団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

コロナの野戦病院より病院船

2021年10月05日 | Weblog

  岸田文雄さんが自由民主党の総裁選を経て、日本国の首相に就任した。総裁選さなかに岸田さんは公約の中で「野戦病院の開設」を訴えた。

 私は以前から日本は病院船を持つべきだと主張してきた。今回の4人が立った総裁選に於いて、誰か一人くらいは「病院船」を公約にしてくれるのではと淡い期待を持った。残念ながら誰一人病院船には触れなかった。

 日本で総裁選が始まっていた頃、北朝鮮はあいついでミサイルを発射した。それに呼応するかのように、ある候補者は日本でのミサイル装備に言及した。

  軍備増強や拡張は、わがままな子供がオモチャを欲しがるさまに似ている。次々に新しいオモチャが出て来る。自分が持っている物よりいい物が出れば、目移りしてそれを欲しがる。手に入れるとそれを使ってみたくなる。この種の欲には際限がない。

  日本は第二次世界大戦で敗けた。広島と長崎に原子爆弾まで落とされた。ソビエト連邦とアメリカ合衆国との冷戦時代を経て、現在は中国とアメリカとの覇権争いに突入している。世界には常に戦争の種があちこちに存在している。いつその種がジャックの豆の木のように突然芽を出すかわからない。敵味方、離れたりくっ付いたりを繰り返す。そんな世界的傾向の中で、その流れに押し流されるように、他の国々がしているからと、日本も再び軍事力増強に目を向け始めている。

  私が小学生の時、スイスが社会科の授業で永世中立国だと教わった。小学生の理想の国家は、スイスはいつも一番だった。まるで、地球上に唯一存在する、理想国家のような印象を植え付けられた。私自身、大人になってから、何度スイスに行ってもスイスが好きになれないでいる。スイスに実際に住んでいた友人たちの多くもスイスが子供の頃持った決して理想的な国でないと聞いた。東洋人に対する差別が酷い。国民全体が秘密警察のように隣近所の住人を見張りあっている。スイスのような小国が、他国に侵略されることなく独立を保つには、それ相当の手段が必要だった。地球上に理想の国家など存在しない。

  私は思う。日本は海に囲まれた島国だ。造船業もかつては世界一と言われるほどだった。岸田さんの選挙区は、まさに戦時中、戦艦大和を建造したほどの造船業が盛んな所だった。野戦病院何て言っていないで、ミサイルの開発や空母の建造やステルス戦闘機の購入をするより病院船を造って欲しい。世界がこれから益々軍備競争をしていく中で、日本は、病院船をそれこそ各県単位で所有して、コロナのような恐ろしい感染病や災害の時に世界のどこへでも派遣して人々の救助治療に尽くす。世界の傾向と逆走するべきである。それが戦争を起こした罪滅ぼしでもある。

  日本が、私の小学生の時教えられたスイスのような国になって欲しい、とは思わない。しかし現在、医学でも造船技術でも日本は卓越している。世界で役立つ病院船を建造運営する実力がある。海に囲まれた環境を活かし、日本であろうが世界のどこで災害が起こっても、危険な感染症が起こっても、日本はただひたすらお手伝いをさせてもらう。それを何年も何世紀も続けていれば、感謝されることはあっても、日本を侵略しようと思う国はないであろう。万が一どこかの国が尖閣を奪ってから日本に攻め込もうにも、世界がそれを許さないに違いない。それこそが最大の防衛力ではないだろうか。

 今回の東京オリンピック・パラリンピックの選手村で、ある国が開催国を貶めるような垂れ幕を出した。選手村の食事は、放射能に汚染されていると言って、自国の食堂をわざわざ設置した。しかし多くの国々の選手や役員たちは、感謝の垂れ幕を出し、SNSで選手村の食事や設備や部屋からの美しい光景を世界に発信してくれた。ちゃんと素直に見ていて、評価してくれる人や国がある。ひるむことはない。日本が国としてできることをコツコツとしていくだけである。今の政治は、将来の日本像を持てない人々の手にあるのが残念だ。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 漏水率 | トップ | まだ使える、もう使えない。 »
最新の画像もっと見る

Weblog」カテゴリの最新記事