主役には牛肉のように存在感のある役者――黒澤明監督

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◆主役には牛肉のように存在感のある役者――黒澤明監督


『回想　黒澤明」』
（ 黒澤和子、中央公論新社 (2004/8/1)、p20 ）

「主役には、演技はダイコンでも、牛肉のように存在感のある役者。脇を固めるのは、しっかりした演技のできる器用な味付け役者。そこにくさい演技のニンニク役者を利かせて、無味無臭の自然なミネラルウォーターのような役者で煮込むんだ」

父曰く、成瀬（巳喜男）監督や溝口（健二）監督、小津（安二郎）監督に比べれば、僕はやさしい。

「こんなふうにやってみたら、こうしてみればなんて、我慢しきれずに教えちゃうからね。本当は、自分自身でできるまで、じっと待ってられる監督が、いい役者を育てるんだけどね。僕は気が短いから駄目だ」