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孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

シリア  アサド政権崩壊から半年 課題は山積も、制裁解除で国民生活には明るい希望も

2025-06-09 22:44:27 | 中東情勢
(首都ダマスカスの市場では、アサド政権の崩壊後、外国産の野菜や果物が多く出回るように・・・【6月8日 NHK】)

【アサド政権崩壊から半年 存在感を強めトルコ 米からの支援停止で生活困難者の苦境深まる】
シリアでは独裁的なアサド政権が崩壊して6月8日で半年となりました。いつも指摘されるように問題は山積みです。
・北部を支配するクルド人勢力と暫定政府の統合が進むか? クルド人勢力をトルコ国内テロ組織PKKと同一視するトルコの圧力は?
・「非武装緩衝地帯」に進入し、シリア南部など各地への攻撃を続けるイスラエル軍
・ISILの復活的活動や残党勢力の存在
・旧アサド派残党との衝突やアラウィ派への攻撃など深刻な治安問題 
・国連によれば人口の半分以上にあたるおよそ1700万人に緊急的な人道支援が必要

このうち北部のクルド人勢力(シリア民主軍(SDF))の関係は、2025年3月10日、SDFは暫定政府と正式に合意し、暫定政府傘下への統合に署名しました。これにより、北東部の油田・空港・国境検問所などについて暫定政府への管理移転が進められます。

また、暫定政府の後ろ盾的なポジションにいるトルコは、このSDFの暫定政府合流を歓迎しています。

****シリア アサド政権崩壊から半年 課題は山積 安定は見通せず****
中東のシリアで、独裁的なアサド政権が崩壊して8日で半年となりました。旧政権下で科せられた欧米など各国による制裁の解除の動きが進み、内戦からの復興に向けた期待が広がる一方、国内の融和など課題は山積していて、シリアの安定は依然として見通せない状況です。

シリアでは、去年12月8日、親子2代にわたって半世紀以上続いたアサド政権が崩壊し、反政府勢力の指導者だったシャラア暫定大統領率いる暫定政権が新たな国づくりを進めています。

10年以上続いた内戦からの復興に向けては旧政権下で科せられた欧米など各国による制裁が大きな課題となってきましたが、先月、アメリカが制裁の緩和を発表したほか、EU=ヨーロッパ連合や日本も制裁の一部を解除し、現地では復興への期待が広がっています。

一方で、この半年の間には、旧政権の支持者や少数派の宗派の人たちなどが標的となる事件や衝突がたびたび起きていて、国内の融和や治安の回復など課題は山積しています。

また、隣国のイスラエルがシリアとの緩衝地帯に部隊の駐留を続けているほか、首都ダマスカス近郊でも軍事施設などを狙った空爆を繰り返していて、シリアの安定は依然として見通せない状況です。(中略)
市場では輸入品出回る ビジネスの拡大目指す動きも
シリアでは各国からの制裁解除の動きが続く中、輸入品が出回るようになっているほかビジネスの拡大を目指す動きも出ています。

このうち、首都ダマスカスの市場では、アサド政権の崩壊後、外国産の野菜や果物が多く出回るようになったということで、今月1日、取材に訪れると、南アフリカ産のキウイやイエメン産のマンゴーなどが売られていました。(中略)

ダマスカスの街なかでは、多くの車や人が行き交い、内戦下でインフレが進んだ影響で大量の札束を持って歩く人や、両替所でドルを求める人の姿が見られました。

買い物をしていた男性の1人は「シリアがよい方向に進んでいると感じています。制裁を解除してくれたことを国際社会に感謝したいです」と話していました。

また、制裁の解除を商機だととらえて、ビジネスの拡大を目指す人もいます。(中略)

隣国のトルコが影響力強める
シリアでは、アサド政権を支えてきたロシアやイランの影響力が薄れる一方、旧政権の崩壊後、影響力を強めているのが隣国のトルコです。

内戦中、反政府勢力を支援してきたトルコは、シャラア暫定大統領率いる暫定政権が発足すると、閣僚などを相次いで派遣し、関係を強化してきました。

トルコとしては、敵視するシリア北東部のクルド人勢力をけん制するとともに地政学的に重要なシリアでの影響力を拡大させたいねらいがあります。

先月下旬、アメリカのトランプ政権がシリアへの制裁の緩和を発表すると、トルコのエルドアン大統領はシャラア氏を直後にイスタンブールに招いて会談し、経済分野での協力関係を一層加速させると明らかにしました。

こうした中、トルコではシリアへのビジネス拡大を検討する企業が急増しています。(中略)

