シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

エクソダス~神と王

2015-02-04 | シネマ あ行

ここ最近のリドリースコット監督とはちょっとそりが合わなくなってきていると思いつつもやはり「出エジプト記」クリスチャンベイルがモーゼの十戒をやると聞けば見に行こうという気になります。

大学時代に英米文化概論という授業で聖書の中身を少し勉強しました。ユダヤ教徒でなくても物語として興味深い旧約聖書の中でもワタクシはこの「出エジプト記」が物語として一番好きでした。

細かいストーリーは割愛しますが、どうしてもモーゼと言えば1956年作品のチャールトンヘストンの「十戒」のイメージが強くて全編で比べてしまったのが辛かったなぁ。クリスチャンベイルは素晴らしい役者で大好きなんですが、比べる対象がチャールトンヘストンとなるとクリスチャンベイルでさえ少しかげってしまいます。

そして、モーゼと兄弟同然に育ちながら戦うことになってしまう王ラムセスを演じるジョエルエドガートンがあまりにも弱弱しすぎてキャストミスじゃないかと思いました。こちらもユルブリンナーくらい目力と迫力のある人が演じないといまいち迫力が出ない。

モーゼはラムセスにヘブライ人を解放するよう要求し、その間にヘブライ人に武器を作らせて訓練をするシーンがありました。聖書であんなシーンがあったのかどうかちょっと忘れてしまったのですが、洞窟の中で弓の練習をしているシーンはいいとして、なんか広場みたいなところでやっているシーンもありましたけど、あんなのエジプト人の護衛たちに見つかって速攻処刑されるんじゃないの?

モーゼに任せてても埒が明かんと思ったかどうか、神はエジプト人に奴隷として捕らえられているヘブライ人を助けるためエジプトに10の災厄を下します。

1、ナイルの水を血に変える。
2、カエルを大量発生させる。
3、ブヨを大量発生させる。
4、アブを大量発生させる。
5、牛馬への疫病。
6、人々の肌に膿みや腫れを起こす。
7、雹を降らせる。
8、いなごを大量発生させる。
9、暗闇
10、エジプト人の子どもを殺す。

この10の災厄のCGがなんか大したことなかったんだよねー。いまの技術ならもっと気持ち悪い感じにできると思うんだけどなぁ。聖書のお話だけにちょっと抑え気味にしたのかなぁ。ワタクシはカエルが大嫌いなんですが、モーゼの話ということで奴が大量発生することは分かっていて覚悟して見に行ったんですが、画面がなんだか暗くて見にくかったので大丈夫でした。あ、暗闇の災厄が来ていたからなのかな?この順番で来たはずだけどな。最初に水が血に変わるのもワニが人を食べてその血が広がっていくっちゅうのもなんか変でした。

この10個目でラムセスの子も殺され、ついにラムセスはヘブライ人はエジプトから出ていくように言い渡します。

大勢のヘブライ人奴隷を連れてエジプトを出たモーゼたち一行ですが、紅海を目の前にして後ろからラムセス率いるエジプト軍が迫ってきます。(10個目の災厄で死にかけていた我が子がついに死んでしまったことでラムセスは攻撃に出た)目の前は海。後ろからは敵。という場面でモーゼが神に祈るとついに海がーーーーーー、


割れへんのんかーーーーーい!!!!


ってもうしーんとした映画館の中でワタクシの心の中はざわざわざわざわしましたよ。
モーゼでしょ、出エジプト記でしょ、十戒でしょ、この海が割れるシーンを見に来たと言っても過言ではないわけですよ。
なんやこれーーーー???
これじゃあ、なんかただたまたますごい引き潮になったって感じにしか見えへんやん。神の奇跡!をここで見せつけないとあかんのんちゃうの?あの水の壁を見せてよ!エジプト軍をやっつける火の柱を見せてよ!

まー、ままま、えーわ、次っ!次っ!十戒を授かるシーンよ!

エジプトを脱出したモーゼがシナイ山に登っていよいよ十戒を神から授かります。ここもついつい「十戒」の光がばばばばーーーーと石板に十戒を刻むシーンを期待してしまっていたのですが、さすがリドリースコット版は一味違います。ずっと“神”(の化身?神自身?)として登場していた少年がなんとモーゼにお茶を入れてあげていてその横でモーゼが自分で石板に十戒を彫っているではありませんか。しかも「私がこの十戒に賛同しなかったら自ら彫りはしない」とかなんとか言いながら。いやいやいやいや、これは神が人間との契約として人間たちに守るように授けたものであって、それにモーゼが賛同するかどうかなんて神がモーゼの意見を聞くわきゃないでしょうよ。しかも神がモーゼにお茶入れちゃってるよ。。。ユダヤの絶対神が。

ああああ「ノア~約束の舟」を彷彿とさせるわぁ。

ワタクシはユダヤ教徒やキリスト教徒ではないので、聖書に沿ったものを作らないからと言って怒るとかそういうのとは違うのですが、やはり映画ファンとして当然期待するだろうというシーンがすべて台無しな感じだったのでがっかりしてしまいました。最近のリドリースコットとはそりが合わないと思っていたのは残念ながら覆されなかったなぁ。

10の災厄も海割れも石板も実際の現象として検証すれば、こういうことだったんじゃないかっていう解釈の作品だったんだよね。だから、それを「あ、本当はこういうことだったんだな」と素直に思えればこの作品の評価は上がるのかもしれません。ワタクシは旧約聖書は(不謹慎ですが)一大スペクタクル超大作だと思っているので、ただただそういう作品を期待して見てしまったのがダメだったのかもしれません。クリスチャンベイルはやっぱりカッコいいのと神を演じていた少年が可愛かったのが救いでした。



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
モーゼったいに・・・ (iina)
2015-02-24 11:58:36
>10の災厄も海割れも石板も実際の現象として検証すれば、こういうことだったんじゃないかっていう解釈の作品だったんだよね。
奴隷にされた大勢のへぶらいユダヤ人をエジプトから脱出させるリーダーとなったモーゼを扱った物語りでした。
そのときに見せた奇跡は、あるいは火山の大噴火かも知れません。
モーゼったいに、そうかも知れませんヨ。

返信する
iinaさま (coky)
2015-02-26 13:31:03
火山の大噴火を当時の人が見れば
神の奇跡に見えたでしょうね。
返信する

コメントを投稿