シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

クロコダイルの涙

2006-05-30 | シネマ か行
ジュードロウが女性の愛を生きる糧にしているという男性で、自分を愛してくれる女性の心にもほんの少しの自分への「怒り」「嫉妬」「敵意」「失望」などを抱いていて、ほんの少しのそれらの感情で自分の“生”が壊されてしまうという男性を演じる。

自分で書いていながらもこの男性のことがよく分からないんだけど、そんなミステリアスな男性をミステリアスなジュードロウが演じているので、よく似合っている。物語自体はまぁなんだかよく分からないものなんだけど、この作品を取り上げたのは、ジュードロウの恋人役として登場するアンエリナレーヴェンゾーンが彼に孔子の話を聞かせるシーンがあり、それがとても素敵なお話だったからです。

孔子は地獄に行き、地獄の姿とそこにいる人たちを見た。驚いたことに地獄では大きな宴会が開かれており、彼らの目の前にはたくさんのご馳走がならんでいた。ただ、人々は自分の身長以上もある長い箸を持たされており、誰一人としてそのご馳走を口に運ぶことができなかった。孔子は天国にも行き、そこにいる人たちを見た。驚いたことに天国の姿は地獄とまったく同じでここでも宴会が開かれ、たくさんのご馳走がならび、人々は地獄にいる人々が持っていたものとまったく同じお箸を持たされていた。ただ、天国では誰もがみなお腹一杯だった。なぜなら、みながお互いに長いお箸でご馳走を食べさせあっていたから。

なんだか素敵な話じゃないの。この孔子のお話って有名なのかな?ワタクシが知らんかっただけで。ワタクシはこの映画を見て初めて知りました。

この映画の中でどうして主人公の恋人であるアンが主人公にこの話をしたのか、実際ワタクシにはよく分かりませんでした。もちろん、製作者は何の意図もなくこの話をさせたのではないだろうし、何かのメタファーになっているんだろうけど…

映画としては「?」なところも多いんですが、このお話がずっと印象に残っているので紹介してみました。