シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

シャドーダンサー

2013-04-04 | シネマ さ行

昔からなぜかIRAものに魅かれることが多く、今回は久しぶりのIRAものだったので見に行きました。

ロンドンでの爆弾事件の容疑者としてMI5(イギリス情報局保安部)に拘束されたIRAの活動家コレットアンドレアライズブローは、服役して幼い息子と離ればなれになるかMI5のスパイとしてIRAの情報を密告するかという選択を迫られ、MI5のスパイになるほうを選ぶ。

幼いころにIRAとイギリス警察の扮装に巻き込まれた弟ショーンを亡くしているコレットたち一家は一番上の兄ジュリーエイダンギレンを筆頭にコレット、その下の弟コナードーナルグリーソンは熱心なIRAの活動家となっていた。イギリス警察の資料によるとショーンを撃った銃弾はIRAのものだったが、コレットが拘束されてその資料を見せられるまでそんなことは知る由もなかった。

週に一度MI5の担当官マッククライヴオーウェンに会い密告をするコレット。その密告によってIRAの作戦が失敗し、組織の上司ケヴィンデヴィッドウィルモットはコレットがスパイではないかと疑い始める。

そのころマックは警察の上層部ケイトフレッチャージリアンアンダーソンの怪しい動きを察知し、上層部がなぜコレットをスパイに選んだのか、上層部が自分に隠している秘密を追い始める。

まず、IRAのことを知らない人がこの作品を見に行くとおそらく何が何だかさっぱり分からないということになりますので、できればアイルランドとイギリスの紛争、IRAのことを予習してから見られたほうがいいと思います。

それと、テロとかスパイとかそういう言葉が宣伝に登場するのでいわゆるハリウッドでよくあるアクション系スパイものを期待して行くと相当にがっかりすることになると思います。多少の火薬は登場しますが、派手なアクションはまったくありませんし、ほとんどが地味な駆け引きとまるで普通の家庭のお話と錯覚してしまいそうなシーンが多くあります。IRA絡みの作品は結構こういうのが多い気がします。ワタクシはそこが好きなんですが、物足りない人は多いのかも。

なぜかこうIRAものっていうのは悲哀に満ちているんですよね。IRAだけじゃなくてテロの内情を描いたものとかはそういうのが多いかな。テロリストに同情するのはいけないのだろうけど、どうしてもその背景とかを考えると切ない気持ちになってしまう。もちろんテロを肯定しているわけではないですよ。

マックが追うMI5の思惑っていうのを予想できた人には大した結末ではなかったのかもしれないけど、ワタクシは全然予想していなかったのでビックリしました。これもまた母親の悲哀ってやつだったんですね。それがまた切ない。それを利用する警察がまるで悪いかのように錯覚してしまいそうになりました。いけないいけない。

このコレット以外のスパイの存在っていうやつにもビックリしたんですけど、この最後の最後の展開にはもう本当に驚いて口をぽかーんと開けたままエンドクレジットを迎えてしまいました。まさかのーーーー、そういう展開???結局コレットと息子が生き残るためにはあーするしかなかったってことか。MI5ともIRAとも同時に手を切るしか彼らのこれからの人生は存在しえなかったんだよね。。。マックは可哀想だったけどなぁ。

コレットを演じたアンドレアライズブローが儚げで美しいなぁと思いながら見ていたんですが、彼女のフィルモグラフィーを見てマドンナ監督の「ウォリスとエドワード」でウォリスシンプソンを演じていた女優さんだと知って驚きました。全然気付かんかったーーーー!よく見たらほんまや!ウォリスのときはちょっと変なメイクをしていたので全然別人に見えました。ウォリスのときはあんまりキレイな人じゃないと思ったんですけど、実際にはキレイな女優さんでした。

あと、久しぶりにジリアンアンダーソンが登場したことにも驚いたんですが、イギリス人役だったので、ん?ジリアンにそっくりやけど違う人?って思いました。彼女も美しくてイギリス英語のアクセントも素敵でした。