植民地戦争+α

歴史テーマの中量級のボードゲームを制作し、ゲームマーケットに出展しています。
なので歴史とボドゲの話が多いです。

あなたは10年後もボードゲーム制作をしていたいですか?

2018年12月25日 08時20分57秒 | ゲームシステム
本記事は I was game のカレー様が毎年行なっている
ボードゲームデザインアドベントカレンダー』の12月25日目として投稿しているものです。
ここまで、25日間読破お疲れ様でした。これで今年は最後になります。今しばらくお付き合いください。





ボードゲーム製作者として「あなたは10年後もボードゲーム制作をしていたいですか?」

ちょっと偉そうなことを書きました。

まずは、うちの事を知らない方も多いと思いますので、自己紹介から。
うちはゲームマーケットが浅草で行われていた時代から参加している古参のサークルで来年活動12年目になります。
処女作が「植民地戦争」と言うゲームを作ったので、そのまま「植民地戦争+α」をサークル名にしています。
代表作は、「樹ブロック」、2017年のゲームマーケット大賞 二次選考通過作品「ローマの力」、
2018年は、「神倭のくに」が一次選考を通過しました。2018年秋の作品が「メソポタミアの扉」になります。

多分これだけ作品を並べましたが、知っている方はごく一部のゲームマーケットでは中堅ぐらいのサークルになります。



そんなうちが記事を書こうと思った際に、書けることとして考えたのが、長く続ける為の方法です。
私が思う答えは、

 黒字でやっていく

です。遠方からゲームマーケットに出展されているサークルさんもいるので、旅費・宿泊費を入れたら、
絶対に黒字にならないよ! ってサークルさんも居られると思いますので、もう少し丁寧に書くと、
他の趣味、例えばゴルフとか、旅行とか、映画鑑賞などでもその趣味にはお金が掛かります。
趣味として続けられる範囲内で、お金を使っていると思います。
それと同じように、旅費・宿泊費を入れたら赤字になるとしても、
その赤字幅を趣味として許容できる範囲におさめないと長く活動できないと思っています。

ゲーム制作にはお金が掛かります。
例えば、1個当たりの原価が1,000円のゲームを100個作ったとしましょう。
そうすると、なんと10万円も費用が要ります。ゲーム制作はお金が掛かる趣味なのです。

これを1,200円で売ったとして、完売すればよいのですが、例えば80個売ったとしたら、
売上は 96,000円となり、4,000円の赤字です。
さらにゲムマの出展料が1万円前後掛かりますし、それ以外にもチラシやらポスターなどの販促品、
果ては、ゲムマまでの間にテストプレイなどで遠征した費用がもろもろ掛かっているハズです。
そうなるとこの採算ではやっていけません。

前にコラムの記事で、あるコンサルタントが赤字旅館を立て直す話を読んだことがあります。
結果から言うと、値上げしたのです。値上げ、つまり宿泊費を高くすることで、利益を上げます。
勿論、高くなったことで、宿泊しない客も増えるでしょう。しかしそれよりも、利益率を高めることが
重要だと言う訳です。

前述のゲムマでの例ですと、1,500円で売るなら70個売れば、105,000円で 5,000円の黒字。
1,800円で売るなら、60個でも 108,000円で、8,000円の黒字です。



ゲームマーケットと言う市場の中で、他のサークルさんも値決めをして売っている訳ですから、
むやみに高くすることはできませんし、そもそも作った作品が売れなければなりません。
そこでここからが本題です。

 では、どうやって売るかです。

実は、うちもかなり苦戦した時期がありました。ゲームが面白い/面白くないとは別の尺度で、
売れる/売れない があることをまざまざと思い知らされ、
デザイナーとして「面白いゲームを作る」とは別に、
サークル活動を今後続ける為にも「売れるゲームを作る」必要に迫られました。

