植民地戦争+α

歴史テーマの中量級のボードゲームを制作し、ゲームマーケットに出展しています。
なので歴史とボドゲの話が多いです。

集団がダメになる過程を見て、ゲムマへの危惧

2018年12月29日 19時42分30秒 | ゲームシステム
集団がダメになる過程」と言うツイートを見て、最近のゲームマーケットの状況への危惧をとても抱いております。

私は浅草時代からの出展ですので、ゲームマーケットが大きくなっていき、様変わりしていくのを肌で感じています。
最初は、出展者も来場者も有志の集まりの様な会でしたので、ゲームマーケットと言う場を愛している人たちで構成されていた気がしています。
愛があるので、出展者も来場者も自己よりもゲームマーケットと言う会そのもののことを考えて行動し、一種の共通の認識と言うか、ルールと言うか、マナーと言うものが存在していた様な気がします。

段々とゲームマーケットが大きくなり参加者が増え、商業的要素が入ってくると、買う方は来場者と言うよりお客と言う立場を鮮明にし、出展者も次第に販売者になってくると、それぞれゲームマーケットの会 全体を考えるのではなく、自己の利益が優先されるようになって来たと感じます。

【来場者側】
 ・予約品の引き取りに来ない(とりあえず予約して、当日モノを見て判断する)
 ・転売目的での購入(サークルの販売価格よりも高値での販売を目的としたもの)
 ・ルールだけの販売や、100円ショップ部材の使用作品にケチをつけての値引き依頼

【出展側】
 ・運営が制限を掛けるきっかけとなるゲームマーケットサイトへのマナーを逸脱した投稿
 ・運営がやり方を試行錯誤するようになった新作アンケートへの不正票問題
  (出展側か不明ですが、今回も上位に意図的に 1を入れていると思われる行為があるようです。)
 ・ルールの盗作問題

【その他】
 ・ボドゲカフェや、ボードゲーム会を利用した勧誘行為
  (ゲームマーケットではありませんが)


今年、ツイッター上への告知を見て、この様な問題が噴出していました。
私も、一部について直接の被害を受けたり、心無いメールを貰っては気持ちが凹む機会が出てきました。他のサークルさんのツイートやその対策を見るに、同じように心無い行為にぶち当たり、心を傷めているんだと思います。
なにぶん、作った作品は商品ではなく手塩に育てた「我が子」であり、販売を「貰われていく」と考えていますので、ビジネスだけでは語れない想いが作品には詰まっています。

あるツイッターの投稿で、ボードゲームでは無い同人ジャンルの出来事として、そのジャンル全体に対して商品レビュー欄に(商品も恐らく買っていない)批判を書く輩が居て、その為に同人活動を止めてしまう作家さんがいると言う話も見ました。たった1人の心無い行為で、何人もの作家さんの心を折ることが出来るのです。
これは、かなり極端な例ですが、ボードゲーム制作も個人でやっておりますので、そういった心無い行為に対しては脆く儚いのです。


一方でゲームマーケット及びボードゲーム制作活動によって精神的に助けられたことも多くあります。
実は現在、医者から適応障害と診断を受けて休職中でして、この2年間仕事では倒れるほどのストレスを受けていた状況でした。そのストレスが身体の方に出てしまった結果の休職ですが、気持ち的には幸いにもポジティブにも考えられる状況なのは、ひとえにゲムマ活動の楽しみに支えられたと思っています。
各種ボードゲーム会に参加したりして、他のサークルさんと交流し良くして頂いたり、大好きなボードゲームを遊べたり、ゲームマーケットではうちの作品のファンだと言ってくれる来場者様に応援して頂いたりと、本当に精神的に助けられました。


日に日に、ボードゲームの知名度は高くなり、日本のボードゲーム市場は大きくなり、それにつれてゲームマーケットの規模はより一層大きくなって行くと思います。それ自体は、一出展者としても、一ボードゲーマーとしても好ましいことです。
一方、規模が大きくなれば必ず一定の割合で、マナー違反どころか、詐欺などの犯罪レベルもそのうち出てくると思います。

しかし、このことを憂いていても仕方ありません。
自らマナー違反となるようなことにならない様に、他の出展者様、来場者様にとってもゲームマーケットの場が気持ち良い場であるように、自ら律して作品作りや、ゲムマ活動をしていきたいと思います。

私一人がゲームマーケットに影響を及ぼせることは皆無ですが、ボードゲームもゲームマーケットも大好きですので、この様な記事を書かせて頂きました。まもなく今年も終わります。来年もボードゲーム業界及びゲームマーケットにとって良い年でありますように。

植民地戦争+α 千夜一葉
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あなたは10年後もボードゲーム制作をしていたいですか?

