巣窟日誌

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資生堂はフレグランスにもっと力をいれてほしい

2009-05-09 20:00:00 | 日記・エッセイ・コラム
便宜上、資生堂の名前をタイトルに出してしまったけれど、要は国産の制度化粧品メーカーには、もっとフレグランスの開発販売に力をいれてほしい。

でも現状はさびしいもんだよね。富士経済の2009年4月20日のプレスリリース「スキンケア9品目、フレグランス7品目の国内市場を調査」によると国内のフレグランス市場は

正規流通ルートの市場は、並行輸入品に需要を奪われ縮小が続いている。国内の制度品メーカー各社が主力のスキンケアやメイクアップに注力し、フレグランスアイテムを削減していることも、市場低迷の一因となっている。(アンダーラインをつけたのはわたしです)
だそうだ。
昔と違って、フレグランスを使用する人は増えたよね。わたしが10代のころは、10代や年配者で、フレグランスを使う人はほとんどいなかったし、妙齢の女性でもつけている人は多くなかったけれど、今では老いも若きもつける人は結構つけている。女性だけではなく男性もね。

で、いま、日本人がつけているフレグランスのメーカーをみると、ブルガリとかシャネルとか、エルメスとか、ランバンとか、ディオールとか、エスティ・ローダーとか、エリザベス・アーデンとか、ランコムとか…まだまだ出てくるけれど、ほとんど外資系のものなんだよね。そしてその多くが、上記の富士経済のリリースにあるように並行輸入品らしい。まぁ、それはそれでいいんだけれどね。

でも、個体差と個人の食生活の影響はあるけれど、やはり体臭には人種による一般的傾向がある気がする。それから、香水のメッカであるヨーロッパとは違って、日本には ― これも縦長の地形の日本のことだから地域差はあるけれど ― 梅雨と蒸し暑い夏がある。特に、梅雨寒のある日、満員電車の中で、外気温が低いゆえに電車内の空調は送風だけで、でも車内の温度も湿度も詰め込まれた人間に比例して上昇中…みたいな悪条件だと、「さわやか」と評判のあるフレグランスでも気持ち悪くなることがある。でもだからといって、単に「何もつけなければいい」って問題でもなくて…

で、こういうのにきちんと対応できるフレグランスを作れるのは、やはり国内の化粧品メーカーだと思うわけよ。

嗚呼、第一次オイルショックの影響が残る1970年代半ばに、20,000円を超える値で売り出した、あの高貴なクリスタルガラスのボトルが庶民の憧れを誘った「ホワイトローズナチュラル」とか、その翌年に国産のフレグランスとしては超強気の50,000円近い価格で売り出した「すずろ」とかを出した、資生堂のあの頃の気概は、今いずこ。いやせめて、1980年代後半に売り出した「沙棗 SASO」のように、パルファムとEDT、オーデコロンから、ラメ入りのジェルやら、ヘアケア/ボディケア製品はともかく、ついにはお香まで次々にラインで販売するぐらいの、力みすぎぐらいの前のめりの姿勢がほしい。

なのに、わたしの思いとは裏腹に、いつのまにか、「インウイ」も「ヴォカリーズ」もなくなってしまったなんて。一部のフレグランスの販売中止は、使われている香料が入手困難になったからという話も聞いてはいるけれど。そしてわたしが生まれて初めて(16歳のときに)買ったフレグランス「スーリール」とかはかろうじて生き残ってはいるけれど。

で、資生堂以外はどうかというと、これまたさらに寒い状況。

まずはカネボウ。この記事を書こうと一生懸命に思い出したカネボウのフレグランスの名前は、わたしが古いせいもあるけれど、昔懐かしいものばかり。まずは「火の鳥」でしょ、「森の精」でしょ、そして「京都」に「マリエール」、そして、せいぜい「アンドゥミル」ぐらい。おフランスのキャロンのフレグランスを扱っているうちに、自社開発を忘れちゃったんじゃないの…と思ってしまう。

コーセーについても、申し訳ないけれど「オンストリーム」と「フォーチュン」と、社名が「小林コーセー」だった時代の「アルファード」くらいしか思い出せない。それからソフィーナは、トイレタリー専科だと思われていた花王が満を持して市場にソフィーナ・ブランドを投入したときに、その名も「ソフィーナ」というフレグランスがあったような気がしたんだけれど、今は何か出している?

こう考えると、観光地と組んでご当地香水(「金沢オールドパルファム」「マダムバタフライオールドパルファム」等)を出している資生堂は、まだ頑張っているほうなんだろうな。でも、もっとフレグランスに力を入れてくださいよ。新しいものを出してくださいよ。

それから、古いフレグランスをむやみに製造中止にしないように。わたし、沙棗とタンタトゥリスがなくなったら、暴れますからね。


というわたしが今日使っているのは、「まぁ、それはそれでいいんだけれどね」なんて自分で書いておきながら、並行輸入品のステラマッカートニーのステラ。そして、参考程度に乗せた下の写真は、手元に家に残っている沙棗のライン。手前は携帯用のチップオンパルファムと、未開封のレフィル。後ろは左から、沙棗の後に出たミスオブ沙棗(myth of Saso)パヒュームコロン、沙棗オードパルファム(これは現役で販売中)、沙棗デュアルコロン(オーデコロン。当の昔に製造中止で、残りの中身は劣化しているはずなので怖くて使えない)。ほかにもいろんな種類があって、結構いろいろともっていたんだけれど…

Saso