第98回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)は、3日に復路が行われました。前日の往路は、青山学院大学が3区で先頭に立つと、そのまま首位の座を明け渡さず往路優勝。帝京大学が2位、前回覇者の駒澤大学が3位フィニッシュ。運命の復路、青学はどこまで差を拡げたのか?そして、大混戦のシード権争いの結末は?
6区、往路トップの青学大が午前8時ちょうどに箱根・芦ノ湖をスタート。それから2分37秒後に帝京、3分28秒後に駒澤が出発。
青学大・高橋勇輝を追いかける駒澤・佃康平は、小涌園前で3分02秒、大平台で2分48秒差まで縮めると、帝京大を抜いて2位に上がる。しかし、往路5位の順天堂・牧瀬圭斗がひたひたと2位グループに迫り、16.2キロで駒澤と帝京をまとめて抜いて行った。
先頭を行く青学・高橋はマイペースの走りを続け、ラスト3キロで盛り返して平塚中継所をトップでタスキ渡し。2位争いでは、終盤に駒澤・佃が順天堂・牧瀬を抜き返し、3分18秒遅れの2位でリレー、順天堂が3位、帝京が4位、中央大が5位と続く。シード争いでは、往路9位の東洋大、往路10位の東海大がシード圏内キープ。11位の法政は東海から9秒差。神奈川大が12位、国士舘13位、早稲田は一時期圏内に浮上するも、最後は14位で中継所を通過。
7区、青学・岸本大紀が快調な走りを続ける中、駒澤・白鳥哲汰と順天堂・西澤侑真の2位争いが繰り広げられる。10.2キロで西澤が前に出て、二宮で3秒差、大磯で5秒の差をつける。だが、白鳥も諦めず、19キロ手前で西澤を抜き返し、再び駒澤が2位に。
駒澤VS順天堂の2位争いを尻目に青学・岸本は2位との差を拡げて行き、大磯で4分23秒差、平塚中継所で4分51秒の差をつけてタスキをつないだ。2位争いは駒澤が2位、順天堂は1秒差の3位でリレー。その後、帝京4位、創価5位、東京国際6位、中央7位と続き、8位東海、9位東洋、国学院が10位まで順位を落とし、国学院から12秒遅れて法政が11位で通過。早稲田は12位、13位の神大は10位と1分37秒差。明治と国士舘はシード権争いから脱落。
8区、ここではシード圏内の順位争いが激しいものに。東国大VS創価が4位争いを演じれば、11.1キロで中央が提供を抜いて6位。2位争いでは、順天堂・津田将希と駒澤・鈴木芽吹の並走が続き、12.3キロで津田がスパートし、順天堂が単独2位。芽吹は追いつけない。
遊行寺坂で首位の青学・佐藤一世と順天堂・津田との差は4分31秒差。津田は青学に20秒も詰めたのとともに、駒澤に44秒差を拡げた。
平塚中継所、先頭の佐藤が首位の座を守って9区のランナーにタスキを渡す。4分32秒差の2位に順天堂が通過。3位争いは終盤に大きく動き、中央・中澤雄大が4人を抜いて3位に上がると、東国大4位、創価が5位で通過。駒澤・芽吹は急ブレーキの6位。青学とは7分49秒差。帝京は7位に落ち、国学院シード圏内の10位キープ。11位・早稲田は44秒差、12位・法政は51秒差。そして、青学が通過してから20分後、日本体育大学が繰り上げスタート。
復路のエースが揃う9区、トップを行く青学・中村唯翔は、最初の5キロを14分15秒で通過すると、権太坂で2位に5分21秒差、横浜駅前で6分21秒差まで拡げる。3位以降の争いでは、中央と東国大が3位グループを形成し、10.5キロで駒澤が創価を抜いて5位。14.2キロで中央が単独3位に上がり、東国大は駒澤に抜かれ5位に落ちる。16.6キロ過ぎには、7位東海、国学院が8位に上がり、創価が9位、帝京が10位。
先頭の青学・中村は、区間記録を上回るペースで走り続け、鶴見中継所に到着した時のタイムは、1時間7分15秒の区間新記録!トップから7分56秒後、順天堂が2位。中央大が3位、駒大は4位に上がり、国学院・平林清澄は5人抜きの力走で5位浮上。その後、東国大、東洋、東海、創価、帝京と続く。法政は32秒差の11位。12位の早稲田はシード獲得は厳しくなった。トップ通過から20分後、山梨学院と日体大が繰り上げ。
最終10区、青学・中倉啓敦が序盤から1キロ2分50秒台をキープ。鎌田の地点で2位に約8分、新八ッ山橋で8分57秒差。一方、シード権争いの方は、新八ッ山橋のところで、国学院7位、東海8位、創価9位、帝京10位、法政11位。法政と帝京の差は51秒差。3位争いは逃げる中央・井上大輝、追う駒澤・青柿響の展開が続き、17キロで青柿が追いついて前に出るが、200m後に井上が抜きかえす。しかし17.8キロ過ぎに青柿が抜け出して駒澤が3位に立った。
完全に独走状態の中倉、銀座中央通りはまさしく一人舞台。最後まで攻めの走りを見せ、大手町・読売新聞東京本社前をトップでフィニッシュ!復路タイム5時間21分36秒の復路新記録、10時間43分42秒の大会新記録で2年ぶり6度目の総合優勝!
