団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

ハカラメ同好会

2024年07月26日 | Weblog

  海外での生活を終えて、日本に帰国した。帰国して終の棲家に住んで20年以上経った。できればずっと海外でできていたように、ペットと暮らしたかった。日本でも犬を飼いたいとずっと思っていた。猫でも良いと思っていた。鳥でも良かった。とうとう今年喜寿になった。最近ペットを飼うどころか、自分の事さえ、なかなか思うようにならない。体も思うように動かない。20年くらい前は、ベランダにたくさんの鉢を置いて、花を育てた。だんだんそれも億劫になって、ベランダの花は、すべて片付けた。室内でネムノキの鉢植えをすでに10年以上置いている。今のネムノキは、3代目である。

 友人が以前カニシャボテンの鉢植えを持ってきてくれた。丈夫な植物ですでに7,8年経ったが、毎年たくさんの花を咲かせていて、喜ばせてくれる。同じ友人が去年、「ハカラメ」(葉から芽)という珍しい植物を持ってきた。持ってきたと言っても、葉を数枚持ってきただけだった。湿らしたペーパータオルにその葉は、包まれていた。見ても特段変わった葉ではなかった。土を入れた鉢にその葉を置いておけば、葉から芽が出るという。初めはそんなことあるのかと半信半疑だった。それが忘れた頃、鉢を見ると、何とその葉から芽が出ているではないか。あら不思議。何ということだ。詳しいことも学術的なこともわからない。ただただ自然の不思議に触れた。今では我が家の殺風景だったベランダに3鉢のハカラメが並んでいる。

 せっかくこんな珍しい植物が手に入ったので、私は、ハカラメ同好会を作ることにした。その輪は、どんどん広がった。我が家に来てくれた友人に最初にハカラメの葉をもらった時のように湿ったペーパータオルに葉を包んであげた。面白がって6個の鉢にハカラメの葉を置いた。次々と芽を出した。友人が自分で葉から育てた時、芽がどんどん大きくなってとうとう1メートルほどまでになったという我が家のハカラメは、芽を出したけれど、その後成長が見られない。待てど暮らせど大きくならない。土が悪いのか。水はあまりやらないようにと言われていたので、それを守った。1カ月が過ぎ、2ヶ月が過ぎた。やっと成長を始めた。まだハカラメが小さいうちに数人の友人に鉢ごと譲った。あら不思議、友人宅に引き取られたハカラメは、グングン成長した。やはり我が家の何かがハカラメの成長を遅らせているのだ。

 妻がハカラメの葉を数枚採ってと言った。妻の職場の女性が、小学生の子供の夏休みの自由研究に使うのだという。譲った3枚のハカラメの葉が芽を出し、小学生は、観察を楽しんでいると妻から聞いた。嬉しい。自由研究ってまだあるんだと懐かしかった。私は、小学生だった時、夏休みの課題の観察にと朝顔やホウセンカを育てて絵日記にしたことがある。その他に自由研究で犬につくダニの観察をしたことがある。あの頃の飼い犬には、恐ろしい程の数のダニが付いていた。

 友人が紹介してくれたハカラメが図らずもこれほどの私たち夫婦の友人や妻の知人の子供にまで拡がるとは思ってもみなかった。友人宅でまた小学生の自由研究としての拡がったハカラメでつながった気がする。何だかとてもいい気持である。


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