雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

風信子(ひやしんす)の家 神代教授の日常と謎

2012-04-10 19:12:04 | 

篠田真由美著"風信子(ひやしんす)の家 神代教授の日常
と謎"を読みました。
蒼に京介という名前が出てきます。
どこかで見たような気がしました。
建築家探偵の京介のシリーズに出て来る人物の若い頃の
姿でした。
京介のシリーズは1,2冊は読んだと思いますが内容は
覚えていません。
蒼は中学生ぐらいの年齢のようですが学校へは行ってなくて
神代の研究室の助手をしています。
京介は大学生です。
二人は神代教授の家に住んでいます。
どういういきさつでいっしょにいるのかはこの本では
語られていませんのでわかりません。
栗山深晴というアルバイトをしてお金を貯めては海外を
廻っている学生がよく神代家へやってきます。
蒼、京介は何かを抱えている感じです。
神代と栗山はごく普通の人のようです。

"風信子の家"
神代に佐藤正彦から荷物が届きます。
入っていたのは屋根を切り取った家の模型です。
「君にこの謎が解けるかな?」という紙が入っていました。
神代は佐藤のことを覚えていません。
旧友で小児科医の辰野の記憶に助けられ学生時代のことを
思い出していきます。
佐藤は亡くなっていて娘が送ってきたものです。

"夢魔の目覚める夜"
神代と同じ大学の本橋教授の息子の和志が訪ねてきます。
和志には姉がいます。父、姉、和志の三人の暮しでしたが
姉は父の反対を押し切って足が不自由な画家と結婚して
出て行きました。
姉の夫が階段に立てた脚立から落ちて亡くなりました。
和志は父の仕業ではないかと神代にいいます。
姉に頼っていて姉の心を自分に向けたい弟の話です。

"干からびた血、凍った涙"
蒼は神代の研究室で助手をしています。
まわりには子供の蒼が研究室に出入りしていることを
あれこれうわさしています。
蒼が悲しんでいる所に行き会った真沼寛子が蒼を連れ
まわしています。
寛子の両親は離婚して兄は母に、寛子は父に育てられました。
兄が自殺しました。
寛子は兄のまわりを訪ね歩きます。

"クリスマスは嫌い"
神代は幼い時に母を亡くし年の離れた姉の養子となり
姉夫婦に育てられました。
やさしい養父にうちとけられませんでした。
養父はクリスマスの日に双眼鏡を持って神代を家から
連れ出しました。
高台で星を見せてくれたのです。
その双眼鏡を持って神代は今度は蒼を連れて星を
見にいくのでした。

"思いは雪のように降りつもる"
中原悠姫は雪が降る冬に友人の別荘で亡くなりました。
自殺だと見られています。
別荘の外で凍死しました。
いっしょにいた仲間は夏に川の増水で水の中で立ち往生
して死と直面した時、共に耐えた人たちです。
かたい絆が出来たと思っていました。
中原は強い孤独感の中で生きていた人です。
それまでとは違う世界が開けたと思いました。
でもそうではありませんでした。
彼女は激しい喪失感と、仲間の彼女が死んでもいいという
雰囲気の中で亡くなりました。

蒼や京介がどこか暗さを持っているのを神代や栗山、辰野
が明るくしています。
読みやすい本です。