電脳筆写『 心超臨界 』

あなたに対しあなた以上に懸命な忠告を
与えられる人はいない
( マルクス・トゥッリウス・キケロ )

人間通 《 評価――谷沢永一 》

2024-07-30 | 04-歴史・文化・社会
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
■超拡散『日本の「月面着陸」をライヴ放送しないNHKの電波1本返却させよ◇この国会質疑を視聴しよう⁉️:https://youtube.com/watch?v=apyoi2KTMpA&si=I9x7DoDLgkcfESSc』
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


時代の動きが殆(ほとん)ど見られぬ停滞の時代には新刊書と雖(いえど)も世の流れを反映することがないであろう。しかし今の世は烈(はげ)しい奔流が渦(うず)巻く転変の時代である。嘗(かつ)ての理論がすべて効力を失い、未曾有(みぞう)の新事態を解釈する手立てが見当らぬ混迷期である。世論は活(い)きている、理屈は死んでいる、と勝海舟は言った。新しく生起する事実に即して考えを絶えず修正してゆかねばならぬ。


◆評価

『人間通』
( 谷沢永一、新潮社 (2002/05)、p113 )

古典を読め、と脅(おど)しつける読書論は、型に嵌(はま)った如(ごと)く返す刀で新刊を斬(き)る。古典は人の心を豊かにして鎮(しず)めるが、新刊は人をきょろきょろ見に誘い軽薄に赴かせ落ち着きをなくさせる。静かに悠久の歴史に思いを馳(は)せ敬虔(けいけん)に遠き世の先賢に学べ。今日明日の慌(あわただ)しさ世の喧騒(けんそう)に思い患(わずら)うな、という嵩(かさ)にかかった荘厳(そうごん)なお説教である。それはまあ一応のご親切として聞きおくが、それなら新刊は何時(いつ)までも無視して遠ざけるのか。さすがにそこまで極端には走れないものだから、たとえば三年あるいは五年たって声価が定まった典籍なら読んでもよいと言う。ここで説教師の化けの皮がはがれるのである。それほど大切な声価なるものを定めるのは誰か。読むなと押し留められている一般読者であるわけがない。とすれば世に普(あまね)き並みの人の上に君臨する高級知識人が裁可してやるまで待てという遮断(しゃだん)を意味する。即(すなわ)ちまことに露骨な階級意識に基づく制圧である。思い上がるのもいい加減にしろと申さねばならぬ。

時代の動きが殆(ほとん)ど見られぬ停滞の時代には新刊書と雖(いえど)も世の流れを反映することがないであろう。しかし今の世は烈(はげ)しい奔流が渦(うず)巻く転変の時代である。嘗(かつ)ての理論がすべて効力を失い、未曾有(みぞう)の新事態を解釈する手立てが見当らぬ混迷期である。世論は活(い)きている、理屈は死んでいる、と勝海舟は言った。新しく生起する事実に即して考えを絶えず修正してゆかねばならぬ。活きている世間の実態を知るためには、性根を据(す)えて書かれた効き目のある新刊書に期待するしかないのである。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 向上心 《 決断せよ、そこか... | トップ | 日本史 古代編 《 世界的レベ... »
最新の画像もっと見る

04-歴史・文化・社会」カテゴリの最新記事