ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『五月の恋』

2006-03-29 23:15:02 | 新作映画
----これって台湾と中国の合作ニャんだって?
「うん。映画もハルピンと台湾のふたつの地域で展開する。
主演は『アバウト・ラブ/関 於 愛』で伊東美咲と共演したチェン・ボーリン。
彼の役どころは台湾の超人気バンド、メイデイのギタリストの弟アレイ。
兄に対する劣等感から何に対しても中途半端で怠惰な生活を送る彼は、
メイデイのサイトを管理するうちに、
気まぐれからファンからのメールに
『ぼくはボーカルのアシンだ』と嘘の返信をしてしまう。
メールの相手は、中国ハルピンで京劇団の学生をしている少女シュアン。
彼女は、台湾の三義にある『五月の雪』の花を見たいと、
彼にメールするのだったが……。これで分かるかな?」

----『五月の雪』の花って?
「桐の花のこと。
花が満開になると山が雪に包まれたようになり、
また、花が散る様子も雪そのもののように見えるんだって」

----ふうん。と言うことは、
その『四月の雪』がポイントってわけだね。
「そう。ここに『悲情城市』や『?嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』でも出てきた
台湾固有の歴史、
外省人(戦後、中国大陸から台湾に渡った人とその子孫)と
本省人(戦前から台湾に住む人と子孫)についても言及される。
シュアンの祖父はかつて国民党の兵士として台湾にやってきたひとり。
その後、共産党が勝利し、大陸との断絶が決定的に。
祖父は帰れなくなり、ハルピンにいる妻と別れ別れになった言う設定だ」

----ニャるほど。ハルピンは寒く雪が降る。
でも台湾は雪は降らないものね。
う~ん。思っていたよりもヘビーな内容のようだね。
「いや、それでも
現代に生きる若者の視点から描いているだけあって、
悲劇色はかなり薄められている。
と言うより、むしろその若者ふたりを通して
未来に希望を託すような描き方となっている」

----人気のメイデイも出ているしね。
ライブシーンもあるんでしょ。
散漫な感じにならない?
「これが、実に微妙なさじ加減でうまくいっている。
外省人の望郷の念、中国と台湾の若者の恋、
それが<音楽>という共通言語でまとめられたと言う感じ。
映画としても、
アレイとシュアンが一緒に目もくらむような高い線路橋を渡るシーンなど、
みずみずしいシーンがいっぱい。
そのラストも想像はつくものの、いいところに収まったと思う。
そうそう、アレイの兄はメイデイのシートゥ。
なかなか自然な演技だったよ。
こちらの方もファンにはたまらないだろうね」


               (byえいwithフォーン)

※ういういしい度
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