヒール扱い。
登場するだけでブーイング。
でもロッキーが出てくると、歓呼の大合唱」

----でも、それは分かるな。
今回に限っては、
ファンみんなも「ロッキー伝説」を知っていて
その復活を祝しているってことでしょ?
「そうだね。
あれから約30年。
リングアナも『当時、自分はまだ子供だった』と興奮していた。
ぼくはこの『ロッキー』が当時オスカーを獲得した裏には、
アメリカン・ニュー・シネマの台頭で
ペシミスティックになりすぎ夢を失っていったハリウッドに
往年の力を呼び戻そうと言う
アカデミー会員たちの思惑があったのではないかと思うんだ」

----ニャるほど。
それまでのアメリカ映画って、
アメリカン・ヒーローとは正反対の主人公が多かったものね。
「そう。ダスティン・ホフマンやアル・パチーノみたいに、
どっちかと言うとひ弱なタイプが人気を博していた。
同世代の若者の共感を得ていたということだね。
ところがスタローン以降、映画は一気にマッチョ復権。
あっ、これはまた別の機会に…。
またまたこの映画に話を戻せば、
ロッキーが息子を諭す言葉がなかなかいい。
『自分を信じられなければ人生ではない』。
ここには『ロッキー』のスピリッツを次世代にと言う
脚本家シルベスター・スタローンの思いが感じられる。
でも、ファンはこれで終わるのかと思えば寂しいだろうな」


 (byえいwithフォーン)

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