バス停留所にて。年の頃なら25・6という感じの女性、4・5人が一緒にバスを待っている中、彼女は自分の世界に入ってしまっていた。両の目からは堰を切ったように涙がこぼれ、叫びに近いような声で携帯電話で話している。「それじゃあ、もう私たちは終わったってこと!!別れるっていうことよね、それって!!」(わぁーお、別れ話か、なんかすごくもつれてそう)とボクをはじめまわりのみんなは少しひきぎみながらも、耳と気持ちはすっかりダンボ、彼女の世界に吸い寄せられていく。「もういい!!」ベタな切り口上で彼女は電話を切った。(一同、とりあえずホッ、まだバスはこない)と、隙を与えず彼女は涙を大きくぬぐうと、即携帯をかけ始めた。(ウソ!!もういっぺんやりあうの?)そして今泣いていたカラスは冷静な声で「私、ごめん。彼と別れ話になっちゃった。今すぐそっちに行くから相談にのって。じゃあね」わっ、はやっ!!一息でそれだけ言うと電話を切った彼女は悠然とバスがやってくる方向を見た。一同唖然・・・。携帯電話でジュースが買えたり、チケットの代わりになったり、メールももちろん、携帯電話の可能性はどんどん広がるけれど、やっぱりこのいつでもどこでも即電話というのはものすごいものだとしみじみ思ったボク。あっ、バスがやってきた。