「売れるゲーム」・・・話題になりそうなゲーム、流行りに乗ったもの、綺麗なイラストのゲーム、
度肝を抜くコンポーネント、誰も考え付かなかったような発想・・・こんなゲームが
作れたら解決なのでしょうが、そんなゲームは私には作れません。



そこで、前に仕事の研修で学んでいた知識を使って、「ニッチ戦略」を取ることにしてみました。
ニッチ戦略とは、ゲームマーケットを1つの市場と考えた場合に、
そのすべての来場者をターゲットとするのではなく、他のサークルさんが
あまりターゲットにしていない層に特化した商品を作っていく戦略のことです。

当時、「ローマの力」が良い評価を得ましたので、ここからうちの製作する商品を、

 歴史系テイストの中量級ボードゲーム

特化することにしました。(まだ、試行錯誤中ですが。。。)
そこから、少し軽めの日本神話を題材とした「神倭のくに」や、幕末を舞台とした「幕末の行末」、
そして次回は、またヨーロッパに戻って14世紀ロシアを舞台とした『公国のペレストロイカ』を
現在、鋭意製作中です。

勿論、歴史をテーマとする訳ですから、あまりハンパなことは出来ず、
製作段階では、きちっとその時代の歴史については調べます。
ローマの力は、当時のローマ属州がウリでしたので、各属州の情報をひたすら集めましたし、
幕末の行末ではその時代の登場人物について散々調べた他、司馬遼太郎先生の「峠」を読みました。
「峠」は、直接的には河井継之助の効果を決めるのに役立ちましたが、間接的には、
場札を、「街道札」と呼称するなど、テーマのバックボーンとして大いに役立ちました。

そして今回の「公国のペレストロイカ」についても、

「ロシアの源流」(著:三浦清美 講談社選書メチエ)
「ロシアの装飾文様」(青幻舎)
「世界の教科書シリーズ31 ロシアの歴史【上】」(明石書店)

などを読んで知識をインプットしています。

歴史に興味ない方にも楽しんで貰えるゲームを作っていますが、歴史を知っている人が遊んだら、
「ああー」と感じて貰えるようなものにしたく、その努力を行っております。




この方法ですが、最近読んだビジネス書の言葉を借りると「コア・ブランド」の作成です。
自分だけの強みを商品に反映させ、ちゃんとそのことを宣伝していく
「歴史系の中量級ボードゲームなら、植民地戦争+αさんだよね。」と言われ、
ファンとなってくれる方を増やしていけるように、歴史に特化した作品作りを頑張って続けております。


是非、長く続け、長く売り続ける為にも、あなただけの「何か?」コア・ブランドを作って、
「なになになら、どこどこのサークルさんだよね。」
言われることを目指してみては如何ですか?

これによって、ターゲット層の囲い込みが出来れば、一定数ゲームが安定的に購入・応援され、
それが長く活動を続ける活力になっていくかもしれません。

「あなたは10年後もボードゲーム制作をしていたいですか?」
 
私は続けたいです!



クリスマスに贈るボードゲームデザインのお話でした。





ゲームマーケット2019春、予定の新作『公国のペレストロイカ』はこんな作品です。
□が木材、△が毛皮の山、板が麦畑で、木材・毛皮・麦を集めて町を作るカードゲームです。
※まだ、カードもコンポーネントの木材もモックの状態です。



昔、ルーシの地にはキエフ大公国と言う大国がありました。
キエフ大公国は分割相続により、幾つもの公国に分かれました。

その後、タタール(モンゴル)の大侵寇を受けます。
財は略奪され、街は焼かれ、人々は殺されました。

あなたは、ルーシの諸公国の公(クニャージ)となって、
荒廃した公国をペレストロイカ(再建)するのです。

依然、タタールの脅威はありますが、毛皮や木材・麦を産出し、
交易により財を増やして、街や教会を建てましょう。
そしてルーシで一番の大公(ヴェリーキー・クニャージ)となるのです!


興味が湧きましたら、製作コンセプトをご覧ください。
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