トルコの輸出業者でつくる団体によりますと、ことし初めから先月下旬までのシリアへの輸出額は、前の年の同じ時期のおよそ1.4倍に増加し、ことしだけで800社以上がシリアへの輸出を新たに始めたということです。

さらに、中国など海外の企業からの問い合わせも増えているということで、団体ではことし3月、新たにシリアビジネスの専用窓口を設置したということです。

窓口の責任者も務めるカドオール氏は、「状況は日に日によくなっている。シリアでのビジネスの可能性が高まっている」と話していました。

米の支援停止で生活に大きな影響
シリアでは、制裁の解除による経済の活性化が期待される一方で、国連によりますと人口の半分以上にあたるおよそ1700万人に緊急的な人道支援が必要だということです。

ただ、アメリカのトランプ政権のもとで対外援助を行うUSAID=アメリカ国際開発庁の事業の打ち切りが進み、支援を受けていた国内避難民などの生活に大きな影響を及ぼしています。

国連によりますと去年のシリア全体への支援のうち、アメリカが支援額でおよそ4分の1を占め、世界で最も多かったということでUSAIDがその役割を担ってきました。

このうち、シリア北部の町アザーズは、10年以上続いた内戦で荒廃し、今も多くの人が避難民キャンプでの生活を余儀なくされていて、USAIDの支援を受けたNGOが食料配布を続けてきました。

このNGOは多いときには毎月50万人分の食料を配布していましたが、USAIDからの資金が絶たれたことで規模を大幅に縮小し、ことしに入ってからは2回しか食料配布ができておらず、活動停止の危機に直面しています。

NGOの代表者は「今支援を必要としている人たちに支援を行えないことに罪悪感を感じている。シリアの復興のためにも、トランプ大統領には一刻も早い支援再開をお願いしたい」と話していました。

こうした中、シリアでは多くの子どもたちが家計を支えるため、学校に行くのをやめて、働かざるをえない状況となっています。

このうち、両親ときょうだいの家族6人で暮らす14歳のアリ・イブラヒムさんはおととし父親が病気で働けなくなったことから学校に通うのをやめ、支援も滞る中、今ではほぼ毎日8時間以上建設現場で働いています。

重たい機材を運んだり、タイルを磨いたりする厳しい労働ですが、一日の稼ぎは日本円で100円にも満たず、そのすべてを家族の生活費に充てています。

勉強が好きだったアリさんは、今でも学校に通いたいと思う一方、食料配布の支援もなくなったことで家族の生活は一向に楽にならず、働き続けるしか選択肢がないといいます。

アリさんは「私が毎日の生活費を稼がないといけない。時々それがすごいプレッシャーになる。今では支援も届かなくなり、それ以上に働かなければいけないが、それでも借金が増えていく」と話していました。

専門家「マイノリティーとの和解成立を」
 中東情勢に詳しい放送大学の高橋和夫名誉教授は、シリアでアサド政権が崩壊してから半年となる現状について、「新しい体制が倒れるほどの大きな状況にはなっておらず、外交面で各国との関係改善が進んできたことは大きなポイントだと思う」と述べ、暫定政権による国の再建に一定の進展がみられるとしています。

また、欧米や日本など各国が制裁の解除へ動きだしたことについては、「治安が本当に安定したという雰囲気が出てくれば、在外のシリア人のほかトルコや周辺の産油国の投資が進み、シリアの再建は軌道に乗ると思う。シリアの経済状況は本当に悪く国民は生活の改善に強い望みを持っているため、制裁解除はそれに応える第一歩になると思う」と評価しました。

一方で、長年の内戦で分断された国民の融和については「和解を進めてきたものの、今の政権を支持してきた過激派グループなどにはそれが浸透しておらず、少数派の虐殺や国外への逃亡なども伝えられている。マイノリティーの支持を得られず、必ずしも支持基盤を十分に掌握できていない」と分析しています。

そのうえで「マイノリティーとの和解を成立させ、より民主的な多くの声を包含できる体制にゆっくり着実に移行することが望まれる。国際社会もマイノリティーに対する保護が十分でなければ、シリアに対して支援がしにくくなると明確に伝える必要がある」と指摘しました。

