ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『落下の王国』

2008-07-15 21:15:29 | 新作映画
(原題:The Fall)


----原題が『The Fall』で
邦題が『落下の王国』。
この王国がミソだね?
「そうだね。
監督が『ザ・セル』の独自の映像美で注目を集めたターセム。
でもこの映画では得意のCGに頼らず
世界遺産13ヶ所、21ヶ国以上でロケしたらしい」

----それは贅沢だね。
けっこう、お金もかかっているんじゃニャいの?
「そうだよね。
ところが彼はこれをインディペンデントで製作。
そのことにまず驚かされる」

----へぇ~っ。
そんなにしてまでターセムが作りたかったお話って?
「時は1915年。
映画の撮影中、橋から落ちて大ケガを負ったスタントマンのロイは、
失恋の痛手も加わり自暴自棄に。
そこに現れたのが、オレンジの樹から落ち、
腕を骨折していた5歳の少女・アレクサンドリア。
動けないロイは
アレクサンドリアの純真無垢な魂を利用し、
自分が自殺するための薬を薬剤室から彼女に盗ってこさせようと考える。
そのために彼は
6人の勇者が世界を駆け巡り、悪に立ち向かうという
愛と復讐の叙事詩を彼女に話して聞かせるんだ」

----なるほど。それで世界中の映像が出てくるわけだ。
「そういうことだね。
この映画の最大の見どころは、
CM監督、またミュージック・ビデオ監督として
世界を知りつくしているターセムならではのロケーション。
象が泳ぐ海、迷路のような階段、
青色に染まる街など、
これまであまり目にしたことのない映像が楽しめるよ。
しかもその中で
何度も何度も<落下>のイメージが繰り返される」

----でも、それだけ世界を知りつくしていたら
逆にどこでロケーションするか、悩んだんじゃニャいの?
「そこがオモシロいんだ。
ターセムはアレクサンドリアに物語の話を聞かせた後、
その話はどの風景と思うかを、
壁に貼った写真を見せて聞き、
それを参考にしてロケ先を決めたらしい。
もっともなかには、ロケーション不可能な場所もあったらしいけど…」

----その少女ってカティンカ・アンタルーという子だっけ?
「そう。彼女は当時まだ5歳で、
現実とお話の区別がまだついていなく、
通訳の人が『あなたは、スーパーマンをやっていた
クリストファー・リーヴのような動けない人の話を聞くのよ』と
カティンカに話したものだから、
カティンカはロイを演じるリー・ベイスが
本当に動けないと思ってしまったんだ。
そこでひらめいたターセムは、彼女にバレないように
全スタッフにも“リー=骨折”と嘘を付いたらしい」

----それはダマされたスタッフはカンカンだろうね。
「なかには怒った人もいたらしい。
でも、そのリアルな空気感は一見の価値あり。
そしてもう一つは、
(人によってはだけど)大感動のラスト・シークエンス。
ここは観る人のために明かさないでおくけど、
この映画『The Fall』は
サイレント・ムービーへのリスペクトだったということが
分かるしかけになっているよ」



           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンもいろんなとこ行きたいニャあ」もう寝る

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