団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

録画して楽しんだ大相撲

2020年08月03日 | Weblog

  妻は大相撲をテレビ観戦するのが好きだ。しかし土日以外の曜日に生中継を観ることができない。勤務を終えて帰宅するとすでにその時間には相撲中継は終わっている。大相撲のテレビ中継は、午後3時から始まり6時頃終わる。私にとってこの時間は結構暇を持て余している。奇数月の年6回開催の大相撲は、私にとって熱中できる楽しみな時間である。しかしある時から実況放送を実際の時間に観るのをやめた。録画して妻が帰宅してから夕食をとりながら一緒に楽しむ。これがなかなか難しい。子供の頃週刊漫画雑誌の人気連載漫画を誰よりも早く読みたいと市内で一番早く私のお目当ての漫画本を店頭に並べる本屋を探して買っていたほどの待てない性格なのである。子供の頃は問題集の解答欄、今では漢字パズルやクロスワードでどうしても答えがわからず、裏に付いている解答を盗み見ようという誘惑と闘うのと似ている。

 御嶽海・明生・正代・遠藤・朝乃山・貴景勝の結果をいち早く知りたい。でもそれは妻への裏切り行為。ミステリー本や映画の結果を読む前、観る前に犯人や結末を請われもしないのに教えるのに等しい。もう結果が出ているのに、妻と一緒にそれを知らずに観戦するのは、新鮮な喜びを私に与える。特にコロナ騒動で孤立した夫婦二人だけの今のような生活環境下では、二人が互いに気配り、目配り、手配りが求められる。

 二人で大騒ぎしながら観戦する。ほとんど車の中での二人で危険な車、目障りな車、歩行者への罵詈雑言に匹敵するような言いたい放題。似た者夫婦なのか、どちらかがどちらかの軍門にひれ伏したのか、けっこう同じ反応言動を繰り返す。NHKの相撲の実況放送のアナウンサーと解説者は何人かで交代でやっている。誰一人としてかつての杉山邦博さんのような名調子と声を持つアナウンサーはいない。解説者も北の富士さん以外聞いていられない。でも録画だと画像を早送りできる。嫌な聴きたくない観たくないところは、すっとばす。これは便利。いつも大相撲を国技館や実際の会場で観戦する人々を羨ましく思う。何故なら現場ではアナウンサーや解説者の雑音がない。土俵の相撲に集中できるに違いない。

 コロナ騒動でふさぎ込んでいる気持ちが大相撲の白熱した熱戦で救われる。土俵の上では、あの巨体と巨体がぶつかり合う。アナウンサーや解説者が何を言ってもシメコミ一本で土俵に立つ裸に近い男たちの存在感迫力にはかなわない。相撲は神事から始まったと言うが、確かに神々しさを感じることがある。力士と力士の孤高の闘いである。だからアナウンサーも解説者も邪魔に感じる。

  無観客の前場所と違って、今場所は制限されているといえ、観客が戻った。相撲のテレビ観戦での楽しみのひとつは、観客の観察である。服装や動作。妻の女性観客へのファッション評価は、聞いていて面白い。こうして私たちの言いたい放題の罵詈雑言が、心に溜まった澱を掃除してくれる。恰好のストレス発散である。

  今場所優勝したのは、前頭17枚目の元大関照ノ富士。大関から序二段まで落ちて、奇跡の復活である。妻は贔屓の朝乃山が優勝できなくて悔しがっていたが、それでも照ノ富士の優勝に涙ぐんでいた。人間の手に負えないコロナ禍、15日間日本を普通の状態に力士たちが懸命に押し戻してくれた。ごっつあんでした。

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