かつて石鹸のセールスマンで自分を批判して欲しがった男――Ｅ・H・リトル

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私は、かつて石鹸のセールスマンで、自分を批判して欲しがった男を知っている。彼は初めてコルゲート石鹸を売り始めたとき、あまり注文が取れなかったので、仕事を失うのではないかと心配になった。彼は石鹸の品質、価格には何ら欠陥のないことを承知していたから、問題は自分にあると考えた。


◆かつて石鹸のセールスマンで自分を批判して欲しがった男――Ｅ・H・リトル

「道は開ける」
（ デール・カーネギー、創元社、p311 ）

私は、かつて石鹸のセールスマンで、自分を批判して欲しがった男を知っている。彼は初めてコルゲート石鹸を売り始めたとき、あまり注文が取れなかったので、仕事を失うのではないかと心配になった。彼は石鹸の品質、価格には何ら欠陥のないことを承知していたから、問題は自分にあると考えた。売り込みに失敗したときなど、何がいけなかったのかを考えながら、売り込み先の近辺を歩き回ったものである。要領が悪かったのだろうか？　熱意が足りなかったのだろうか？　ときどき彼は小売商の店へもどってきて言った。「私は石鹸を売りつけにきたのではありません。あなたのご批判とご意見をうかがいたいのです。さっき石鹸を売り込もうとしたとき、私がどんなヘマをしたのか、それを教えてください。あなたは私よりもはるかに経験がおありだし、成功していらっしゃるのだから、遠慮なく思いきり批判してください」。

この態度によって彼は多くの友だちをつくり、きわめて貴重な忠告をかちえたのであった。そして、彼は現在、世界最大の石鹸製造会社であるコルゲート・パラモライブ・ピート石鹸会社の社長である。彼の名はＥ・Ｈ・リトルという。