一方、シリアをめぐる周辺国などの動きについて「新しいゲームが始まって、アサド政権と親しかったイランの代わりに、トルコとイスラエルがシリアに対する影響力を伸ばしてきている。両者がどのように折り合いをつけるのかがいちばん重要な問題だ。歴史的に見てもシリアは常に中東の争奪戦の中心舞台で、シリアが不安定になれば中東全体が不安定になる」と述べ、今後のシリアの行方が中東の情勢にも大きな影響を与えると指摘しました。【6月8日 NHK】
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【イスラエル 移行期政権の統治の脆弱さに付け込む形で各地を攻撃】
トルコとイスラエルについては、トルコは暫定政府の後ろ盾を自任するような立場で影響力拡大を目指していますが、イスラエルは逆に暫定政府に揺さぶりをかける立場。

****イスラエル軍がシリア南部の武器庫攻撃、直前に飛翔体越境****
イスラエル軍は3日、シリア南部の武器庫を攻撃したと発表した。シリアの国営通信や安全保障関係者によると、この攻撃で首都ダマスカスの郊外やクネイトラ、ダラアにある幾つかの武器庫が標的になったもようだ。

これに先立ちイスラエル軍は、シリアから2つの飛翔体がイスラエル領空に侵入し、空き地に落下したと明らかにしていた。

イスラエルのカッツ国防相は、この飛翔体発射の責任はシリアのシャラア暫定大統領にあると主張。「イスラエルに対するいかなる脅威や発砲の責任はシリアの暫定大統領が直接的に負うと考えている」と述べた。

シリアの国営通信が伝えたところでは、同国外務省はイスラエルに向けて飛翔体が発射された情報の確認は取れていないと説明し、シリアは地域のいかなる関係国にも脅威を与えるつもりはないと繰り返した。

同省はその上で「自己の利益を達成するために地域の不安定化を狙おうとする多くの関係国があると信じている」と付け加えた。【6月4日 ロイター】
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****イスラエルはシャルア移行期政権の統治の脆弱さに付け込むかたちでシリア各所を爆撃****
(中略)
イスラエルは「報復」を主張
これに関して、イスラエル軍はテレグラムを通じて、占領下ゴラン高原のヒスピン地区およびラマト・マグシミム地区で警報が発令され、シリア側から越境してきた2発の発射体が確認されたことを発表した。これらはいずれも空き地に着弾したという。

また、イスラエルの日刊紙『エルサレム・ポスト』によれば、イスラエル・カッツ国防大臣は、シャルア暫定大統領に対し、「イスラエル国家に対するあらゆる脅威や発砲に関して、直接的な責任がある。可能な限り早急に全面的な報復が行われるだろう」と警告した。

さらに、イスラエル軍がテレグラムで発表したところによると、カッツ国防大臣のこの「報復」宣言を受け、同軍の砲兵部隊がシリア南部への攻撃を実施した。(中略)

関与を否定するシャルア移行期政権
シリア領内からの攻撃に関して、ロイター通信は、シリア政府関係者の発言として、「クナイトラ県では、バッシャール・アサド政権時代から活動していた「イランの民兵」が依然として存在しており、イスラエルを挑発することで情勢を緊張させ、現在進められている安定化の努力を妨害しようとしている」と伝え、関与を否定した。

また同通信は、「殉教者ムハンマド・ダイフ旅団」と名乗る武装グループが今回の攻撃の実行声明を出したと、複数のアラブ・パレスチナ系メディアが報じていることを紹介したうえで、その真偽についてはロイター自身では確認できていないと付け加えた。ムハンマド・ダイフとは、2024年のイスラエル軍による爆撃で戦死した、パレスチナのハマース軍事部門の司令官である。

さらに、6月5日には、サウジアラビアの衛星テレビ局のハダス・チャンネル(アラビーヤ・チャンネル)が、シリア領内からの攻撃に関して、イスラエルの治安筋の話として「シャルア移行期政権はこの事件には関与していない」と伝えた。

あわせて、同治安筋は「イスラエルへのロケット弾攻撃は予測されていたことだ」と述べ、「イラン、ヒズブッラー、アサド前大統領の支持者らが、シリアの安定を妨害しようとしている」と強調した。

脆弱な統治に付け込むイスラエル
シャルア移行期政権はこれまで幾度となく、イスラエルとの軍事衝突の意志はないと表明してきた。その一方で、イスラエルが占領下ゴラン高原の東に位置するダルアー県やスワイダー県に侵攻し、これらの地域を事実上の占領下に置いているとして、強く非難している。

これに対してイスラエルは、スワイダー県のドゥルーズ派がシャルア暫定政権の統治を認めず、武装解除を拒否しつつ自治を強化しようとしているなか、ドゥルーズ派の保護を名目に、シャルア移行期政権による南部の統治を阻止している。