2018年12月25日 08時20分57秒 | ゲームシステム
本記事は I was game のカレー様が毎年行なっている
ボードゲームデザインアドベントカレンダー』の12月25日目として投稿しているものです。
ここまで、25日間読破お疲れ様でした。これで今年は最後になります。今しばらくお付き合いください。





ボードゲーム製作者として「あなたは10年後もボードゲーム制作をしていたいですか?」

ちょっと偉そうなことを書きました。

まずは、うちの事を知らない方も多いと思いますので、自己紹介から。
うちはゲームマーケットが浅草で行われていた時代から参加している古参のサークルで来年活動12年目になります。
処女作が「植民地戦争」と言うゲームを作ったので、そのまま「植民地戦争+α」をサークル名にしています。
代表作は、「樹ブロック」、2017年のゲームマーケット大賞 二次選考通過作品「ローマの力」、
2018年は、「神倭のくに」が一次選考を通過しました。2018年秋の作品が「メソポタミアの扉」になります。

多分これだけ作品を並べましたが、知っている方はごく一部のゲームマーケットでは中堅ぐらいのサークルになります。



そんなうちが記事を書こうと思った際に、書けることとして考えたのが、長く続ける為の方法です。
私が思う答えは、

 黒字でやっていく

です。遠方からゲームマーケットに出展されているサークルさんもいるので、旅費・宿泊費を入れたら、
絶対に黒字にならないよ! ってサークルさんも居られると思いますので、もう少し丁寧に書くと、
他の趣味、例えばゴルフとか、旅行とか、映画鑑賞などでもその趣味にはお金が掛かります。
趣味として続けられる範囲内で、お金を使っていると思います。
それと同じように、旅費・宿泊費を入れたら赤字になるとしても、
その赤字幅を趣味として許容できる範囲におさめないと長く活動できないと思っています。

ゲーム制作にはお金が掛かります。
例えば、1個当たりの原価が1,000円のゲームを100個作ったとしましょう。
そうすると、なんと10万円も費用が要ります。ゲーム制作はお金が掛かる趣味なのです。

これを1,200円で売ったとして、完売すればよいのですが、例えば80個売ったとしたら、
売上は 96,000円となり、4,000円の赤字です。
さらにゲムマの出展料が1万円前後掛かりますし、それ以外にもチラシやらポスターなどの販促品、
果ては、ゲムマまでの間にテストプレイなどで遠征した費用がもろもろ掛かっているハズです。
そうなるとこの採算ではやっていけません。

前にコラムの記事で、あるコンサルタントが赤字旅館を立て直す話を読んだことがあります。
結果から言うと、値上げしたのです。値上げ、つまり宿泊費を高くすることで、利益を上げます。
勿論、高くなったことで、宿泊しない客も増えるでしょう。しかしそれよりも、利益率を高めることが
重要だと言う訳です。

前述のゲムマでの例ですと、1,500円で売るなら70個売れば、105,000円で 5,000円の黒字。
1,800円で売るなら、60個でも 108,000円で、8,000円の黒字です。



ゲームマーケットと言う市場の中で、他のサークルさんも値決めをして売っている訳ですから、
むやみに高くすることはできませんし、そもそも作った作品が売れなければなりません。
そこでここからが本題です。

 では、どうやって売るかです。

実は、うちもかなり苦戦した時期がありました。ゲームが面白い/面白くないとは別の尺度で、
売れる/売れない があることをまざまざと思い知らされ、
デザイナーとして「面白いゲームを作る」とは別に、
サークル活動を今後続ける為にも「売れるゲームを作る」必要に迫られました。

「売れるゲーム」・・・話題になりそうなゲーム、流行りに乗ったもの、綺麗なイラストのゲーム、
度肝を抜くコンポーネント、誰も考え付かなかったような発想・・・こんなゲームが
作れたら解決なのでしょうが、そんなゲームは私には作れません。



