孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

バングラデシュ  国土の3分の1が浸水、ロヒンギャ難民キャンプでコロナ封じ込め成功って本当かな?

2020-07-16 23:10:38 | 南アジア(インド)

(バングラデシュで発生した洪水により浸水した地域の航空写真(2020年7月14日撮影)【7月15日 AFP】)

 

【国土の3分の1が浸水?】

日本でも、7月9日ブログ“中国・長江流域 日本同様の大雨水害で注目される「三峡ダムは大丈夫なのか?」”で取り上げたように中国でも、長雨の被害が出ていますが、雨期の南アジア・バングラデシュも同様のようです。

 

もともとバングラデシュはデルタ地帯で低地のため、頻繁に大規模洪水が起きる国で、海面上昇では水没も危惧されている国ではありますが、「国土の3分の1が浸水」とも報じられています。

 

****バングラデシュで雨期の洪水、国土の3分の1が浸水****

南アジアの雨期の洪水によりほぼ400万人が打撃を受け、バングラデシュではこの10年で最大級の激しい雨により、これまでに国土の3分の1が浸水している。同国の当局者が14日、明らかにした。

 

通常6月から9月にかけて到来する雨期はインド亜大陸の経済にとって重要だが、毎年、地域全体で多くの死者と損壊をもたらす。

 

バングラデシュ洪水予警報センターのアリフザマン・ブーヤン氏はAFPに対し「これは10年で最悪の洪水になるだろう」と述べた。大雨によりインドとバングラデシュを流れるヒマラヤ水系の主要河川の二つ、ブラフマプトラ川とガンジス川が増水した。

 

ブーヤン氏は、数百の川が交差するデルタ国家である同国で国土の約3分の1が水没し少なくとも150万人の人々が影響を受け、村落の家や道路が水に漬かっていると指摘。

 

今後10日の予報で増水が見込まれているとして、より多くの川で堤防が決壊すれば、「最悪のシナリオで」国土の40%が浸水するかもしれないと述べている。 【7月15日 AFP】

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「国土の3分の1が浸水」って凄すぎます。日本なら“日本沈没”状態の大パニックです。

 

でも、本当かな・・・。

「国土の3分の1が浸水」にしては「少なくとも150万人の人々が影響を受け」というのは、人口1億6千万人のバングラデシュにしては逆に少なすぎます。

 

まあ、人が住んでいないデルタ地帯が水没している・・・ということがあるのかもしれませんが。

 

下記の記事も、「国土の3分の1が浸水」状態なら、ウミガメどころじゃないだろ!とツッコミたくもなります。

 

****ヒメウミガメ、プラごみで負傷=漂着の160頭を救助―バングラデシュ****

バングラデシュ南東部のコックスバザールの地元当局者らは15日、先週末から砂浜に打ち上げられているオリーブヒメウミガメ約160頭を救助したと明らかにした。多数のカメが海洋プラスチックごみで負傷し、ひれを欠いているケースもあったという。

 

コックスバザールの砂浜は世界最長級の120キロに及び、カメは大量のプラスチックボトルや漁網、ブイなどとともに漂着。既に死んでいた約30頭は埋められた。地元の環境保護当局者は、「これほど多くのカメが死に、打ち上げられたのは初めてだ」と語った。【7月16日 時事】

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もちろん、インドやバングラデシュのプラごみ汚染は大問題です。

この地域を旅行するとわかりますが、空き地や道路脇は散乱したプラごみでおおわれています。

 

洪水との関連で言えば、そうしたあたりに一面に散乱したプラごみが洪水で最終的には海に流れ出し、海洋汚染を引き起こすことにもなるのでしょう。

 

その点では「国土の3分の1が浸水」ニュースとウミガメニュースはつながってもいます。

 

いずれにしても、「国土の3分の1が浸水」がどうかはともかく、深刻な洪水の危機に直面しているのは事実でしょう。

 

