
(【8月2日 TBS NEWS DIG】)
****ガザ地区の死者6万1000人超 イスラエルの攻撃と食料不足で****
パレスチナのガザ地区ではイスラエル軍の攻撃に加え深刻な食料不足が続き、地元当局は5日、死者が6万1000人を超えたと発表しました。イスラエルは軍事作戦を拡大する方針について閣議で協議する見通しだと報じられていて住民の犠牲のさらなる増加が懸念されます。
イスラエル軍は6日もガザ市の一部に退避通告を出すなどしてイスラム組織ハマスへの攻撃を続けています。
地元の保健当局は5日、過去24時間に住民87人が死亡し、これまでの死者は6万1020人になったと発表しました。
ガザ地区では栄養失調などで死亡する住民も後を絶たず、5日の時点で188人となり、その半数が子どもだとしています。
イスラエルのネタニヤフ首相がハマスの壊滅などに向けて、軍事作戦を拡大する方針を固めたと伝えられる中、イスラエル首相府は5日、軍の参謀総長がネタニヤフ首相に対し、今後の作戦の選択肢を示したと発表しました。
イスラエルのメディアによりますと、このなかで参謀総長は人質を危険にさらすことへの懸念を示しつつも、決定されたことを実行に移す用意があると述べたということです。
7日には方針について閣議で協議する見通しだと報じられていて、実際に軍事作戦が拡大されれば住民の犠牲のさらなる増加が懸念されます。【8月6日 NHK】
地元の保健当局は5日、過去24時間に住民87人が死亡し、これまでの死者は6万1020人になったと発表しました。
ガザ地区では栄養失調などで死亡する住民も後を絶たず、5日の時点で188人となり、その半数が子どもだとしています。
イスラエルのネタニヤフ首相がハマスの壊滅などに向けて、軍事作戦を拡大する方針を固めたと伝えられる中、イスラエル首相府は5日、軍の参謀総長がネタニヤフ首相に対し、今後の作戦の選択肢を示したと発表しました。
イスラエルのメディアによりますと、このなかで参謀総長は人質を危険にさらすことへの懸念を示しつつも、決定されたことを実行に移す用意があると述べたということです。
7日には方針について閣議で協議する見通しだと報じられていて、実際に軍事作戦が拡大されれば住民の犠牲のさらなる増加が懸念されます。【8月6日 NHK】
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****利用可能な農地、わずか1.5% 国連機関「本格飢饉の寸前」 ガザ****
国連食糧農業機関(FAO)は6日、イスラエルが軍事作戦を続けるパレスチナ自治区ガザで、利用可能な農地がわずか1.5%に当たる2.3平方キロメートルにまで減少したとする調査結果を公表した。
その上で、ガザが「本格的な飢饉(ききん)に陥る寸前」だとして、農業の再開を可能にするよう訴えた。
調査は人工衛星を使って実施。5月末公表の前回調査では、農地の5%未満が利用可能だった。7月下旬から行った今回の調査では、約86%の農地が損傷を受けたことが判明。約12%は無傷であっても近づくことができない状態だという。
ガザでは食料不足が深刻化している。FAOの屈冬玉事務局長は声明で「食料(を得る)権利は基本的人権だ」と強調。「農業システムが破壊されて人々が飢えている」として、このままではさらに多くの人命が失われると警鐘を鳴らした。 【8月7日 時事】
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****ガザで援助トラックが横転し20人死亡、ハマス運営の民間防衛隊が発表****
パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスが運営する民間防衛隊は、ガザ中部で4台のトラックが群衆に突っ込み横転し、これまでに20人が死亡、30人以上が負傷したと発表した。
この出来事は5日の夕方、デイル・アル・バラフの道路で発生した。現場に居合わせた地元のジャーナリストがBBCに語ったところによると、群衆がトラックに殺到し、車両の上に登ったことで運転手が制御を失ったという。
民間防衛隊のマフムード・バサル報道官は、この地域はイスラエル軍の管理下にあり、道路は荒れていて危険な状態だったと述べた。
現在ガザで活動している民間輸送業者団体によると、5日には商業用トラック26台がガザに入った。うち6台が略奪され、4台が横転して死傷者が出たという。
イスラエルは、国連への依存を減らし、ガザ地区への「支援物資の量」を増やすため、民間部門を通じた物資の段階的な搬入を開始すると発表した。【8月7日 BBC】