そこで、前に仕事の研修で学んでいた知識を使って、「ニッチ戦略」を取ることにしてみました。
ニッチ戦略とは、ゲームマーケットを1つの市場と考えた場合に、
そのすべての来場者をターゲットとするのではなく、他のサークルさんが
あまりターゲットにしていない層に特化した商品を作っていく戦略のことです。

当時、「ローマの力」が良い評価を得ましたので、ここからうちの製作する商品を、

 歴史系テイストの中量級ボードゲーム

特化することにしました。(まだ、試行錯誤中ですが。。。)
そこから、少し軽めの日本神話を題材とした「神倭のくに」や、幕末を舞台とした「幕末の行末」、
そして次回は、またヨーロッパに戻って14世紀ロシアを舞台とした『公国のペレストロイカ』を
現在、鋭意製作中です。

勿論、歴史をテーマとする訳ですから、あまりハンパなことは出来ず、
製作段階では、きちっとその時代の歴史については調べます。
ローマの力は、当時のローマ属州がウリでしたので、各属州の情報をひたすら集めましたし、
幕末の行末ではその時代の登場人物について散々調べた他、司馬遼太郎先生の「峠」を読みました。
「峠」は、直接的には河井継之助の効果を決めるのに役立ちましたが、間接的には、
場札を、「街道札」と呼称するなど、テーマのバックボーンとして大いに役立ちました。

そして今回の「公国のペレストロイカ」についても、

「ロシアの源流」(著:三浦清美 講談社選書メチエ)
「ロシアの装飾文様」(青幻舎)
「世界の教科書シリーズ31 ロシアの歴史【上】」(明石書店)

などを読んで知識をインプットしています。

歴史に興味ない方にも楽しんで貰えるゲームを作っていますが、歴史を知っている人が遊んだら、
「ああー」と感じて貰えるようなものにしたく、その努力を行っております。




この方法ですが、最近読んだビジネス書の言葉を借りると「コア・ブランド」の作成です。
自分だけの強みを商品に反映させ、ちゃんとそのことを宣伝していく
「歴史系の中量級ボードゲームなら、植民地戦争+αさんだよね。」と言われ、
ファンとなってくれる方を増やしていけるように、歴史に特化した作品作りを頑張って続けております。


是非、長く続け、長く売り続ける為にも、あなただけの「何か?」コア・ブランドを作って、
「なになになら、どこどこのサークルさんだよね。」
言われることを目指してみては如何ですか?

これによって、ターゲット層の囲い込みが出来れば、一定数ゲームが安定的に購入・応援され、
それが長く活動を続ける活力になっていくかもしれません。

「あなたは10年後もボードゲーム制作をしていたいですか?」
 
私は続けたいです!



クリスマスに贈るボードゲームデザインのお話でした。





ゲームマーケット2019春、予定の新作『公国のペレストロイカ』はこんな作品です。
□が木材、△が毛皮の山、板が麦畑で、木材・毛皮・麦を集めて町を作るカードゲームです。
※まだ、カードもコンポーネントの木材もモックの状態です。



昔、ルーシの地にはキエフ大公国と言う大国がありました。
キエフ大公国は分割相続により、幾つもの公国に分かれました。

その後、タタール(モンゴル)の大侵寇を受けます。
財は略奪され、街は焼かれ、人々は殺されました。

あなたは、ルーシの諸公国の公(クニャージ)となって、
荒廃した公国をペレストロイカ(再建)するのです。

依然、タタールの脅威はありますが、毛皮や木材・麦を産出し、
交易により財を増やして、街や教会を建てましょう。
そしてルーシで一番の大公(ヴェリーキー・クニャージ)となるのです!


興味が湧きましたら、製作コンセプトをご覧ください。
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ゲームマーケット2019春の新作はロシアだー!

