団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

家の中の好きな音

2017年08月21日 | Weblog

①    水洗トイレの流れる音

②    朝食の準備 包丁を使ってまな板の上で野菜を切る音

③    湯沸かしポットの中の水が沸騰する音

①    現在使っている水洗トイレは、使用後立ち上がってしばらくすると自動的に排水する。トイレの進化は目覚ましい。成田空港のトイレを2020年までに50億円かけて大改修するそうだ。子供の頃、田舎の下水普及率は低かった。東京の叔母の家で生まれて初めて水洗トイレを見た。便器が白く光って見えた。幼いころから持ち続けたトイレに対しての“汚い、臭い、恥ずかしい”思いは吹き飛んだ。しかし水洗トイレを知ってしまい、田舎に戻るとトイレに対する劣等感は、さらに重さを増した。カナダへ渡る時まだ日本の私の田舎は水洗化されていなかった。カナダの寮制の学校のトイレは、大昔からずっと水洗であったかのように自然に生活に溶け込んでいた。生徒たちにトイレが汚いとか臭いとか恥ずかしいとかの感覚がないことに私は驚いた。

 帰国して働き始めてもまだ田舎は、簡易水洗という、まやかし水洗だった。下水管や下水処理場の普及は、遅遅として進まなかった。1993年に再婚した妻の海外勤務についてネパールへ出発した時もまだ私の田舎では水洗化されていなかった。ネパール、セネガル、旧ユーゴスラビア、チュニジア、サハリン13年にわたる海外生活で多くのトイレとの闘いがあった。下水処理場が整備された国は少なく、水洗と言っても敷地内の地中に浸透させる方式が多かった。私たちが海外に出ている間に日本ではトイレ革命が始まっていた。帰国するたびに、その進化を確認できた。公衆トイレが信じられないくらい綺麗になり、水洗化され、場所によってはウォシュレットさえ使用されている。あれほど汚く臭く恥ずかしいと思った日本のトイレが劇的に変わった。便器を新しいタイプに換えた時、工事に来た人が「水洗が流れる音に注意していてください。勢いよくグォーと吸い込むように流れるのが理想です」 確かだ。日本以外のどこの国の水洗でも我が家で聞く、「グォー - ~~ッ」の勢いある音を聴いたことがない。トイレから洗面所に移ったころ、トイレの中から今朝も勢いある音を聴き、「これではもう、海外には住めないな」と思った。

②    まな板と包丁の組み合わせも日本独特の音かもしれない。だいたいまな板を使わない国さえある。チュニジアではまな板は、人の手のひらだった。器用に手のひらの上でほとんどの食材を調理してしまう。まな板の上で大根や菜っ葉を「トントントン」と小気味よく切る音は、平和で穏やかな生活の音だとしみじみ思う。

③    湯沸かしポットに水を入れ、スイッチを入れると実に早く湯が沸く。以前、湯を沸かすのにガステーブルにヤカンをおいて沸かしたのとは、雲泥の差である。湯を使いたい時、すぐ湯が使える。

  日本の家の中には、いい音がたくさんある。嫌なニュースが多い。天候異変も増税も周辺国の動静も心配だ。ふと耳にするいい音が私を鎮めてくれる。

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