ウチの近所、そうですね、歩いて10分くらいのところに小さな山というか丘にな った公園があります。
子供のための遊具なんかもチラっとはあったりするんですが、子供が子供同士で遊んでいるのを見かけたことは余りありません。どちらかというと夕方になると近所の方が飼い犬を連れて散歩にみえることが多いです。
この公園にダーリンと一緒に散歩にいきました。
公園には白い猫が気持ちよさそうに木々の間で涼んでいました。いま、めずらしくなりましたもんね。猫でも外には出さないようにして飼うのが一般的になってきましたから。確かに猫はあちこちでおしっこやウンチをするし、なぜか動くものをみると向かっていってしまう習性があるので車に轢かれる危険性も多いし、そう考えると家のなかで飼うほうが誰にとっても幸せなんでしょうけれど、なんだか近所のあちこちにトーゼンのように我が物顔をした猫がいないとつまんないような気もします。
ここでなんと、白い猫ともう一匹、三毛猫に出会ったんです! 三毛猫って遺伝子の関係でほとんど生まれないとかで今では珍しくなってしまったそうですね。確かにほとんど見かけません。でも今、目の前にあたりまえのようにあくびをしてくつろぐ三毛猫がいる! 興奮してしまいました。なんとか寄ってこないかなあ、と文字通り猫なで声を出してみましたが、正しい猫にあるべき姿として警戒心が強く、3メートル以内に近寄ろうとするとするりと居場所を変えて逃げてしまいました。
そのうち、猫が動物園にいるような時代になるんじゃないでしょうかねえ。
丘の上から空を眺めると、なんともう赤とんぼが一杯発生していました。どうして、こういう緑があるところへ来ると、自然に空を見上げたくなるんだろう。
ふつうに商店街やビルの谷間を歩いていてもあまり空って見上げないのに。
丘の上から眺める景色は、視界の中に緑とビルと赤とんぼがすべて入ってきてなんだか変な気がしました。都会と郊外、人工物と自然、無機物と有機物がすべてひとつのなかに渾然一体となっているのってなんか不思議。
わけもなく、
「しあわせだねえ。」とつぶやきたくなります。
「こういうなんでもないことが幸せなんだねえ。」と言うと、ダーリンが、
「ここに犬を連れてこられたら、完璧な幸せなんだけどな。今いるところじゃペット飼えないもんな。」とぽつり。私もダーリンも動物が大好きなんです。
私は比較的大きな動物が好きで、小さい頃から親に「弟がほしい」とか「妹がほしい」とは言ったことがありませんが、「馬飼って」「ライオン飼って」「チーター飼って」などと無茶を言っていました。
ダーリンはダーリンで、この前義母さんが言っていたけど、
「小さい頃、誰がどう見ても、もう死ぬ間際やろ、っていう子猫を拾ってきてたことがあったわねえ。どうしようもないんやけど、ほうっとけんかったんやろねえ。」って、優しいとこあるじゃないの。
「だけど、飼えるようなところに引っ越したら、逆にこの公園には来れないよ、きっと。だから、今はこれでいいんだって。」
「そうだな。そっか。」
こんななんでもない会話を楽しみつつ、少し秋の気配を楽しみつつ、公園を散策して帰ってくる、こんなちょこっとお出かけが大好きです。
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