団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

ハンタ~イ、商業フライトによる離着陸訓練

2013年07月17日 | Weblog

  デフレ傾向の世の中は、どこの企業にも合理化合理化といってあらゆる経費の削減を求める。アメリカのサンフランシスコ空港で着陸に失敗した韓国アシアナ航空機で操縦棹を握っていたのは、訓練中の副機長だった。原因はまだ究明確定されていないが、機長昇進への機種特定飛行時間稼ぎと訓練を兼ねた操縦であったことは明らかである。運転免許を取ろうとしている受講者が路上運転練習で助手席の自動車運転教習所の指導官の足元にもブレーキがついている車で練習するのとは訳が違う。なのに同じようなことがまかり通っているなら問題である。教習所の車に客は乗っていない。

 ネパールに住んでいた時、地元英字新聞『ライジング・ネパール』の編集者への手紙欄に興味深い記事が載っていた。要約するとある航空会社の機長が自分の息子を操縦席に乗せてずっとパイロットとしての訓練を積んでいるという告発である。これはネパールだけではない。セネガルでは父親に訓練されてパイロットになった息子がドイツ人観光客を乗せた機を墜落させた。先進国では厳格な免許制がしかれ、1年毎の健康診断など多くの適正と資格をチェックされ免許が更新される。パイロットは国によって質も技量も異なる。韓国のパイロットは空軍出身者が多くの質も技量も優秀と言われている。発展途上国でもパイロットはエリート中のエリートであり高嶺の花のあこがれの職業である。訓練学校があるわけでもない。日本のように航空自衛隊でパイロットの訓練を受けられることもない。ではどうするかといえば、世襲するしかない。親が子をパイロットにするのである。発展途上国なら致し方ないことかもしれない。世襲パイロットが必ずしも腕の悪いパイロットとはいえないだろう。しかし私はそんなパイロットが操縦する商業フライトに搭乗するのはゴメンこうむりたい。

 現代社会は“下積み”や“基本訓練”を嫌い端折る傾向にある。民放テレビとラジオなどのマスコミ界にもパイロット訓練と同じような方式がある。新人アナウンサーがベテランアナウンサーやタレントと組んでいきなり番組に出てくる。話すこと喋ることに芸も才能もない新人が番組を劣化させている。視聴者は観たくもない聴きたくもない下手なアナウンサーに付き合わされる。訓練商業フライトには料金を払った乗客が搭乗している。テレビやラジオには番組を提供するスポンサーがいる。商売をしながら同時に社員に訓練を施すのは、企業のエゴではないか。たとえれば入場料をとって晴の舞台で役者が稽古するようなもので、観客を馬鹿にしている行為である。しかし日本人は新人や初心者にどこまでも優しい。企業は人々の優しさを逆手にとって訓練や練習の経費を乗客や視聴者に負わせる。航空会社や民放テレビ、ラジオは、自前で“下積み”や“場数を踏む”訓練期間を修了させ一人前に養成してから世に送り出すべきである。

 では乗客はどうすればよいのか。私はかつて飛行機搭乗恐怖症だった。私を救ったのは、飛行機に乗って事故に遭う確率論を知ったことだった。アメリカの文献:航空機に乗って死亡事故に遭う確率は0.0009%。アメリカの国内に限れば0.000034%。アメリカ国内の自動車事故で死亡する確率は0.03%。飛行機事故のそれは33分の1以下。8200年間毎日無作為に選んで飛行機に乗り続けて1度事故に遭うか遭わないかの確立である。私はこの確率の成功部分を自分に当てはめる。運を天にまかせ、無事着陸して地面に自分の足で立つたび、もう2度と飛行機に乗らないで済まそうと誓う。

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