雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

夜去り川

2012-04-20 21:15:44 | 
志水 辰夫
文藝春秋
発売日:2011-07

志水辰夫著"夜去り川"を読みました。
喜平次は渡良瀬川の渡し舟の船頭をしています。
場所は桐生です。現在の群馬県です。
喜平次は武士です。
渡し舟の小屋にやってきた時に柿の木に登っていた
子供が木から落ち崖に引っかかりました。
船頭の弥平が助けに駆けつけましたが二人とも
落ちてしまいました。
弥平の骨折の治癒は長引きそうです。
その間喜平次が船頭を引き受けることになりました。
春日屋が織物という新しい事業を起こし村は
活気づいています。
女主人のいちと、その娘のすみえが店を守っています。

喜平次の父親は盗賊に一人で立ち向かって殺されました。
仇討ちの旅に出る必要はなかったのですが、人に煽られて
つい出発することになってしまいました。
12年に一度の秋葉大権現のお祭りが開かれます。
父親を殺した盗賊たちが現れるに違いないと予想して
喜平次は村で待っているのでした。

仇討ちの話が中心というより、何ヶ月か過ごすことに
なった村の人たちとの交流が中心の話です。
不安定な農業から女性がお金を手に出きる機織という
事業を起こした女性経営者の発想と手腕はすばらしいです。
人を束ねる力があります。
その経営者のいちは病気で亡くなります。
たよりないと思われていた後継者のすみえがそんな
予想を裏切ってきりっとした姿を見せます。

村人に混じって人々の様子を見るようでなかなか
いい本でした。