ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『アダン』

2006-03-20 19:02:33 | 新作映画
----このタイトルのアダンって何のこと?
「パイナップルのような大きな果実を実らせる南の国特産の植物。
この映画の主人公・田中一村が愛したモチーフとかで、
映画の中では、彼の幻想として出てくる奄美の少女の名前にもなっている」

----奄美?えっ、舞台は奄美大島なの?。
「うん。幼少の頃から絵の天才として期待されながら
画壇から遥か遠くに身を置いた彼は50歳で奄美大島に渡り、
69歳で生涯を終えるまで
その島で極彩色の自然に包まれて絵を描くんだ」

----へぇ~っ。南の島に渡るなんて
まるでゴーギャンみたいだね?
だれが監督したの?
「五十嵐匠。前作『地雷を踏んだらサヨウナラ』の一ノ瀬泰造もそうだけど、
彼は日本人離れした生き方をしている人に共感を抱いているんじゃないかな?
どこにでもいるような人のどこにでもあるような人生を描くより、
確かに映画の素材としてはオモシロい」

----『地雷を踏んだらサヨウナラ』って、
一ノ瀬泰造がアンコールワットを遥か遠くに目にするシーンが
印象的だったよね……。
「あのような心切なくなる感動とは、
今回少し趣きが違っていたな。
この映画では田中一村が強く興味を示したと言う
<闘鶏>が血なまぐさくリアルに描かれているし…。
はっきりと言及されているわけじゃないけど、
それが彼が奄美で追いかけるアカショービンと言う赤い鳥のイメージに連なってくる」

----ところで主演は誰ニャの?
「自らも画家として活躍する榎木孝明。
キーの高いハイテンションの演技で、
最初は演技プランの計算間違いじゃないの?と思ったけど、
それがこの超個性的な人物を演じるのには意外と合っていたような気がする。
一生独身だった田中一村。
だからか彼の恋話のようなものは一切出てこない。
その夢を一生支えた姉に甘えまくり。
出品した絵が落選すると主宰者に激しく詰め寄って
自分の才能に嫉妬してるのではと言い放ち、
周囲に無礼な態度を謝罪しろと諭されても一蹴してしまう」

----ふうん。これで絵の才能に秀でていなければ、まるで子供だ。
「そういうこと。
そこにいるのはまさしく<子供>。
榎木孝明の演技プラン、
それはもしかしたらこの<子供>というところにあったんじゃないかな。
その<声>が声変わりする前のようにかん高いのも、
そういう理由からかも」

----でも、そんな<子供>がよく奄美で暮らしていけたね。
お金だって要るだろうし。
「映画では紬工場で3年働いてお金を貯めて、その後2年間絵に没頭。
たとえばキュウリ3本だけで1日暮らすとか言ってたな」

----それは、えいには無理だね(笑)。
         (byえいwithフォーン)

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※画像は韓国のオフィシャルより。