2018年12月14日 21時26分38秒 | ゲームシステム
まだ、かなり時期が早いのですが、


 歴史×中量級ボードゲーム製作サークル 植民地戦争+α

 新作は 13・14世紀の ロシアを舞台とした建築ゲーム
 『公国のペレストロイカ』です。


13・14世紀のロシアと言うと、まだロシアって国は存在せず、
ウラジーミル・スーズダリ、ロフトス、トヴェリ、スモクレン、そしてモスクワといった、
ルーシの諸公国が存在するだけで、しかも、モンゴル・タタールの支配下にある状態でした。
(ゲームシステム上、ある条件が満たされると「タタールの侵寇」が発生し、
 全プレイヤーがバーストしたりするなど、当時の歴史テイストを入れる予定です。)

そんな中、プレイヤーは、公(クニャージ)となって、自分の公国を発展させていくゲームです。
(勿論、当時の歴史を知らなくても純粋に国造りを楽しめるものになります。)


私の好きなゲームにショーナンロケッティアズ様の「ウサギの黄金時代」と言うゲームがあります。
プレイヤーは、宰相となって、相手と執政対決を行い、ポイントを稼ぐ対戦型カードゲームです。

あと目的もテーマも違うのですがStudio GG様の作品で「きょうあくなまもの」と言うゲームがあります。
こちらは、魔術師となって、手札のカードを駆使して戦い、相手のライフを0にして倒すゲームです。

システムは違うのですが、どちらも少ないカード枚数を有効に使って、濃厚な戦略性を実現しています。
この二つのゲームを遊んだ際に、カード枚数の少なさから生まれる戦略性にとても感動したものです。
同じ製作者として、「少ないカード枚数のゲーム」に挑みたくなり、
今回作ってみたのが『公国のペレストロイカ』のゲームになります。

但し、両ゲームを真似るのではなく、自分なりの目標を持ちオリジナリティを出すことにました。
(実は、以前同じ試みで、「Re:植民地戦争」と言うゲームを作ろうとして、
オリジナリティを出しきれずに頓挫した経緯があります。)


【前提】
 ウサギの黄金時代や、きょうあくなまものみたいな
 少ないカード枚数で戦略を取れるものを作る

【目標】←ここがオリジナリティーになります。
 1.両ゲームは2人用なので、1~3人用と3人まで遊べるゲームを目指す
 2.好きなテーマ「街づくり」にする



1.の3人はカードを20枚にすることとあまり手持ち枚数を多くさせないことで、解決しました。
手持ち枚数を少なくすると、選択肢が減るので、取れる手段が減る一方、思考時間が短くなるメリットがあります。
この選択肢を減らすは諸刃なので、どこまで減らずべきかは注意が必要ですね。
また、4人用まで広げることも考えましたが、そうなるとカード枚数が多くなりすぎ、
本来の、少ないカード枚数のメリットが失われるので、3人用までにしました。

2.の街づくりは難儀でした。通常、カードそのものが建物カードで、それを建築ないしは購入して、
場に出していくことで、街が作られていくという手法が街づくりをカードゲームで行う場合、
もっともポピュラーな方法です。

しかし、この方法ですと、カードがプレイヤーの場に残り続けてしまい、少ないカード枚数で
実現するのが困難でした。
そこで、カードはあくまで資材を得たり、建物を作ったりする効果だけの使い切りにして、
街は、資材を集めてつくることにしました。

ロシアだったので、イメージとしてはシベリアの毛皮と、ノヴゴロドの木材、ポーランド・リトアニアの麦です。
毛皮・木材・麦を集めると、「カタンの開拓者たち」のように家が建つと言う方法が思いつき、
それぞれの資材を、毛皮=△、木材=□、麦=_(平の土地) にすることで、
これを『そのまま積み木のように組み立てて家を作る』ことを思いつきました。

※カードはまだ製作中の段階で、デザインが変更される場合もあります。


□家 ←△毛皮+□木材+_麦 


積み木の様に、色々な形の家々を作るのは楽しいと思い、この方向でゲームを完成させることにしました。

こんな感じで、次回作は、少ないカードを上手く使うハンドマネージメントとリソース管理で、
他のプレイヤーよりも豊かな(高得点の)街を作って行くゲームになりそうです。

ご期待ください。最後に、ゲームの世界背景(フレーバー)はこんな感じ。。。



昔、ルーシの地にはキエフ大公国と言う大国がありました。
キエフ大公国は分割相続により、幾つもの公国に分かれました。

その後、タタール(モンゴル)の大侵寇を受けます。
財は略奪され、街は焼かれ、人々は殺されました。

あなたは、ルーシの諸公国の公(クニャージ)となって、
荒廃した公国をペレストロイカ(再建)するのです。

依然、タタールの脅威はありますが、毛皮や木材・麦を産出し、
交易により財を増やして、街や教会を建てましょう。
そしてルーシで一番の大公(ヴェリーキー・クニャージ)となるのです!



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