シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

コニー&カーラ

2006-05-25 | シネマ か行
すごい失礼やとは思うんですけどね、町歩いてて「あれ、この人ってニューハーフ?」って思う女の人っていません?そう感じる人って決してブサイクではなくってむしろ美人な人が多いかも。でも、なんていうかそのニューハーフっぽいんですよね。ほら、叶恭子さんとか、、、あ、彼女はニューハーフよりもサイボーグか、、、

それが外国人の女性ともなると、体も大きいし日本人よりも余計ニューハーフっぽい女性が多いような気がする。ハリウッドにも結構いますよね。(サイボーグも多いけど…)

この作品の主演の二人ニアヴァルダロストニコレットも結構“ぽい”です。トニコレットのほうが特に。もちろん、役作りのなせる業なんでしょうけどね。

いつか大きな舞台に立つことを夢見ながら冴えない場所でショーを続けるコニー(ニア)とカーラ(トニ)がひょんなことから殺人現場を目撃。そのマフィアから逃れるため、LAでドラッグクイーンになりすましてショーに出ればたちまち大人気に。本物の女性であることを隠してショーを続けるハメになる。

例によってドラッグクイーン仲間のお姉さまたちがとても楽しく描かれ、その中の一人ロバートスティーブンスピネラとその弟ジェフデビットドカブニーとの葛藤も描かれ、本筋の殺し屋に追われるという部分とジェフとコニーの恋物語の部分はいささかチープだけど、本筋じゃないところの細かいエッセンスが光っていると思う。

コニーとカーラは舞台でさまざまなミュージカルの歌と踊りを披露してくれるのだけど、ニアヴァルダロスとトニコレットの歌唱力にはまったくもってビックリしてしまう。アップテンポな曲のときなんて見ているこっちも超ゴキゲンになる。この二人、本当にコンビで売れるよ。

本物の女性がドラッグクイーンを演じるというのは、それはそれで難しいことで、女性なんだから普通にしていればいいというのではなく、ドラッグクイーン独特の動きや喋り方をマスターしなければいけない。(思えば、ドラッグクイーンって女性を目指しているわりには「ドラッグクイーン」というひとつのカテゴリーの中の人たちって感じだよね。“女性”を目指すゲイの男性とはまた別物なのかなぁ?)どうしても体格とかで分かっちゃうけど、ニアもトニもらしくなるように頑張ってたのが良かった。

女性として舞台に立っていたときよりも、ドラッグクイーンとして舞台に立てば、下ネタでも毒舌でも好きなことが言えて気持ちいいという感覚はまさに、女性に対する偏見が残っているからであり、だからこそ、ドラッグクイーンのショーというのはウケるんだろうな。彼女たちが、舞台から笑いじわのある人生は素晴らしいとか、自分のありのままの体を愛してあげようと女性たちに送るメッセージは歪んだ美しさが蔓延する現代社会で彼女たちが“女性”としては大声で叫べないようなことなのかもしれない。

少し話しがずれたけど、映画としては先にも書いたように本筋を楽しむというよりも、コニーとカーラのショーとドラッグクイーンのお姉さんたちのセリフなんかを楽しんでください。それだけでも、十分見ごたえのある作品です。

オマケ1コニーとカーラがボーイフレンドを振り切って地元の町を離れる時、カーラがコニーに"Drive, Thelma, drive."って言ったように聞こえたんですよね。字幕にはなっていなかったので、ワタクシの耳が正しければ、「テルマ&ルイーズ」を意識したセリフやと思います。まさに「テルマ&ルイーズ」コメディ版ですもんね。

オマケ2この作品の中でドラッグクイーンの一人がdrug queenという言葉の由来として、「シェイクスピアが台本の端っこに"dressed as a girl" (女の子の服装をした男の役)と書いたのがそもそもの始まり」って言ってたけど、これって本当なのかなー。シェイクスピアならやりかねないとは思うけど、どうなんでしょう?