6月3日の占領下ゴラン高原への攻撃が、ヒズブッラー、「イランの民兵」、あるいはアサド前政権の残党によるものかどうかは今のところ確認はできない。

だが、イスラエルのシリア南部への干渉が、同地を緩衝地帯化させ、それによってシャルア移行期政権にも、ドゥルーズ派にも制御できない勢力の活動を許す結果となっていることは否定し得ない。

イスラエルはアサド前政権下においても、シリア領からのヒズブッラーや「イランの民兵」による攻撃の責任を理由に、繰り返しシリア国内を攻撃してきた。

現在のシャルア移行期政権は、ヒズブッラーやイランとの関係を明確に断っているにもかかわらず、アサド前政権時代と同じ論理によって攻撃を受けていることになる。その南部支配の障害を生み出しているのが、他ならぬイスラエル自身であるにもかかわらずである。

イスラエルとシャルア移行期政権をめぐっては、UAEやアゼルバイジャンの仲介による交渉が進められる一方で、シリア南部で非公式な直接交渉が行われたとの情報もある。

これは、米国がシリアへの制裁解除の条件の一つとして、イスラエルとの和平実現をシャルア移行期政権に求めている流れを受けた動きと考えられる。しかしイスラエルは、発足間もないシャルア移行期政権の統治の脆弱性に付け込み、シリアのさらなる弱体化を狙い続けている。
【6月7日 青山弘之氏 YAHOO!ニュース】
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【米制裁解除で国民生活に明るさも】
****シリア制裁解除で「未来明るい」自由かみしめる市民 相互不信で根深い「独裁の傷跡」****
シリアの首都ダマスカスの中心部、ウマイヤ広場の電光掲示板に「トランプ(米)大統領、ありがとう」という英語の表示が輝く。1979年に始まった米国の制裁が約2週間前の今年5月、ほぼ半世紀ぶりに解除され、街には活気があふれる。

「未来は明るい」。首都の市場で働くザーフェルさん(44)は制裁解除からの経済好転には時間がかかると留保しながらも、期待を込めた。

トランプ氏は5月14日、サウジアラビアでシリアのシャラア暫定大統領と握手し、「若くて魅力的でタフな男だ」とたたえた。その後、金融、石油部門の制裁を解除。欧州も制裁解除で歩調を合わせる。欧米の投資が流れ込み、人口の9割が貧困層とされる現状が改善される可能性がある。

ザーフェルさんは生まれて初めての喜びをもう一つ、かみしめている。アサド前政権の崩壊だ。
「人生で初めて盗聴器を気にしないで話せるようになった。前は投獄や拷問されるという恐怖が頭から消えなかった」

シリアではハフェズ、バッシャールのアサド父子による独裁が1970年代から続いた。
出身母体の少数派、イスラム教シーア派のアラウィ派を重用し、人口の7割超のスンニ派や反体制派を弾圧した。当局に不法に連行された10万人超が行方不明のままだ。

シャラア氏らは2024年12月8日、北部アレッポ制圧からわずか10日余で首都を陥れた。独裁はあっけなく崩壊した。

過激派「信用できず」
一方で民族や宗教に根ざす衝突も相次ぐ。シリアは文字通り、平和と戦乱の岐路に立っている。

シリア中部ホムスのザフラ地区。延々と廃虚が続くホムスにあって、この地区はまったくの無傷だ。2011年に始まった内戦でホムスは前政権軍と加勢したロシア軍から徹底的に爆撃されたが、アサド氏と同じアラウィ派が多く住むザフラ地区だけは別だった。

いまや状況は一変した。ザフラ地区の公園にいた食品店員のアハマドさん(24)はこの半年で、「アラウィ派が誘拐される事件が増えたようだ。以前と違って夜は出歩かない」と話した。

アラウィ派への報復に他ならない。
今年3月には前政権の残党を含むアラウィ派とスンニ派の民兵が交戦し、4月末以降は少数派イスラム教徒のドルーズ派とスンニ派が戦った。2つの衝突で計1千人超が死亡した。

シャラア氏の経歴も国民団結に水を差す。
シャラア氏が率いた反体制派「シリア解放機構(HTS)」の前身は国際テロ組織アルカーイダと連携したスンニ派過激組織「ヌスラ戦線」だ。

武装解除に応じない市民も多いのは、シャラア氏らを「過激派」と捉え、警戒心を解いていないためだ。

激化する宗派間対立について、南部で会った少数派、キリスト教徒の男性(60)は、両手のジェスチャーでイスラム過激派を意味する長いあごひげを表現しつつ、こうつぶやいた。「彼らは信用できない」(後略)【6月7日 産経】
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