団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

知りたい、教えて!

2020年12月23日 | Weblog

  月曜日に妻が勤務する病院でPCR検査を受けると言った。病院からの要請で病院関係者全員が受けるという。普段から家にこもる私は、妻の東京への通勤にビビッている。自分でどれほど気をつけていようが、新型コロナウイルスが妻に付着して、家の中に持ち込まれたら…。妄想が妄想を生む。先日、私は初めてコロナに感染した夢を見た。どうやら心配し過ぎて、頭がおかしくなったのかもしれない。

 火曜日の夕方、病院に勤務中の妻からメールがきた。PCR検査の結果は、陰性だった。メールで報告を受け、「陰性」の文字を見た時、ウルっとなった。小心者の私は、結果を知るのを恐れていた。もし…の妄想は、私の頭の中でグルグルかけまわり私をもてあそんだ。陰性なら即刻知りたいが、陽性なら…。心臓に問題を抱える私にはきつかった。でも陰性と知って、心に溜まっていたコールタールのような妄想が消え始めた。

 テレビもラジオもマスコミは、なかなか私が知りたいと思うことを伝えてくれない。先日、テレビでコロナに感染して重症から回復した人のインタビューを観た。私が知りたかったのは、その人がどうやって感染したか、だった。そのことに聞き手は触れなかった。ただ感染した人がどれほど苦しかったかばかりが、取り上げられていた。感染が会食してだったのか、カラオケなのか、家庭内での感染だったのか、どのような感染防止策を講じていたのか、手洗い・ウガイ・マスク・3密回避は効くのか。ただ苦しかった、死ぬかと思ったでは、私にとって脅迫のようなものだった。

 テレビやラジオで頻繁に出てきて、意見を述べる医者たちに不信感を持つ。一番的確な意見を述べられる医者は、今、最前線で患者を救おうと懸命に診療している現場の医者だ。あちこちのテレビ局を掛け持ちで出演している医師たちは、どの程度この医療崩壊が叫ばれている現場に身を置いているのか。中には開業医でずいぶん遠くの自分のクリニックからテレビ局まで来ている医師もいる。

 医師コメンテーターだけではない。朝から晩まであちこちの局で、ワイドショーがコロナ問題を取り上げている。医者でもない学者でもないタレントたちが、騒ぐだけの番組が多い。何人感染した、重症者が何人、亡くなった方が何人と数字ばかりで、視聴者がどうすればいいかという対策が伝えられない。「しっかり」「きっちり」の言葉だけが目立つ。国、都道府県から発せられる勧告に、「…と思われる」が多い。もう思われる段階はとっくに過ぎている。

 最後の頼みであるワクチン報道にも疑問が多い。疑問には答えが必要。例えばワクチンを何人分どこどこの製薬会社と契約したとの報道。でもいくらという肝心な数字がない。たまたまヨーロッパのどこかの大臣がツイッターでポロリ情報を出してしまった。アストラゼネカの1回分225円、モデルナ1860円、ファイザー1520円だそうだ。このツイッターは出されて30分後に削除されたとか。故意なのか否かは不明。

 欧米ではワクチンが闇ネット上で販売され始めたという。もちろん偽ワクチンで詐欺だろう。やっと完成したワクチンの争奪で国内が混乱をきたすという、ダスティ・ホフマン主演の映画『コンテイジョン』が現実になりつつある。コロナも恐いが、読者や視聴者が知りたいことを伝えないマスコミや無策で指導力のない国家は、もっと怖い。

 

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