【ロヒンギャ難民キャンプ、コロナ封じ込め成功?】

本当かな・・・という点では、下記のロヒンギャ難民キャンプの新型コロナに関するニュースも・・・

 

****ロヒンギャ難民キャンプ、コロナ封じ込め成功 バングラ****

バングラデシュ当局はこのほど、ロヒンギャ難民の間で発生した新型コロナウイルス流行の封じ込めに成功したと発表した。過密状態にある難民キャンプでは、急速なまん延が懸念されていた。

 

同国南東部にある複数のキャンプには、ミャンマー軍による2017年の弾圧から逃れてきたイスラム系少数民族ロヒンギャら100万人近くが滞在している。

 

当局によると、5月に最初の感染者が確認されて以降、同国内のキャンプでは724人が検査を受け、54人の陽性が確認された。

 

同国政府の難民担当官であるマハブブ・アラム氏はAFPの取材に対し「われわれは流行の封じ込めに成功した」と述べ、現時点で新型ウイルスにより死亡したロヒンギャ人は5人にとどまると付け加えた。

 

アラム氏によるとこれとは対照的に、人口240万人を抱え、難民キャンプがあるコックスバザール市とその周辺エリアでは2776人超の感染が確認され、60人が死亡しているという。

 

難民から最初の感染が確認された後、難民キャンプ30か所超は封鎖措置が敷かれ、難民はキャンプ外に出ることを禁じられた。【7月7日 AFP】AFPBB News

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こちらの「本当かな・・・」には根拠があります。

 

****ロヒンギャ難民のコロナ感染者が隔離逃れ 島への移送恐れて バングラ****

バングラデシュで暮らすイスラム系少数民族ロヒンギャの難民のうち、新型コロナウイルスに感染した人々が、ベンガル湾に浮かぶ島へ移送されることを恐れ、隔離から逃れていることが分かった。ロヒンギャの指導者たちが4日、明らかにした。

 

この指導者たちによると、ロヒンギャ難民から初めて新型コロナウイルス感染症の死者が報告された2日以降、新型ウイルスに感染した難民少なくとも2人が検査で陽性反応を示した後に行方不明になっているという。

 

バングラデシュの国境地帯にある複数キャンプで暮らすロヒンギャ難民約100万人は、そのほとんどが2017年のミャンマー軍による弾圧から逃れてきた。そして新型コロナウイルスが、彼らに新たな窮状をもたらしている。

 

これまでに確認された感染者数はわずか29人だが、約1万6000人がキャンプ内の隔離エリアにいる。

 

キャンプ内の検査実施件数は現時点では不明だが、保健当局幹部によると、検査で陽性反応を示した2人が「隔離病棟から逃れた」という。

 

また、難民たちは感染者がベンガル湾に浮かぶブハシャンチャール島へ移送されると信じていることから、過去2日間でわずか20人しか検査を受けることに合意しなかったという。

 

これについて指導者のヌルル・イスラム氏はAFPに対し、「大規模なパニックを生み出している」と話した。

 

バングラデシュ当局はブハシャンチャール島に10万人を収容できるキャンプを設置することを長らく望んでおり、これまでにロヒンギャ難民306人を移送している。

 

匿名で取材に応じた保健当局者は、「ロヒンギャたちはすくんでいる」「われわれは彼らに対してどこにも移送されないと伝えている」と話した。

 

複数のロヒンギャ人指導者たちはまた、ブハシャンチャール島に難民306人が移送されたことが、感染者は誰でも合流させるために移送されるとのうわさを招いたと指摘。

 

指導者の一人であるアブ・ザマン氏は、ウイルス検査を受けることを人々は恐れていると語った。 【6月7日 AFP】

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ブハシャンチャール島への移送を恐れて誰も検査を受けないという状況で、「われわれは流行の封じ込めに成功した」というのは「本当かな・・・」と感じる次第です。

 

100万人が密集するキャンプで「724人が検査を受け」というのも少なすぎるようにも。

誰も検査を受けていないので感染者も出ていない(日本も海外からはそのように見られていますが)ということはないのでしょうか?