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****「なぜ止めない?」イスラエル入植者が“支援物資に襲いかかる”異常事態…30台破壊の現場に怒り****
ヨルダン政府は6日(現地時間)、声明を出し、ガザ地区に向かう人道支援物資の輸送隊がイスラエルの入植者に繰り返し襲撃されていると非難した。
同日、イスラエル政府に対しては、入植者による暴力行為を直ちに停止するよう求めた。モハンマド・モマニ報道官は、イスラエルの入植者が6日、ガザに向かっていた人道支援物資を積んだトラック30台を攻撃し、道路を封鎖して石を投げ、4台を破壊したと明らかにした。
襲撃は1週間で2度目で、3日にも入植者がトラック2台を強制的にヨルダンへ引き返させた。モマニ報道官は、運転手の安全が脅かされ、支援物資の輸送が妨げられていると述べ、こうした行為は国際的慣行や各種国際条約に明確に違反していると強調した。
モマニ報道官はまた、背景にはイスラエル当局の寛容な対応があるとし、政府が即時に行動しなければ事態は抑えられないと警告した。
ヨルダンのハシム王家の慈善団体はこれまでガザへの支援を継続してきたが、今回の輸送隊は国境封鎖により搬入できなかった。
国際社会の圧力を受け一部の制限が解除された後も、イスラエル側による国境手続きの無期限の遅延、通関検査時間の短縮、トラック1台あたり300ドル〜400ドル(約4万4,082円〜5万8,786円)の新たな通関料により、輸送に重大な支障が出ていると報道官は指摘した。アンマンからガザまでの距離は約2時間だが、こうした妨害により1往復に36時間を要しているという。
ガザ地区のハマス広報室は6日、イスラエルが7月27日に支援物資の再搬入を許可したと発表した後、入境を待機していた約6,000台のトラックのうち、実際に搬入できたのは853台にとどまったと明らかにした。
発表によると、ガザ地区の医療、公共サービス、食料の最低限の需要を満たすには、1日あたり少なくとも600台分の支援物資と燃料が必要としている。【8月7日 有馬侑之介氏 江南タイムズ】
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****飢えるガザ、沈黙するイスラエル人 共感はなぜ広がらないのか****
空爆はやまず、市民の命が次々と奪われていく。食料は底を突き、子どもたちが痩せ細っている。パレスチナ自治区ガザ地区の人道危機は、すでに限界に達しつつある。
それでもイスラエルでは、ガザの惨状に心を寄せる声は広がらない。共感は、なぜ届かないのか――。
ヘブライ大学のエラン・ハルペリン教授(紛争心理学)が、その心理的背景を語った。
このインタビューでは、前半でイスラエル社会におけるガザへの共感の欠如に焦点を当て、後半ではその背景にある歴史的トラウマや心理構造を読み解いていきます。
届かない「隣人の苦しみ」
――ガザ側の死者が6万人を超え、餓死者も連日のように報告されています。それでもイスラエル国内では、ガザの人道危機を深刻に受け止める声は少ないように思います。
◆イスラエルでも、ガザで何が起きているのか、また自国が背負う道徳的な代償について議論される機会は増えています。
ですが、2023年10月のイスラム組織ハマスによる越境攻撃以降、多くの人が強いトラウマ(心的外傷)と脅威を感じ、パレスチナの状況に心を向ける余裕がないのです。
イスラエル国内の一般的な認識は、「ハマスが人質をすべて解放すれば、戦争は明日にでも終わる。そうなれば、ガザの人々がこれ以上苦しまなくて済む」というものです。
しかし、ハマスは人質を解放せず、依然としてガザを支配しています。軍事的圧力の継続はやむを得ないとの考えが主流です。
自国民である人質に意識が集中するあまり、ガザ住民への共感が後回しにされています。
ハマスの攻撃が刻んだ「心の傷」
――イスラエル軍の攻撃によってハマスは弱体化しましたが、トラウマや脅威の感覚は消えていないのですか。
◆間違いなく、今も多くの人が深いトラウマを抱えています。
外から見れば、イスラエル軍は最新鋭の戦闘機や戦車を持つ「強者」で、ハマスはロケット弾しか持たない「弱者」に見えるかもしれません。
しかし、イスラエルにとってハマスの攻撃は、「国家の存続さえ危うい」と感じさせるような究極の危機でした。
軍は国家でもないハマス相手に市民を守れず、数日間にわたり領土の一部を占拠され、約1200人が殺害されました。子どもの虐殺や性暴力など、言葉を失うほどの凄惨(せいさん)な行為が相次いで発生しました。
