天使たちの探偵 |
沢崎シリーズの短編集です。
ハードボイルドな雰囲気を醸し出しつつ、しかし繊細な心理描写が際立っていて短くも奥が深く、今回も楽しませてもらいました。
ぶっきらぼうな沢崎はしかし金にもならないことに首を突っ込み依頼者の悩み、迷いを解決していく、仕掛けも無理がありませんしスッと入ってくる出来映えです。
惜しむらくは短編がゆえにシリーズのバックボーンたる渡辺の行方にからむテーマが置き去りにされていることで、錦織、橋爪といったお馴染みの面々もちょい役でしかありません。
長編の合間に執筆したものを集めたもののようなのでその前後関係も怪しい、と言いますか、どうやら先読みをしてしまったものもあるようです。
実のところ立て続けに長編を読み始めたのですがここで登場をするエピソードがちらほらと出てきて嬉しくもある一方で、しかしエピローグ的な最後の、後書きかとも思えるような数ページはシリーズの根幹を揺るがしかねない描写がありますので読まないことをお奨めします。
2017年9月14日 読破 ★★★★☆(4点)