団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

イージス艦より病院船

2020年12月25日 | Weblog

  まだ新型コロナウイルス感染がダイヤモンド・プリンセス号だけに留まっていた頃から、日本で病院船の建造が取りざたされた。2月12日には衆議院予算委員会で厚生労働大臣が病院船の検討を示唆した。続いて防衛大臣も自衛隊に病院船の保持に関する調査を指示した。これで日本にも病院船が、と期待したが、またたち切れになった。平成25年に病院船建造の調査費が計上されたが、膨大な建造費と運行経費がかかり過ぎるということで廃案になった二の舞になった。しかしコロナの第一波が収まり始めると、いつのまにか病院船の“病”の字も出てこなくなった。ダイヤモンド・プリンセス号内での感染は、船内の全船一括空調装置のダクトを通して拡がった、という事実が原因の一つとして考えられる。

 日本は災害が多い国である。地震、台風、豪雨、大雪。事が起こるたびに学校の体育館などが避難所に使われる。劣悪な環境である。最近では段ボールの仕切りやベッドなどと改善もみられるが、酷い状況に変わりはない。もし自分があのような環境に避難するようになったら到底我慢できないであろう。

 政府が病院船の保持を検討しても予算がない、と一蹴されてしまう。それなのにアベノマスクに400億以上、コロナ禍で国民一人当たり10万円給付で1兆円以上、福島の洋上風力発電設置に600億円かけたが、計画断念で撤去費が600億円、原子力発電所の使用済み核燃料の処理費用に原子力委員会の試算は、7兆円~11.9兆円。さらに最近、国内2か所に設置予定だったイージス・アショアを断念してイージス艦2隻の建造を決めた。イージス艦は1隻の本体の建造費が1720億円これに武器などの付帯設備を加えると2500億円になり、さらに運用費が上積みされる。億だ兆だと気持ち良いくらい巨額な数字が踊る。

 中国や北朝鮮が日本にとって脅威であることは事実である。軍拡は歯止めがかからないものだと、私は思う。向こうが改良して高性能なミサイルを造ったから、こちらはそれを打ち落とす迎撃用のミサイルを持たなければ…と果てしないイタチごっこになる。防衛は重要だ。しかし戦後アメリカに日本から留学した多くの学生がアメリカに着いての感想が「こんな国と戦争して勝てるわけない」だったように、国力の差は歴然であった。無理をしても戦争に勝てない。国は先の展望を持たなければならない。逆転の発想が必要である。

 私は日本が病院船大国になって欲しいと願っている。軍備に金を使うより、病院船を多く持って、世界に貢献する。造船はかつて日本の主幹産業だった。船を造る技術は、世界屈指である。加えて医学、精密産業、科学産業など科学技術が秀でている。結集して最先端の病院船を持つ。今回のような世界的規模の新型コロナウイルス感染の蔓延が起きても、自国以外の国のコロナ禍に手を差し伸べる国はない。原爆やミサイルで他国を攻撃できても、コロナ禍で困っている国に手を差し伸べる国はない。みな自国の事で手一杯なのだ。

 世界の多くの指導者が、自国民に同じ目線で訴える。日本の指導者は口下手で演説も説得の訴えにも、心ここにあらず。ならば行動で国民に訴えるしかない。自分たちが金をもらえば嬉しいから、国民にも金を配っておけばいいではすまされない。1年先、10年先、100年先を見越した政策が必要である。病院船大国も一つの選択肢である。運用費用がどうの言うなら、運航を『国境なき医師団』に任せるとか、日本の資金が豊富な新興宗教団体に委託するとかの案も考えられる。病院船そのものを医科大学にするのもいい。病院船の補給基地を尖閣諸島にするのも有りだ。世界が軍事支援でなく、日本に医療援助を求めるのが理想だ。そういう日本になれば、中国もこれ以上、手を出せなくなるのでは。コキゾウの夢で終わらせないで。動けニッポン!

 

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