
(クリミア半島のヤルタにあるリバディア公園アートギャラリーに置かれた3指導者を配した展示作品は「ヤルタ2.0」と呼ばれている=ロイター【2月19日 日経】 どうでもいいですが、トランプ大統領がやや小さ目に描かれているのはロシア人による作品だからでしょう)
【力による平和 トランプ大統領とレーガン元大統領の違い】
傲慢とも思えるような対応が目につくトランプ大統領ですが、軍事行動を起こすことは好まないようで、第1期の2017年、習近平国家主席との会食中に、化学兵器を使用したシリアに対しミサイルを撃ち込んだことが目立つ程度。(おそらく平和主義というより、「戦争なんてカネがかかるだけ」という発想でしょう)
トランプ大統領の戦略(と言えるものがあるとすればですが)としては、“力による平和”を重視しているとも言われます。
“圧倒的な力を持った軍隊がにらみをきかせていれば誰も戦争を始めないだろう”といった考えですが、別にトランプ大統領の専売特許でもなく、アメリカ大統領で言えば、レーガン元大統領も“力による平和”で東西冷戦を終結させたとされています。
****ロナルドとドナルド それぞれの“力による平和”【報道1930】*****
Peace through Strength(=力による平和)…第2幕を開けたトランプ大統領が就任式のあと陸海空の米軍人たちの前で掲げた安保戦略のスローガンだ。この“力による平和”とはいかなるものなのか読み解いた。
「トランプは取引重視だ。“君が何かしてくれたら僕も何かするよ”という考え方…」
アメリカ大統領はアメリカ軍の最高司令官でもある。その立場に立ったドナルド・トランプ氏は軍人たちの前でスピーチした。
「我々は勝利した戦争だけでなく終わらせた戦争も成功とみなす。だが最も大事なのは突入しなかった戦争を成功と評価することだ。これぞ“力による平和”だ。我々は戦争をする必要がない。軍を強くすれば軍を使う必要がないんだ…」
この“力による平和”という言葉をトランプ大統領は1期目から使っていた。その言葉の意味をアメリカ・戦略国際問題研究所(CSIS)のカンシアン氏はこう説明する。
安全保障部門 マーク・カンシアン上級顧問
「“力による平和”にはアメリカ国民や同盟国にとって2つの意味がある。ひとつはアメリカの強さが紛争を抑止する平和な世界を作るということ。もうひとつは紛争を抑止しつつも必要であれば紛争に勝利する能力を持つ強いアメリカという考え方…」
「“力による平和”にはアメリカ国民や同盟国にとって2つの意味がある。ひとつはアメリカの強さが紛争を抑止する平和な世界を作るということ。もうひとつは紛争を抑止しつつも必要であれば紛争に勝利する能力を持つ強いアメリカという考え方…」
簡単に言えば圧倒的な力を持った軍隊がにらみをきかせていれば誰も戦争を始めないだろうということか…。“力による平和”は歴史上度々使われてきた言葉だとカンシアン氏は言う。
例えば42年前、当時のロナルド・レーガン大統領は言った…「我々は力によって平和を維持できる。弱さこそが攻撃をいざなう」 レーガン元大統領は“力による平和”を掲げ軍事力を強化し、東西冷戦を終結に導いた。
“力による平和”を掲げたロナルドとドナルド。しかし2人のそれは似て非なるものだとカンシアン氏は語る。
安全保障部門 マーク・カンシアン上級顧問
「レーガンはヨーロッパやアジアの同盟国と強く結びついた国際主義者だった。一方トランプには“アメリカ第1主義”“孤立主義”という下地がある…。トランプ陣営の言う“力”はアメリカを守ることに重点を置いている。だがレーガン時代はアメリカや同盟国・パートナーを守ることを意味していた(中略〜今後トランプは)パートナーや同盟国へのコミットメントを引き下げ関係をより取引志向にするだろう。トランプは取引重視だ。“君が何かしてくれたら僕も何かするよ”という考え方…」
「レーガンはヨーロッパやアジアの同盟国と強く結びついた国際主義者だった。一方トランプには“アメリカ第1主義”“孤立主義”という下地がある…。トランプ陣営の言う“力”はアメリカを守ることに重点を置いている。だがレーガン時代はアメリカや同盟国・パートナーを守ることを意味していた(中略〜今後トランプは)パートナーや同盟国へのコミットメントを引き下げ関係をより取引志向にするだろう。トランプは取引重視だ。“君が何かしてくれたら僕も何かするよ”という考え方…」
強い軍が平和をもたらすという共通点はあるがレーガン氏は国際主義時代の“力よる平和”であるのに対し、トランプ氏は利益本位で“脱価値的”だと語るのは、アメリカの外交・安全保障を専門とする慶應大学の森教授だ。
慶應義塾大学 森聡 教授
「理念に沿った世界を作ろうという(レーガンさんのような)国際主義の発想はトランプさんには無い。何故ならそれをしてきたためにアメリカは消耗してしまったから…」(中略)
「理念に沿った世界を作ろうという(レーガンさんのような)国際主義の発想はトランプさんには無い。何故ならそれをしてきたためにアメリカは消耗してしまったから…」(中略)
「トランプさんってアメリカに対するビジョンはあるんですけど、世界に対するビジョンはないんですよ…」
とは言えアメリカ大統領は世界に関わっていく。そして、世界はそれに揺り動かされる。
(BS-TBS『報道1930』1月23日放送より)【2月4日 TBS NEWS DIG】
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【停戦後のロシアの前に放置される欧州】
いまトランプ大統領はウクライナ・ロシア双方にアメリカの力を誇示しながら、最も話しやすく現実的対応が可能なプーチン大統領との「ディール」でウクライナ戦争を終わらせ、あとは欧州に任せる方針です。
トランプ大統領の関心は対中国にあり、欧州にはあまり関心がないとされ、“アメリカ第1主義”“孤立主義”の立場から停戦後もウクライナに米軍を送る考えはなさそう。欧州は自力で停戦で体力を回復するロシアの脅威に対峙する必要が出てきそうです。
****欧州、独力でのウクライナ平和維持は困難 米の支援見込めず苦境に****
欧州は、将来ウクライナを巡る和平合意が成立した後、同国に平和維持部隊を派遣するよう米国から要求され、ジレンマに直面している。
専門家によれば、欧州がウクライナに部隊を派遣すれば大西洋条約機構(NATO)自体の防衛力が弱体化する可能性がある上、任務を成功させるにはいずれにしても米国の支援が必要だ。
米軍が現地に派兵する必要はないと想定した場合でも、中距離ミサイルや、究極的には核兵器によって米国が抑止力を発揮することは重要になる。
第一次トランプ米政権時に英国の国家安全保障顧問だったマーク・ライアル・グラント氏は「米国が何らかの形で関与しない限り、攻撃的で国家主義的なプーチン(ロシア大統領)を前にして、いかなる安全保障合意も100パーセント信頼できるとは思わない」と語った。
欧州高官らも、欧州の平和維持部隊を保護し、ロシアが将来ウクライナに攻撃を仕掛けるのを抑止できるのは米国の保証だけだと言う。
トランプ大統領は先週、サウジアラビアのリヤドで米国とロシアがウクライナを巡る2国間和平協議を行うと発表し、欧州を驚かせた。協議は18日に始まった。一方、ヘグセス米国防長官は同盟国に対し、「安全保障を巡るいなかる保証も、欧州および欧州以外の有能な軍隊によって裏付けられなければならない」と述べた。
ヘグセス氏は、米軍をウクライナに派遣することはないと明言した。
欧州各国首脳は17日にパリで緊急会合を開いたが、ウクライナへの平和維持部隊派遣を巡る意見の隔たりは埋まらなかった。派兵案はフランスが音頭を取り、昨年から一部の欧州諸国が協議を始めていた。
派兵すれば、欧州はロシアと直接対決するリスクが高まる。また欧州はウクライナへの提供によって兵器の備蓄が枯渇している上、主要任務では米国の支援に大きく依存してきただけに、派兵すれば戦力が限界に達しかねない。
スターマー英首相は17日、ウクライナに軍を派遣する意思はあるが、米国の「後ろ盾」も必要だと述べた。
<欧州の派兵によりNATOは弱体化するか>
専門家は、ウクライナに大規模な欧州軍を展開すれば、拡大が予想されるロシアからの脅威に対するNATOの防衛力が弱まりかねないと警告している。戦闘が終結すれば、ロシアは軍備を急速に補充することが可能になる。
また、冷戦終結後に比較的平和な数十年が続いたことで、欧州は即応態勢を十分強化できていない。その欧州が、特にロシアおよびベラルーシとの2000キロ以上に及ぶコンタクトライン(接触線)を保護するよう求められた場合、即戦力となる兵力を十分かつ迅速に調達できるかについては疑問の声がある。
ドイツのシンクタンク、SWPのアナリスト、クラウディア・メイジャー氏は17日、ドイツの公共放送で、平和維持部隊にはウクライナ軍を含め4万人から15万人の兵力が必要になる見通しで、欧州単独で編成するのはほぼ不可能だと語った。(中略)
専門家によれば、欧州がウクライナに部隊を派遣すれば大西洋条約機構(NATO)自体の防衛力が弱体化する可能性がある上、任務を成功させるにはいずれにしても米国の支援が必要だ。
米軍が現地に派兵する必要はないと想定した場合でも、中距離ミサイルや、究極的には核兵器によって米国が抑止力を発揮することは重要になる。
第一次トランプ米政権時に英国の国家安全保障顧問だったマーク・ライアル・グラント氏は「米国が何らかの形で関与しない限り、攻撃的で国家主義的なプーチン(ロシア大統領)を前にして、いかなる安全保障合意も100パーセント信頼できるとは思わない」と語った。
欧州高官らも、欧州の平和維持部隊を保護し、ロシアが将来ウクライナに攻撃を仕掛けるのを抑止できるのは米国の保証だけだと言う。
トランプ大統領は先週、サウジアラビアのリヤドで米国とロシアがウクライナを巡る2国間和平協議を行うと発表し、欧州を驚かせた。協議は18日に始まった。一方、ヘグセス米国防長官は同盟国に対し、「安全保障を巡るいなかる保証も、欧州および欧州以外の有能な軍隊によって裏付けられなければならない」と述べた。
ヘグセス氏は、米軍をウクライナに派遣することはないと明言した。
欧州各国首脳は17日にパリで緊急会合を開いたが、ウクライナへの平和維持部隊派遣を巡る意見の隔たりは埋まらなかった。派兵案はフランスが音頭を取り、昨年から一部の欧州諸国が協議を始めていた。
派兵すれば、欧州はロシアと直接対決するリスクが高まる。また欧州はウクライナへの提供によって兵器の備蓄が枯渇している上、主要任務では米国の支援に大きく依存してきただけに、派兵すれば戦力が限界に達しかねない。
スターマー英首相は17日、ウクライナに軍を派遣する意思はあるが、米国の「後ろ盾」も必要だと述べた。
<欧州の派兵によりNATOは弱体化するか>
専門家は、ウクライナに大規模な欧州軍を展開すれば、拡大が予想されるロシアからの脅威に対するNATOの防衛力が弱まりかねないと警告している。戦闘が終結すれば、ロシアは軍備を急速に補充することが可能になる。
また、冷戦終結後に比較的平和な数十年が続いたことで、欧州は即応態勢を十分強化できていない。その欧州が、特にロシアおよびベラルーシとの2000キロ以上に及ぶコンタクトライン(接触線)を保護するよう求められた場合、即戦力となる兵力を十分かつ迅速に調達できるかについては疑問の声がある。
ドイツのシンクタンク、SWPのアナリスト、クラウディア・メイジャー氏は17日、ドイツの公共放送で、平和維持部隊にはウクライナ軍を含め4万人から15万人の兵力が必要になる見通しで、欧州単独で編成するのはほぼ不可能だと語った。(中略)
<ロシアはNATO平和維持部隊派遣に反対>
ヘグセス米国防長官は、平和維持部隊をウクライナ国内に駐留させるべきだと公言してはいないが、NATOの集団自衛権の行使を規定した第5条の適用対象にはならないとの考えを明確にしている。
ロシアのラブロフ外相は18日、リヤドで記者団に対し、ウクライナ国内にNATO加盟国の軍が駐留することをロシアは受け入れられないと述べた。
しかしウクライナ国外から抑止力を行使しようとすれば、欧州は別のジレンマに直面しかねない。ロシアが停戦合意に違反した場合、同国の標的を遠距離から攻撃できるような中距離兵器を保有していないからだ。
また、米国にはロシアに対する究極の抑止力となる巨大な核兵器があるが、欧州にはそれが無い。【2月19日 ロイター】
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【トランプ大統領が関心がないグローバルサウスで中国が影響力拡大】
トランプ大統領が欧州以上に関心がないのは中国以外のアジア・アフリカの雑多な国々、いわゆるグローバルサウスとしてバイデン政権時代に重視されてきた国々です。それらの国々との間で何か問題があれば、アメリカの圧倒的力でねじふせればいい・・・有象無象の国々の国連総会での批判などどうでもいい・・・といったところでしょう。
そうしたアメリカの冷淡な対応の傍らで、影響力を拡大していくのが中国。
****トランプアメリカ離れでグローバルサウスめぐる政治力学は中国有利に トランプ時代に日本に求められる姿勢****
(中略)
グローバルサウスへの関心低いトランプ政権
一方、政権発足から1カ月となるが、トランプ大統領は中国やウクライナ、イスラエルや日本、欧州など大国間が絡む問題に動き出す一方、インドを中心とするグローバルサウス(=南半球に多い新興国や途上国)については言及は極めて少ない。
トランプ大統領は関税を武器に諸外国から最大限の譲歩や利益を引き出し、国際協調における米国の負担を最大限抑え、米国の政治的安定と経済的繁栄を躊躇なく追求する。
また、米国の諸外国に対する政治的、経済的優位性を堅持しようとし、それを脅かす存在として特に中国を警戒し、中国に対する優位性を確保しようとする。こういったトランプ的価値観に照らせば、今日の米国にとってグローバルサウスの優先順位は高くない。
では、そういった状況で今後のグローバルサウスの行方はどうなるのだろうか?
最近の米中関係からそれを探ることができる。トランプ大統領が中国へ一律10%の追加関税を発動した中、中国は報復として米国産の石炭と液化天然ガス(LNG)に15%、原油や農業機械、大排気量の自動車に10%の追加関税を課したが、ここから双方の狙いの違いが読み取れる。
トランプ大統領は、米国にとって最大の課題である対中貿易赤字を如何に手っ取り早く削減するかに尽力しており、中国から如何なる報復があるかを警戒しておらず、強気の姿勢しか見えない。
一方、中国は一律関税に対して狙いを定めた限定関税で対応している。そこからは、その後のトランプ大統領の対応を冷静に見極めると同時に、米国は保護主義的な路線に徹し、米国こそが国際協調や自由貿易に対する脅威になっていると内外に強調したい狙いが見え隠れする。
無論、国内経済が勢いを失う状況でトランプ関税の嵐は避けたいという狙いもあるだろうが、米国がグローバルサウスへの関心を低下させることにより、政治的かつ経済的に中国にとって有利な環境が整いつつある。
グローバルサウスのアメリカ離れと中国接近
バイデン前大統領は、同盟国や友好国と協力することで中国に対抗する姿勢を重視し、バイデン時代にはグローバルサウスを如何に自らに接近させるかで米中の間で競争が展開されてきた。しかし、バイデン時代において、グローバルサウス諸国からは大国への不満が根強く聞かれた。
例えば、2022年9月の国連総会の時、当時のアフリカ連合のサル議長(当時はセネガル大統領)はウクライナ情勢などの大国間対立に言及し、アフリカは新たな冷戦の温床になりたくないと不満を示し、インドネシアの当時のルトノ外相も東南アジアを冷戦の駒にするべきではないと発言した。
また、2023年6月、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議の時、当時のインドネシアのプラボウォ国防相は米中対立を皮肉交じりに新冷戦と表現し、大国間対立の激化に強い警戒感を示した。当時のフィリピンのガルベス国防相もウクライナ戦争や米中経済の切り離しは信頼構築と協力を損ない、冷戦時代を復活させると強い不満を示した。
国際協調路線を訴えてきたバイデン時代でさえ、グローバルサウスからは大国への根強い不満が繰り返し聞かれたが、今後のトランプ時代においては、そういった不満や警戒感がいっそう強まることは想像に難くなかろう。
無論、中国がこれまで展開してきた一帯一路に対する反発や抵抗もグローバルサウスでは生じているが、習近平国家主席はトランプ大統領よりグローバルサウスとの関係を強化しようという意思がある。トランプ時代、米国とグローバルサウスの関係はいっそう冷え込み、中国との関係強化を進めるグローバルサウスの国々が増えることが考えられよう。(後略)
トランプ時代に日本に求められる姿勢
(中略)他の国々からすると、米国第一主義や保護貿易主義を貫き、世界経済を混乱させようとするトランプ大統領と安定的な関係を築こうとする日本は奇妙な存在に映ることもあろう。
トランプ大統領とは距離を置き、中国との関係強化に努めるグローバルサウスの国々の中には、トランプアメリカと日本を同一視するような見方さえ出てくるかも知れない。
(中略)日本の安全保障環境を考慮すれば、米国との安定的な関係はトランプ政権においても欠かせない。しかし、世界が多極化に進んでいると言われる今日、世界における米国の存在感が以前のような圧倒的なものではなくなっていることは明らかであり、トランプ大統領が再選したこともそれを物語る。
親分と蜜月関係を維持すれば安泰という時代ではなく、トランプアメリカに対する諸外国の懸念が強まる中では、日本としては日米結合という認識をグローバルサウス諸国に与えてはならず、トランプアメリカと良好な関係を維持する一方、日本独自の主体性や理念、戦略というものをグローバルサウス諸国に訴えていく必要がある。(後略)
【2月21日 株式会社Strategic Intelligence代表取締役社長CEO 和田大樹氏 FNNプライムオンライン】
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【停戦後、米中ロ三首脳の「ヤルタ2.0」会談で世界三分割?】
ウクライナ戦争停戦後の欧州はロシア前で立ちすくみ、アジア・アフリカでは中国が影響力を拡大・・・“アメリカ第1主義”“孤立主義”のトランプ政権が影響力を維持するのは「裏庭」のカナダ・メキシコ・中南米諸国・・・・かくして世界は米中ロで分割される・・・といった予測もあるようです。
その世界分割のための「ヤルタ2.0」会談が米中ロ首脳によって5月9日にモスクワで行われる対独戦勝式典で行われるのでは・・・とも。
****「ヤルタ2.0」ロシアの狙いは?****
「100日計画」トランプ政権の戦略
一方、ロシアは停戦に向けて何を行おうとしているのか。元時事通信社モスクワ支局長で拓殖大学・名越健郎客員教授に話を聞いた。
名越氏によると、ロシアは5月9日にモスクワで行われる対独戦勝式典にトランプ大統領とイーロン・マスク氏を招待する計画だ。その式典には中国の習近平国家主席も招待されており、その場で米中露首脳会談を実施することも期待しているという。
「ヤルタ2.0」ロシアの狙いは?
ロシアが米露協議で狙うものは、停戦にとどまらないという。ロシアの政府系メディア・イズベスチヤは11日、国内では「ヤルタ2.0」の開催を求める声が高まっていると伝えた。
「ヤルタ2.0」のヤルタとは、1945年2月に行われたヤルタ会談のこと。当時、イギリスのチャーチル首相、アメリカのルーズベルト大統領、ソ連のスターリン首相が、第2次世界大戦後の世界秩序について、当事国ドイツ抜きで話し合い、ドイツの分割管理を決定するなどした。
では、ロシアが望む「ヤルタ2.0」とは、どのような会談になるのか。イズベスチヤは17日、ロシア・ジュラブリョフ下院議員が「米露主導でヤルタ会談のような世界の分割について合意できる」と主張していると伝えた。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年2月19日放送分より)【2月19日 テレ朝news“トランプ政権「100日計画」ウクライナ停戦の行方は? 今月中の米露会談開催を示唆”】
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「ヤルタ2.0」に向けて、“米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、中国がトランプに対してプーチンとの直接会談の仲介と、ウクライナ停戦後に中国として平和維持活動(PKO)を担う部隊を送る用意があると伝えていた、と報じている。”【2月19日 日経】とも。
停戦後のウクライナへ関与することで、「ヤルタ2.0」での発言権を得ようという動き・・・とも。
もちろん「ヤルタ2.0」と言っても、トランプ大統領、習近平国家主席、プーチン大統領が机上に世界地図を広げて線を引く・・・・という訳ではありませんが、「欧州には米軍を派遣しない、あとは欧州とロシアで好きにやっていいよ、アジア・アフリカ? 興味ないね・・・」という対応の結果、欧州はロシア、アジア・アフリカは中国、南北アメリカはアメリカの勢力圏に分割されることで米中ロが暗黙のうちに合意するかも・・・という話。
世界の大きな流れとしては、可能性が“なくはない”もののように思えます。
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