雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

さよならのためだけに

2012-04-15 20:13:02 | 
我孫子 武丸
徳間書店
発売日:2010-03-18

我孫子武丸著"さよならのためだけに"を読みました。
我孫子さんといえば"人形はこたつで推理する"等を
書かれていて推理小説家だと思っていました。
でもこの本は推理小説ではありません。

近未来小説です。
水元くんはPM社の社員です。
結婚仲介業です。人々はDNAの遺伝情報を調べて
パターンマッチングをして結婚するようになりました。
特A判定を受けた二人は100%うまく行き離婚した
ペアは一組もないといわれています。
水元とルナは特Aといわれて結婚しました。
しかし二人はまったくかみ合いません。
新婚旅行から帰ってルナは離婚を切り出します。
PM社員の水元は判定を信じてうまくいくはずだとは
思っていますが現状を見て離婚に同意します。

しかし離婚はすんなり受け入れてもらえません。
二人で決めたらそれで離婚できるという社会で
なくなっています。
PM社がじゃまをしてきます。
親族や友人に思いとどませるよう説得を依頼したり
後をつけてきたりします。
はては洗脳や放火までします。
水元の友人の乾とルナの友人の深尋が離婚に
協力してくれます。
彼らは特Aの統計はむりやり辻褄を合わせたものでは
ないかと思い始めます。

戦いの間に水元と深尋、乾とルナとペアができそうな
時もありましたが乾と深尋というペアができそうに
なります。
水元とルナの間も微妙です。

そして彼らはPMの真の目的を知ります、
この先ねたばれですよ。
なんとマッチングは二人の相性をみていたのでは
ありませんでした。
どれだけ優秀な子供が産まれるのかを示しているのでした。
結婚させるのが目的ではなく優秀な子供を生ませるのが
目的です。

PMの影の実力者は十二歳の未来という名の子供でしす。
特Aの組み合わせで生まれた子です。

科学だけの組み合わせで人は満足できるものではないと
未来に知らしめて二人は離婚できることになります。
離婚届を提出しますが二人はお互いを見直し始めています。

お話ではありますが現実感がありありで恐いです。
近い将来本当にやり出しそうな気がします。
人間が品物扱いされるような日が来ない様願っています。

この終わり方でいいのかなと不安になります。
なにも変っていません。
特Aでも離婚はあり得るということは世間に公表できました。
でも本当の目的は明かされていません。