それまで信じていた「軍が守ってくれる」という感覚が揺らぎ、国民の間には深い不安が残りました。ハマスは弱体化したとはいえ、今もガザにいます。再び同様の攻撃が起きれば、誰が自分たちを守ってくれるのか――。
その不安は拭い切れていません。
ハマスの攻撃は、ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)以来、最大のトラウマ体験だった、と多くのイスラエル人が感じています。
「何をやってもいい」揺らぐ倫理
――しかし6万人もの犠牲者を出す大規模な攻撃や、ガザ住民の域外移住のような過激な考えには、疑問を抱かざるを得ません。
◆私自身、イスラエル軍が現在、ガザで行う軍事作戦を正当化しませんし、ガザ住民の域外移住もまったく受け入れられません。
イスラエル国内でも移住計画に反対する声が多く、世論調査では約7割が「人質の解放と引き換えに戦争を終わらせるべきだ」と答えています。
ですが、ハマスによる虐殺を経験し、今も人質が拘束されている状況で、一部のイスラエル人は道徳的境界線を失い「どんな手段を取っても構わない」と感じてしまっています。
また、トランプ米大統領がガザ住民の域外移住構想を打ち出したことで、「自分たちの行動には正当性がある」と捉えているのです。
「虐殺の記憶」が攻撃を正当化する矛盾
――ユダヤ人はナチスによるホロコーストを経験しました。その教訓は現在の人道危機に歯止めをかけることにはならないのですか。
◆ホロコーストから導き出される教訓は二つあります。
一つは「自分たちの安全は自らの手で守らなければならない」ということ。
もう一つは「あのような惨禍は二度と繰り返してはならない」という普遍的な教訓です。
しかし、今のイスラエル社会では前者がより強く意識されています。
人々はハマスによる攻撃を自国の存続を脅かすものと受け止め、「自らを守るためには力が必要だ」と感じています。その意識が結果的にガザへの攻撃を正当化する方向へ向かわせているのです。
――イスラエルでは、人質問題は大きく報じられていますが、ガザでの被害の実態はあまり伝えられていません。
◆確かに今回の戦争で、イスラエルのメディアは本来の役割を十分に果たしているとは言い難いです。
リベラル系の有力紙「ハーレツ」などはガザの悲惨な現実を伝えようとしていますが、多くのメディアは被害や現地の人々の苦しみにほとんど焦点を当てていません。
これは、イスラエル国民が惨状に向き合うことを、無意識のうちに避けているからだと考えられます。
また国民皆兵のイスラエルでは、軍は家族のような存在です。その軍がガザで残虐な行為を行っていると認めることは、自らのアイデンティティーを揺るがします。多くの人は無意識に情報から距離を取ろうとするのです。
戦争が終われば、メディア報道のあり方は厳しく問われることになります。
封鎖と閉塞感が生んだ「報復」
――一方で、ハマスの攻撃も子どもを虐殺するなど、道徳的境界線を大きく踏み越えたものでした。
◆ハマスが行ったことを正当化する余地は一切ありません。しかし、背景には長年にわたるイスラエルとパレスチナの対立があります。
ガザは07年からイスラエルに封鎖され、多くの人々が「基本的な人権を奪われている」と感じてきました。
またイスラエルは14年以降、パレスチナ側との和平交渉を進めてきませんでした。閉塞(へいそく)感の中、ハマスはイスラエルの行動を「報復の口実」と捉え、多数の民間人を巻き込む極端な手段に訴えました。
現在、イスラエルもハマスの攻撃に対する「報復」として軍事作戦を継続しています。
双方は軍事力に大きな差がありますが、深いトラウマと被害者意識を抱え、暴力を正当化し合う悪循環に陥っています。
――このような悪循環を断ち切ることは可能なのでしょうか。
◆現在のように戦闘が続く中で、和平(パレスチナ問題の解決)に向かう道筋を描くのは困難です。まずは戦争を終結させなければなりません。
今回の悲劇から学ぶべきは、ハマスによる越境攻撃前の状況、つまりイスラエルとパレスチナの関係が、互いの安全保障や人間としての平等の観点から持続可能ではなかったということです。
イスラエルは、パレスチナの人々が占領下で生きることはできないことを認め、パレスチナ側もまた、暴力で問題を解決できないことを理解すべきです。
現実的に見ても、平和的な解決こそが、最も道徳的な選択であり、双方の安全を保証しうる唯一の道です。【8月7日 毎日】
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