団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

仙台育英佐藤世那投手のスマイル

2015年09月09日 | Weblog

 U—18ワールドベースボールがアメリカの優勝で幕を閉じた。甲子園全国高校野球大会とU—18ワールドベースボールのお蔭でこの夏の猛暑も家の中で何とか乗り切れた。将来有望な球児をたくさん見つけた。

 今年のU—18ワールドベースボールは日本での開催だった。ただ日本チームの試合は高校野球と違って昼間でなく決勝戦以外、午後6時の開始に変わった。この時間はちょうど妻を駅に迎えに出る時間とぶつかる。それでも雨や前の試合終了が遅れるなどして観戦できた。まさにドリームチームである。私が目をつけた関東一校オコエ外野手、仙台育英平沢内野手、秋田商業成田投手の活躍をまた観られるなんて。それもチームジャパンの代表選手となってプレイする。彼らは私の期待通りの活躍を見せてくれた。

 ブラジル戦、アメリカ戦、オーストラリア戦、チェコ戦、メキシコ戦、韓国戦、そして決勝のアメリカ戦全試合を観た。野球だけでなく各国の18歳以下の若者の文化精神風土を観察できて面白かった。ちょうど時期を同じくしてアメリカで行われたリトルリーグの世界大会での日本の試合も雨ばかり降って外に出られなかったので観ることができた。18歳以下12歳以下のそれぞれの国の若き球児たちの観察ができた。

日本チームはU—18より一足先にリトルリーグのワールドシリーズで優勝を決めた。リトルでもU‐18でも日本が得意としてきたバンド攻勢の各国チームへの浸透が見られた。イチローが大リーグに移ったばかりの頃、イチローのセイフティ・バンドへの風当たりを想うと隔世の感がある。まだ日本チームには管理野球的要素が色濃く残っているが、身体的にも技術的にも進歩向上しているのは確実である。国際試合では必ず問題になる審判の判定基準の相違も随所に見られた。日本の監督コーチはその点も事前に調査研究して選手を指導しなければならない。国際化という点で見劣りしたのは残念だった。

 日本の球児たちの礼儀しぐさ行儀態度の良さは、どの国のチームより目をひいた。韓国チームのメンバーも日本に近いかなと思ったが、国家を背負っている悲壮感に観ている側の私はスポーツというより争いを意識してしまう。私が妻の海外勤務に同行して暮らした国々ではよく国際親善ソフトボール大会があった。日本が韓国チームと戦うときは、観ていて辛くなることが多かった。ソフトボールチームに参加した日本の若者は、勝ち負けにこだわることなく明るく楽しそうにプレイしていた。不甲斐ないとも受け取れたが、フランスチーム、セネガルチーム、アメリカチームなどと同じでスポーツをリクレーション活動にできるまでにゆとりができたのかもと考え直したものだ。いつの日かわだかまりのないスポーツが両国の間でも楽しめる日が来れば良い。

 日本の選手がグランドで唾などを吐き捨てる行為を見たことがなかった。反面ブラジル、メキシコ、アメリカの選手、特に投手は肺か鼻喉の病気ではないかと疑うぐらいマウンド上でペッペと吐き散らす。私のマンションの共同浴場で有名な“タンツバ”ジイサンに負けていない。他にもチューイングガムが気になった。ブラジルの日系投手は投球する直前プーッと口に風船を作ってから投球した。あれがルール違反にならないのが不思議だ。それでも野球はサッカーのようにイレズミが目に入らないだけましかもしれない。

 最優秀投手賞に仙台育英の佐藤世那投手が選ばれた。私は彼が大リーグに行けたらいいと思う。投手としても優秀だがマウンド上で見せるジャパニーズスマイルは案外大リーグで打席に立つ打者をイライラさせ空振りを誘える気がする。他の国の選手でも日本の選手でも佐藤投手のような独特のスマイルはなかった。野球もさることながら、こうして選手の観察が私を楽しませてくれた。感謝。来年の夏、元気でまた野球観戦できるといい。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする