団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

面倒くさい? 消費税 軽減税率

2015年10月19日 | Weblog

  麻生財務大臣が軽減税率を「複数税率を入れるのは面倒くさい。それを面倒くさくないようにするのが手口だ」と言った。谷垣幹事長は麻生大臣の「面倒くさい」を批判して「煩雑」と言い直すようにと発言した。言葉遊びである。現在の日本の一般庶民の置かれている立場が鮮明に表わされている。政治屋や役人が軽減減税によって被るであろう“面倒”を論じても税金を払う側の一般庶民を代弁することはない。封建時代から脈々と日本に続く、お上と下々の関係そのものである。下々は、お上の言うことを聞いておればよい。下々は、お上を余計な作業で煩わせるな、が見え見えである。一番意見を聞かなければならないのは納税者からだ。財務省でも経団連でも新聞社でもない。

  私が50年前、日本の高校からカナダの高校へ転校して、一番驚いたのはカナダの高校では日本の高校が面倒くさがっていることを当たり前のように受け入れていたことである。例えば、選択科目。日本で選択科目は学校側の都合で決められ、生徒の希望通りにはいかなかった。やれ希望人数が少ない。担当教師がいない。教室がない。ところがカナダの学校ではたとえ希望者が一人でも生徒がいれば選択は叶えられた。テストを受ければ、日本では○と×と点数だけが書かれたテスト用紙が教師から返されたが、カナダでは日本の添削教育会社顔負けの書き込みがあるテスト用紙が返された。私はその“面倒くさい”ことを丁寧にこなしている教職員に感心した。

  消費税はヨーロッパや北アメリカで経験した。これから日本が導入しようとする軽減税率も多くの国々で経験している。消費税先進国はコンピューターが今より普及発達していない時から日本の政治屋や官僚や事業主が“面倒くさい”と捉える計算をして消費税を消費者に納めてもらっていた。そこにカナダの学校で当たり前のようになされていた“面倒くさい”ことに共通する社会のシステムを感じる。いまやコンピューターの時代である。どんなに複雑な軽減税率であろうと複雑なら複雑なほどコンピューターは面倒くさがらずに答えを出す。スマートフォン用に日々新たなアプリが登場する。ゲームの世界はすでに私の想像を超えているほどソフトは進化している。ゲームソフトやアプリのプログラムがこれだけ開発されているのに軽減税ぐらいのプログラムができないはずがない。

  私は優秀だと言われる日本の官僚、特に財務省の官僚が消費税、軽減税率に関して“面倒くさい”“導入するには時間がかかる”などとごねるのは何か魂胆があるからだとみる。いったい何をしようとしているのか、私には皆目見当がつかない。

  軽減税率の指定を受けようと経団連、日本商工会議所、業者などの駆け引きが活発である。新聞も躍起になって新聞が軽減税率の適用を受けられるよう自社紙面を使って訴えている。私に提案がある。納税者に軽減税率を受ける品目を選択させるのである。一人10品目などとして納税者が指定された品目の中から選べるようにする。マイナンバーまで導入しようとする国である。“面倒”と決して言うことのないコンピューターはマイナンバーと組み合わせていとも簡単にシステムを構築してしまうに違いない。

  私は“面倒くさいことをあえてやる”こそ日本を救う、変える鍵だと信じてやまない。

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