青学がゴールしてから10分51秒後に順天堂が2位フィニッシュ。駒澤が東洋に競り勝って3位、東洋は2秒差の4位、東国大が5位、中央大が6位、7位創価、8位国学院、9位帝京と続々とゴール。そしてシード権最後の1校を懸けた争いは、残り1キロでドラマが。法政・川上有生が東海大・吉冨裕太を抜いて10位に上がる。川上はゴール前の交差点を右折しそうになったが、コースに無事に戻って10位でゴールイン。法政大がシード権を手にし、東海大は11位でゴールしました。
【総合成績】
1位 青山学院大学 10:43:42(※総合新記録)
2位 順天堂大学 10:54:33
3位 駒沢大学 10:54:57
4位 東洋大学 10:54:59
5位 東京国際大学 10:55:14
6位 中央大学 10:55:44
7位 創価大学 10:56:30
8位 国学院大学 10:57:10
9位 帝京大学 10:58:06
10位 法政大学 10:58:46
(ここまでシード圏内)
11位 東海大学 10:59:38
12位 神奈川大学 11:00:00
13位 早稲田大学 11:00:03
14位 明治大学 11:00:28
15位 国士舘大学 11:03:06
16位 中央学院大学 11:07:33
17位 日本体育大学 11:11:11
18位 山梨学院大学 11:11:21
19位 駿河台大学 11:13:42
20位 専修大学 11:15:09
OP 関東学生連合 11:00:25
【区間賞】
1区 吉居大和(中央大学) 1時間00分40秒(※区間新)
2区 田澤廉 (駒沢大学) 1時間06分13秒
3区 丹所健 (東京国際大学)1時間00分55秒
4区 嶋津雄大(創価大学) 1時間01分08秒
5区 細谷翔馬(帝京大学) 1時間10分33秒
6区 牧瀬圭斗(順天堂大学) 58分22秒
7区 岸本大紀(青山学院大学)1時間02分39秒
8区 津田将希(順天堂大学) 1時間04分29秒
9区 中村唯翔(青山学院大学) 1時間7分15秒(※区間新)
10区 中倉啓敦(青山学院大学)1時間7分50秒(※区間新)
第98回箱根駅伝は、青山学院大学が大会新記録&復路新記録を打ち立て、2位に約11分の大差をつける圧勝!2年ぶりの王座奪還を果たしました。総合2位の順天堂大学は、1区で18位と出遅れながらも、そこから大きく巻き返しました。総合ベスト3入りは「元祖山の神」今井正人さんを擁して優勝した第83回以来15年ぶりです。3位の駒澤大学は8区の鈴木選手がブレーキを起こしましたが、残り2区間で盛り返しました。東洋大学もシード落ちの危機でしたが、最後は4位でフィニッシュ。6位の中央大学は10年ぶりのシード権返り咲き。予選落ちも経験しましたが、ようやく名門復活です。
シード権争いは、法政大学が残り1キロで大逆転。東海大学はアンカーが低血糖を起こし、無念のシード落ち。早稲田大学も13位に終わり、来年は予選会行き。初出場の駿河台大学は19位に終わりましたが、繰り上げスタートを喰らわず、最後までタスキをつなぎ切りました。アンカーの阪本大貴選手がゴールした直後に笑顔で「楽しかった~!」と叫んだシーンは清々しかったです。数年後にはシード権獲得もありそうですね。
往路では区間賞が無かった青山学院大学ですが、復路では3人が区間賞を獲得し、9区と10区で区間新記録を樹立。7区の岸本選手は昨季に左足大腿骨の疲労骨折、今季は左仙骨疲労骨折もあり、1カ月前に復帰できたばかり。復帰戦でいきなり区間賞を手にし、優勝に大きく貢献しました。9区の中村選手は従来の区間記録を46秒も上回り、10区の中倉選手も創価大・嶋津選手の記録を50秒も上回りました。区間賞の3選手は全員3年生。エース・近藤幸太郎選手も同学年です。
今回は10区間中4年生は2人で、1年生2人、2年生2人、3年生4人。今大会の出走メンバーが8人残るので、来季も圧勝しそうな気がする。それどころか、出雲駅伝と全日本大学駅伝も優勝し、2度目の「学生駅伝3冠制覇」も夢じゃないと思います。