年末の大一番・有馬記念を前日に控えた22日は、東西で注目の重賞レースが行われました。中山競馬場では冬の最強ジャンパー決定戦・中山大障害(J・GI)、阪神競馬場では2歳重賞のラジオNIKKEI杯2歳ステークスがありました。
第135回中山大障害(J・GI 芝4100m)は16頭で争われる予定でしたが、⑥ナリタシャトルが競走除外で15頭立てとなりました。昨年の中山大障害&今春のグランドジャンプを制し、GI3連勝を目指す⑨マジェスティバイオ、2007年の勝ち馬⑧メルシーエイタイム、2009年のGJ覇者③スプリングゲント、昨年のGJ優勝馬⑪マイネルネオスのGI馬4頭が参戦し、他にも⑤マーベラスカイザー、⑭バアゼルリバー、⑫アグネスラナップが出走しました。
ばらついたスタートで始まったこのレース、最初の5号生垣障害を④セクシイスイートが先頭で飛越。1周目のスタンド前で、スプリングゲントが2番手につけ、3番手⑦アイティゴールド、メルシーエイタイム4番手、5番手マーベラスカイザー、バアゼルリバーとマジェスティバイオは中団グループにつけた。先頭を行くセクシイスイートは、スタンド前の連続障害(水ごう&生垣)、1,2コーナー中間点の3号障害をトップで飛越。向正面に入り、セクシイが先頭、ゲント2番手、3番手アイティ、カイザーが4番手に浮上し、エイタイム5番手。6番手の位置に①トウシンボルトと⑯トーセンオーパスが並び、マジェスティは8番手、9番手アグネスラナップ。バアゼル10番手追走。
先頭グループは大障害コースに差し掛かり、セクシイスイートがバンケットを駆け上がって最初の難関・大竹柵障害を先頭で無事飛越。後続も続々と飛越し、最後方の②カピターノまで15頭無事にクリア!逆コースを回るところで、セクシイの先頭は変わらず、マジェスティバイオが7番手まで浮上。マイネルネオス11番手、12番手⑮ブチカマシ、⑬セイエイ13番手、⑩ドラゴンハンター、②カピターノと続く。再び大障害コースに入り、大生垣障害を先頭のセクシイスイートが飛越すると、後続も無事に飛越。2つ目の難関も落馬無し!
順回りに入り、3号障害を飛越したところでマーベラスカイザーが3番手まで進出。先頭争いではスプリングゲントが一旦先頭に並びかけるが、セクシイスイートが再び前に出る。3コーナーのバンケットで先頭争いはセクシイ、ゲント、カイザーの3頭に絞られ、バアゼルはまだ5番手、マジェスティバイオは中団の7番手。最後の5号障害の前にスプリングゲント先頭、マーベラスカイザー2番手に上がり、最終障害を2頭並んでジャンプ。バアゼルリバーとスプリングゲントも必死に追い上げる。
全てのハードルを終え、残るは平地勝負。ダート→芝直線コースに入り、マーベラスカイザーが先頭に躍り出ると、そのままラストスパートへ。2番手争いはスプリングゲントが粘るが、外からバアゼルリバーとスプリングゲントが追い込む。先頭のマーベラスカイザーは最後突き放して悠々と先頭でゴールイン!バアゼルリバー2着に入り、スプリングゲントが3着でゴールインしました。
4100mの過酷なレースを制したのは、単勝3番人気のマーベラスカイザーでした。道中は4番手でレースを進め、最後の障害の手前でスプリングゲントに並び、最後の直線で先頭に立ち、2着に3馬身差をつけての快勝でした。マーベラスカイザーは平場のレースで2勝した後、昨年10月に障害入り。初障害の未勝利戦と今年4月のオープン戦で勝利を挙げ、5月の京都ハイジャンプでは3着に入りました。2度目の重賞挑戦となった今回、初勝利&GI制覇を飾りました。
鞍上の熊沢重文騎手は、J・GI初制覇。以前から「日本ダービーと中山大障害で勝ちたい」と公言していましたが、デビュー27年目で悲願の中山大障害初勝利です。熊沢騎手は平地GIでも3勝しており、過去には1991年の有馬記念でダイユウサクとのコンビでメジロマックイーンを破る大金星を挙げています。レース後のコメントでは「勝ったら障害競走を卒業しようと思った」と障害撤退をほのめかすような発言をしていましたが、今後も続ける予定。史上初の平地&障害GIジョッキーとなった熊沢騎手、次はグランドジャンプを狙いに行きましょう。
阪神メイン・第29回ラジオNIKKEI杯2歳ステークス(GⅢ・芝2000m)は、来年の牡馬クラシックでの活躍が期待される7頭が出走。このレースはデビュー2戦2勝の⑦エピファネイア、同じく2連勝の④キズナ、札幌2歳ステークス2着の①ラウンドワールドの3頭に注目が集まりました。
スタンド前でのスタートで、ラウンドワールドが少し出遅れてしまう。先行争いで④バッドボーイが前に出て、キズナが2番手につけ、エピファネイアが3番手グループ、②リアルマイスター6番手、ラウンドワールドはしんがりでゴール板を通過しました。1,2コーナーから向正面に入り、バッドボーイが先頭でレースを引っ張り、キズナが2番手追走、その後ろにエピネファイアがピッタリとつけている。4番手に③アクションスター、5番手⑤アドマイヤドバイ、6番手にリアルマイスター、ラウンドワールドは依然として最後方を進んでいる。
先頭を行くバッドボーイは前半1000mを1分6秒台の超スローペースで通過。内回り3コーナーを回り、エピファネイアがじわっと進出しはじめ、前の2頭に接近。リアルマイスターとラウンドワールドの後方2頭も集団に加わる。7頭が一団となり、4コーナーから最後の直線へ。内のバッドボーイ、真ん中のキズナ、外からエピファネイアの3頭が横一線で競り合い、残り200mでわずかにエピファネイアが先頭に立つ。残り100mでキズナが下がり、バッドボーイ懸命に食い下がるが、エピファネイア抜け出してゴールイン!
エピファネイアVSキズナの「無敗対決」は、エピファネイアの勝利!直線での叩き合いを制して重賞初勝利を飾りました。これでエピファネイアはデビューから無傷の3連勝。2013年のクラシック戦線の主役候補に名乗りを挙げました。2着のバッドボーイは、道中はマイペースで先頭をひた走り、直線でも粘りを見せましたが、半馬身差で敗れました。2番人気だったキズナは3着に終わり初黒星、もう1頭の注目馬・ラウンドワールドはスタートミスが最後まで響いて6着に終わりました。
勝ったエピファネイアは、父はシンボリクリスエス、母はシーザリオという血統。お父さんは有馬記念で連覇、お母さんは日米オークス馬。父母合わせてGI6冠の良血馬です。来年の春には無敗で皐月賞を制しそうな予感がするし、日本競馬界を背負って立つ存在にまでなるかもしれません。
23日は今年最後のGI・有馬記念!前日の単勝オッズでは、⑬ゴールドシップが1番人気(3.0倍)、⑨ルーラーシップ2番人気(4.1倍)、3番人気が②エイシンフラッシュ(7.4倍)。この上位3頭が10倍以下で、4番人気以降は⑩ダークシャドウ、⑮ナカヤマナイト、③スカイディグニティ、⑯ルルーシュ、⑭ビートブラックと続いています。一部情報によると、ルーラーシップは有馬記念が現役ラストランになるという噂があるそうです。国内GI初制覇で有終の美となるのかどうか?混戦モード漂うこの一戦、2012年のグランプリレースは、23日15時25分に発走です。