ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ぼくを葬る』

2006-03-02 18:21:05 | 新作映画
----これまたスゴいタイトルだね。
文字づらからしてショッキングだ。
いったいどういう意味なの?
「主人公は31歳、パリ在住の売れっ子フォトグラファー。
刺激的で充実した日々を暮らしている。
ところがある日突然、彼は末期癌の宣告を受けてしまう。
怒りや悲しみ、絶望といったさまざまな感情が襲う中で
彼は死と向かい合わなくてはならない……。
つまりどうやって、男は自分の最期を迎えたかと言うお話だ」

----うわあヘビーだね。
治癒の見込みはないの?
「うん。彼は化学治療を拒否。
しかも軋轢の多い姉や両親には秘密にする。
でも、ただ一人、祖母にだけは打ち明けるんだ。
その理由が『あなたももうすぐ死ぬから…』」

----あらあ…………。
確か祖母にはジャンヌ・モローだよね。
「いやあ、これは感慨深かったね。
もう80歳近い彼女がまだ現役と言うのは……。
そして見どころは主演のメルヴィル・プポーの演技。
まるで彼自身が不治の病じゃないかと思ったくらいに
目でその内面を完璧に表現していた。
あっ、主人公はゲイと言う設定。
そのベッドシーンもなかなかハード。
心して観ないとキツいかもね」

----そうか、そういう設定だと、
周囲との関係も他の映画と違うだろうね。
「うん。
彼はセックスの後、恋人(男)に理由も言わず別れを告げる。
このあたりも生々しかったね。
あと興味深かったのは映画用に作られたプレス。
いわゆる主人公の一連の行動を
一人の筆者は『死を<受容>するに至るまでを淡々と見つめる』と書き、
もう一人は『彼は決して死と「和解」しようとしない』と書いていた」

----つまり、同じ映画を観ても
人によって受け止め方がまったく違うと言うことだね。
チラシか何かで見たんだけど
主人公が裸の子供と寝ているよね。
あれは誰なの?
「それは映画の根幹に関わるから言えないな。
ヒントを少し言えば、
なぜゲイの彼に赤ちゃんが……?になるかな。
あと、ラストだね。
これも観たときの新鮮な驚きを大切にするため伏せるけど、
またもやある場所のある時刻で締めくくられる。
そのシーンは暖かい日差しでありながら
ぞっと背筋が凍ってしまう。
そして観た後に
心の中を孤独以上に寂しい風が吹き抜ける。
これがスゴい映画と言うことは認めるけど、
ぼくの苦手な部類だな」

          (byえいwithフォーン)

※へこむ度
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※画像はフランス・オフィシャルサイトより。