雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

英国メイドマーガレットの回想

2012-04-21 20:09:55 | 
マーガレット・パウエル
河出書房新社
発売日:2011-12-22

マーガレット・パウエル著"英国メイドマーガレットの
回想"を読みました。
この本は自伝です。
出版されたのが40年ほど前、書かれているのはそれより
40年ほど前の話だそうです。
第一次世界大戦と第二次世界大戦の間ぐらいのことだそうです。

マーガレットはロンドンの近くのホーヴで生まれました。
貧乏な家庭で父親はしょっちゅう失業していました。
兄弟も多く貧しい暮らしでした。
それでも楽しい子供時代を過ごしています。
14歳になった時にキッチンメイドとして雇われました。
住み込みです。
一番下の地位です。
雇い人たちは地下で働きます。上に住む人たちとは
別世界です。
忙しく働きます。
最初の職場は食料が豊富に運び込まれている家です。
冷蔵庫、冷凍庫がない時代です。
新鮮なものが毎日届けられます。
豪勢な食事だったのですね。
この仕事を皮切りにあちらこちらの家で働きました。
数年間のキッチンメイドの後、コックとして雇われます。
それまでコックの下働きとはいえ、することを見ていた
だけで料理を教えてもらったわけではありません。
覚えている知識と本に書かれていることを元に
コックの仕事をしました。
料理教室へ数回かよったりしています。
この境遇から抜け出したいと思っています。
きちんとした結婚をしたいと思っています。
結婚することで家事使用人の生活から抜けました。

歴然としてあった貧富の差です。
当時の裕福な人たちは不労所得のある人たちです。
働かなくて労働に携わっている人たちをあたかも
いないかのように生活しています。
地下で働く人たちの生活環境がどうなっているかに
まったく関心を持ちません。
でも世の中は変わっていきます。
彼女が働いていた数年間の間にさえ変化はあります。
富裕層の人たちが孤独で使用人もいない貧しい状況に
陥っています。
何よりも豊かに暮していたときの心のあり様を切り
替えられなくてつらい思いをしています。
使用人の待遇はぐんとよくなっています。
部屋も過ごしやすいものになっていきます。

下働きから始めて成功して裕福になりましたという
成功談なのかと思いましたが彼女は普通の人のようです。
50を過ぎて勉強をしたりと向上心のある人の
ようです。
ラジオ番組に出演したり、執筆活動をするように
なりました。
この本に書かれていることは当時の下層労働者の
置かれた状態がよくわかるものです。

人はどう思って生きていくべきでしょうね。
生まれてくる家を選ぶわけにはいきません。
裕福な家か、貧しい家かは生まれてみなければわかりません。
どんな環境に生まれても自分の生き方に満足し、そして
世の中に順応し、よりいい方へ変化して生きていくには
たいへんな努力がいります。
まず世の中の状況をしっかり見る必要がありますね。