カンヌ映画祭の「ある視点」部門でHOPE賞を受賞したということと、“いまサッカーワールドカップが開催されているアフリカで”という宣伝文句に踊らされて見に行ったのだけど…ちゃんと見る前に調べなかったワタクシが悪いんだけど、“ワールドカップが開催されている”なんて言うから、南アフリカ共和国の話かと思ったら見ているうちに「ん?これ、南アフリカの話じゃないよな~」と思えてきて、あとでもう一回コピーを見てみたら「~が開催されているアフリカで」って書いてあった。あ、アフリカっていっしょくたにしちゃったのか。「ワールドカップの」っていう宣伝文句で食いつくようなワタクシみたいなバカを狙って…ヤラレタ。
ま、いいけど。
HOPE賞か。それはやっぱり最後の最後の展開があったからかな。残忍な殺戮や強盗、レイプなどを繰り返す少年兵たちとは対照的に苦しい現実の中にあってさえも自分の家族を守り、見知らぬ幼い子供を守ろうとする少女ラオコレデジーヴィクトリアヴァンディの存在こそがHOPEだったのかもしれない。
少年兵ジョニーマッドドッグクリストフミニーやノーグッドアドヴァイスダグベストゥウェ、バタフライモハメッドセセイたちと少女ラオコレの違いは一体なんだったんだろう。もうこれは紙一重の運としか言いようがない気がする。彼らはみな幼いころから非情な境遇にさらされてきた。その中で決定的に彼らを憎悪の世界に引きずり込む何か(大人の存在)と出会ってしまったかどうか。その違いだけのような気がする。彼らだって凶暴に生まれついたわけではない。そうしなければ生きていけなかった。大人から麻薬、凶器、脅しを突きつけられてそうならざるを得なかった。ただそれだけなのかもしれない。
ジョニーの部隊の中でもっとも凶暴と言ってもいいようなノーグッドアドヴァイスが略奪したブタをペットのように想い、みんなで食べること拒否するシーンはとても複雑な気がした。殺人もレイプも平気でやってのけるノーグッドアドヴァイスにもそんな心はあるのだと。やっぱり彼も「子供」なのだと認識させられるシーンだが、だからと言って彼の罪がなくなるわけでもない。ジョニーも同じように自分の彼女が殺されたときに流した涙は嘘ではない。彼らの中にこんな矛盾を生み出した罪も大人にある。
結局ジョニーが信頼していた上官はあっさりと政府軍に雇われ鞍替えする。もうお前らに用はない。彼らのような反政府軍に信念などあったはずもなかった。内戦のためにむりやり人間性を奪われた彼らは新しい世界でどうやって生きていくというのだろう。
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