 

もっとも、感染拡大が水面下で拡大していれば死者がおおぜい出ているはず・・・と言われれば、そうかも。

実際に「封じ込めに成功した」ということであれば、感染爆発が心配されていただけに、喜ばしいことです。

 

気になることも2点。

 

「最初の感染が確認された後、難民キャンプ30か所超は封鎖措置が敷かれ、難民はキャンプ外に出ることを禁じられた。」とのことですが、難民キャンプの生活はキャンプ外での非合法の就労などでなりたっている面もあり、そうした難民の生活はどうなっているのか?

 

もうひとつはバングラデシュ政府が難民の移送先にする予定のブハシャンチャール島の状況。

この島は容易に水没する危険があると指摘されていた場所ですが、「国土の3分の1が浸水」という状況でどうなっているのか?すでに移送された人々の状況はどうなっているのか?

 

【未検査で数千人に「コロナ陰性証明書」】

「本当かな・・・」という点では、バングラデシュの新型コロナ陰性証明書もだいぶ怪しいようです。

 

****未検査で数千人に「コロナ陰性証明書」 病院経営者を逮捕 バングラデシュ****

バングラデシュの警察当局は15日、新型コロナウイルス検査で陰性だったと証明する偽の書類を6000人以上に発行した疑いで、指名手配していた病院経営者の男を隣国インドに逃亡する直前に逮捕したと発表した。

 

容疑者はイスラム教徒の女性が着用する「ブルカ」を着て、インドとの国境の川岸にいたところを拘束されたという。

 

モハマド・シャヘド容疑者は経営する2つの病院で、検査を行わずに陰性証明書を発行していたとされる。同容疑者は9日間にわたって逃走を続けていた。

 

新型コロナ陰性の偽装証明書をめぐっては、ここ数日でシャヘド容疑者の他に10人以上が逮捕されている。

 

警察によると、シャヘド容疑者の病院では1万500件の新型ウイルス検査が行われたとされているが、うち実際に検査したのは4200件で、残る6300件は未検査にもかかわらず検査結果証明書を渡していたという。

 

また、首都ダッカにある容疑者の病院は新型コロナウイルスについては無料診療を提供することで政府と合意していながら、検査結果証明書の発行手数料と治療費を請求していた疑いも掛けられている。

 

専門家らは、医療機関が発行する証明書の信頼性を損ない、国内の新型コロナ危機を悪化させる事件だと懸念を強めている。同国ではこれまでに約19万3000人が感染し、2457人が死亡した。

 

バングラデシュ経済は、海外で働く出稼ぎ労働者の外貨収入に大きく頼っている。だが、移民労働者の権利団体OKUPによると、ダッカからイタリアに渡航したバングラデシュ人労働者が現地での検査で陽性と診断される事例が相次ぎ、うち複数が「陰性証明書」を携行していたとされる。

 

OKUPは「海外の雇用市場のため、政府は国内各地の研究施設で行われる検査の品質を保証しなければならない」と主張している。 【7月16日 AFP】

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「ダッカからイタリアに渡航したバングラデシュ人労働者が現地での検査で陽性と診断される事例が相次ぎ」ということからすると、実際の感染状況は「約19万3000人が感染し、2457人が死亡」を大きく上回るものがあるのかも。

 

こうした「実際の感染状況は・・・・」云々は、ある意味では、検査しなければ感染しているかどうかわからないということで、新型コロナというものは(語弊を恐れず敢えて言えば)「その程度の病気」ということも。高齢者やハイリスクの者が重症化しやすいというのは、普通の風邪でも、なんの病気でも同じです。

 

無症状者割合は5割内外ともいわれていますが、ひょっとしたらもっと多いのかも。

 

もちろん、欧米や南米のように死者が続々という状況もありますが、一方で日本を含めたアジア方面ではあまり死者は増えていません。

このあたりが、この病気のよくわからないところです。

 

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