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あと1センチの恋

2015年01月20日 | 洋画(15年)
 『あと1センチの恋』を渋谷のシネパレスで見ました。

(1)少々時間が余ったので予備知識なしに映画館に入ってみました。

 本作(注1)の主な舞台は、イギリスの小さな田舎町。
 そこに暮らすロージーリリー・コリンズ:注2)とアレックスサム・クラフリン)との愛の物語。

 冒頭は、アレックスの結婚式のパーティーでロージーが挨拶するシーンです(注3)。
 その中でロージーは、12年前の18歳の時の誕生日パーティーでアレックスと「偶然のキス」をしたものの、飲み過ぎていて全く記憶にないことを告白します。
 そして映画は、ロージーが18歳の時点に戻って、彼女が誕生日パーティーで踊りまくり、アレックスとキスをして、飲み過ぎで倒れて、翌朝ベッドで目覚めるシーンへとつながっていきます。

 そこには、心配したアレックスも顔を出します。
 ですが、アレックスは、ロージーにキスをしたことを言えないまま、ロージーや仲間たちと一緒に海辺へ。
 アレックスが「ベサニーが僕とダンスをしたいらしい」と言うと、ロージーは「行きたいなら誘えば」と応じ、これに対しアレックスが「君を独りにしておけないよ」と言うと、ロージーが「私にはクレッグもいるし」と答えたので、アレックスは「彼女を誘ってみるよ」と言ってベサニーがいるところに行ってしまいます。
 この後、アレックスはベサニーと、ロージーはクレッグとそれぞれベッド・インすることになるのですが、しかし、二人はこの先どうなっていくのでしょう、………?

 本作は、映画館が若い女性ばかりだったことからも分かるように、若向きのちょっとコミカルなラブストーリー。こうした映画にあれこれ言い募っても場違いでしょう。主役のロージーを演じるリリー・コリンズやその相手役のアレックスに扮したサム・クラフリンらの若さ溢れる演技を見守るばかりです。




(2)本作は、以前見たアン・ハサウェイ主演の『ワン・デイ』と同じように、主役のロージーと相手役のアレックスとは、若い時分から「お互いに強く惹かれ合うものを感じながらも、長い間友達関係だった」のです。



 さらには、『ワン・デイ』が23年間を取り扱っている(注4)のと同じように、本作も24年間(注5)の長い期間にわたる物語となっています。
 加えて、本作では、ロージーがイギリスにとどまってホテルの清掃係になり、アレックスがアメリカに行きますが(注6)、同じように『ワン・デイ』でも、アン・ハサウェイの扮するエマはロンドンでレストランのウエイトレスになる一方で、相手役のディクスタージム・スタージェンス)はパリのTV番組で活躍します。

 ただ、『ワン・デイ』では主人公が終わりの方で死んでしまうのですが、本作はハッピーエンドを迎えることが明らかな雰囲気でから、すべて安心して途中の展開(お互いに別々の道を歩みながらも、連絡は緊密にとっています)を楽しめる点が大きな違いといえば言えるでしょう。
 とはいえ、『ワン・デイ』を見た者からすれば、この先どんな難関がロージーとアレックスに待ち構えているかわかったものではないですよ、と言ってみたくなってしまいます。

 こうした映画に対して、気になった点を言ってみても詮無いことながら、
イ)ロージーは、ちょっとしたはずみで関係を持ったクレッグの子供を身ごもってしまい、いとも簡単にその赤ん坊を産んでしまうのには驚きました。
 彼女は、両親がカトリックだからと言っていましたが、本人にあまり信仰心はなさそうであり、むしろ産んだ子をすぐに里親に出せばいいとのアドバイスを受けて、産んでみようという気になったと思われます。
 ですが、そんないい加減な心構えで産んでもらった子供の方では堪ったものではないのではないでしょうか?
 とはいえ、本作では、生まれてきた赤ん坊を見て、ロージーに自分で育てる気が起きてこの問題は回避されたのですが。

ロ)ロージーとアレックスは、いつもLINEとかメールで連絡を取り合っていながらも、肝心要の事柄をどうしてアレックスは便箋に手書きして郵便で投函したのか、なぜメールで送らなかったのか、理解できないところです。
 この手紙を、ロージーと結婚したクレッグが郵便箱に見つけて読んでしまい、それを鍵のかかる引出しに入れてロージーから隠してしまったのですから(注7)。
 尤も、クレッグとの間で破局を迎えたロージーが、彼の引出しをこじ開けてアレックスの手紙を読み真意がわかり、ラストのハッピーエンドに向けて事態が進展することにはなるのですが。

(3)渡まち子氏は、「話そのものは新鮮味はないが、主演2人のみずみずしさが魅力になっている。特にティーンエイジャーから母親まで一人で演じきったリリー・コリンズの、ちょっとコミカルな演技が光っていた」として60点を付けています。
 りんたいこ氏は、「恋愛映画としてだけでなく、子育てに苦労しながらもホテル経営という夢をあきらめないロージーの自立の物語としても見ることができ、女性の多くが共感できる作品に仕上がっている」と述べています。



(注1)原作は、セシリア・アハーンの『愛は虹の向こうに』(小学館文庫:未読)。
 本作の監督は、クリスチャン・ディッター

(注2)『しあわせの隠れ場所』でサンドラ・ブロック扮するリー・アンの娘役として出演していたとのことですが、覚えておりません。

(注3)この挨拶のシーンは、ラストの方でも再び描かれ、引き続いてロージーは「パートナーの選択は、どんな決断よりも重要。間違えれば、絶望が待っている。でも後戻りはできない」、「あなたの友情が、私の人生を光り輝かせてくれた。あなたはいつもそばにいてくれた。でも、私はその価値に気が付かなかった」、「あなたが何をしようと、私は心からあなたを愛している」などと述べて、「さあ皆さんで乾杯しましょう」と盃をあげます。

(注4)アン・ハサウェイ扮するエマと相手役のディクスターとは、出会ってから15年目に結婚しますが、話はそれで終わらずに、結婚2年目にエマは交通事故で亡くなります。 
 さらに、この映画の現時点が2011年ということで、2人が出会ってから23年が経過しています。

(注5)ロージーとアレックスは6歳の時からの幼なじみなのです。
 ただ、ロージーが18歳の時に二人は「偶然のキス」を交わしますから、それをラブストーリーの起点とすれば12年間でしょう。

(注6)アレックスは、イギリスの大学が「窮屈で嫌だ」と言って、ボストン大学の医学部に行くのです。

(注7)としても、クレッグは、どうしてアレックスの手紙を破棄してしまわずに、後生大事に引出しの中にしまっておいたのでしょう?



★★★☆☆☆



象のロケット:あと1センチの恋
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