孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ソーシャルメディアでの偽情報拡散 X(旧ツイッター)、ブラジルでサービス停止

2024-09-06 22:42:17 | インターネット SNS

(【8月31日 日経】 Xのオーナー、マスク氏(左)とサービス停止命令を出したブラジル最高裁のアレシャンドレ・ジモラエス判事)

【国家関与の偽情報拡散も】
ネット情報が人々の生活に深く浸透するなかで、偽情報などによる政治的利用も深刻な問題になっています。

国家が敵対国に対し、一定の目的で偽情報を拡散させるケースも。アメリカの場合は、中国・ロシアからの攻撃対象になっています。

*****中国のネット世論操作活動、米有権者標的に=SNS分析企業調査****
米大統領選投票日を11月5日に控え、中国が米国の有権者になりすましてソーシャルメディアを利用し、米政治家を中傷し分断をもたらすようなメッセージを流していることが分かった。ソーシャルメディア分析企業グラフィカが新調査を発表した。

「スパムフラージュ」と呼ばれる工作は、中国国家当局とつながりがある世論操作活動の一環。スパム(迷惑メッセージ)を拡散したり、世論誘導のために標的を絞った宣伝活動をネット上で展開したりしている。

専門家によると「スパムフラージュ」は少なくとも2017年から行われているが、こうした工作は選挙が近づくにつれてより活発になっている。50を超えるウェブサイトやソーシャルメディアプラットフォームで数千のアカウントを活用している。

グラフィカの調査チームを率いるジャック・スタッブズ氏は「米国を標的とした中国の世論操作活動が進化し、虚偽的な行為がより高度になっている」と指摘。スパムフラージュが米国の政治的な会話に潜入し、虚偽的行為による攻勢を一段と強めていると説明した。

具体例としては、米国の反戦活動家になりすまし、交流サイト(SNS)のXで複数のアカウントを使って、トランプ前大統領にオレンジ色の囚人服を着せて 「詐欺師」と称したり、バイデン大統領を「臆病者」と呼んだりするミームを作成したものがあるという。

スパムフラージュのメッセージは、民主党もしくは共和党のどちらか一方の政治的立場を支持するものというより、米国社会や政府への批判を高めることを狙っているとみられる。【9月4日 ロイター】
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****米司法当局、ロシアの情報工作を摘発 プーチン氏側近が関与か*****
米司法省は4日、ロシア政府が11月の米大統領選に干渉するための情報工作で使用していた32のドメイン(インターネット上の住所)を差し押さえたと発表した。

発表によると、プーチン露大統領の側近のキリエンコ大統領府副長官が工作を統括し、メディアを偽装して、ウクライナ侵攻などを巡ってロシア寄りに米世論を誘導しようとしていた。

司法省によると、露政府は遅くとも2022年以降、露企業に協力させて、「ドッペルゲンガー(分身)」と称される作戦を展開してきた。ワシントン・ポスト紙やCNN、FOXニュースなど米国の主要メディアに似せた偽サイトを作成。人工知能(AI)も活用して作成した偽の記事や映像を流して、世論の誘導を図った。

一例として、「ホワイトハウスの計算違い」という見出しの偽記事では「ウクライナへの支援継続は失敗だと米国の指導者が認識する時だ」と訴えていた。米国民を装ってネット交流サービス(SNS)のアカウントを作り、偽記事を紹介する投稿もしていた。

米当局が入手した「古き良き米国」と題した情報工作の内部文書は、米大統領選に向けて「ウクライナ侵攻への対処よりも米国内の問題解決に税金を使うべきだ」という世論を喚起することがロシアの利益になると説明。情報工作の対象として、接戦州の有権者、中南米系、ユダヤ系などを挙げ、「目的」の欄には共和党のトランプ前大統領の当選を目指すと示唆する記述もあった。

また、司法省は4日、身分を隠して米国のインフルエンサーと契約し、ネット番組を通してロシアに有利な情報を流布していたとして、露国営メディア「RT」のロシア人社員2人が外国エージェント登録法違反などの罪で連邦地裁に起訴されたことも明らかにした。

RT社員らは、100万人以上の登録者がいるユーチューバーと月40万ドル(約5700万円)などの条件で契約し、制作した動画の司会者に起用。2000件近い動画を公開し、ユーチューブだけでも延べ1600万人以上が視聴した。

今年3月にモスクワ郊外で起きた銃乱射事件については、犯行声明を出した過激派組織「イスラム国」(IS)ではなく、ウクライナが関与したとする「陰謀論」を流していた。

ガーランド米司法長官は「今回のドメイン差し押さえは、選挙干渉や民主主義を弱体化させる試みには、積極的に対抗していく姿勢を明確にするものだ」と強調した。

米大統領選を巡っては、米当局は16年と20年の選挙でロシアが介入したとみている。今回は、イランが民主・共和両党の陣営にハッキングを仕掛けた疑いも浮上している。【9月5日 毎日】
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「古き良き米国」と題した情報工作の内部文書・・・そんな露骨で、分かりやすいものが存在するというのもいささか不思議ですが・・・。

【SNSのX(旧ツイッター)、ブラジルでサービス停止 特異な存在、オーナーのマスク氏】
上記のような国家が関与する偽情報はごく一部で、大多数は不特定多数の個人がネットに垂れ流す偽情報でしょう。
SNSの運用にあたってはそうした偽情報や不当情報・危険情報の監視が求められていますが、どこで線を引くのか、どこまで徹底させるかは言論の自由との兼ね合いで難しいところもあります。

現在、一番問題になっているのか、SNSのX(旧ツイッター)と、そのオーナーであるイーロン・マスク氏。

ブラジルでは、ボルソナロ前大統領に有利な偽情報の拡散をめぐって、マスク氏とブラジル政府・司法の対立が激化、Xの全面停止に至っています。

****ブラジル最高裁判事とマスク氏の対立激化 スターリンク資産凍結****
ブラジル最高裁の判事と実業家イーロン・マスク氏の対立が激化している。マスク氏が率いる米宇宙開発企業スペースXが提供する衛星インターネットサービス「スターリンク」は29日、ブラジル国内の資産が凍結されたと発表した。

きっかけはマスク氏が2022年に旧ツイッターを買収して改称したSNSの「X」だ。

ブラジル最高裁のアレシャンドレ・ジモラエス判事は28日、マスク氏が24時間以内にブラジルでの新たな法的代表者を指名しない限り、Xのサービスを停止すると警告した。

続いて翌29日にはスターリンクが、ジモラエス判事から「スターリンクの資産を凍結し、ブラジル国内での金融取引を禁止する」との命令を受けたと明らかにした。同社はX上で「法的に対処する」意向を示している。

ブラジル高等選挙裁判所(選挙管理委員会に相当)長官を兼任するジモラエス判事は、同国における偽情報撲滅の闘いを主導しており、その過程でマスク氏と対立してきた。

ジモラエス判事が過去に停止を命じたXアカウントの中には、2022年大統領選で選挙制度の信用失墜を狙った極右のジャイル・ボルソナロ前大統領の支持者のものが含まれていた。

同判事は4月、凍結したアカウントの一部をマスク氏が復活させたとして、マスク氏に対する捜査を命じた。一方、マスク氏側は、ジモラエス判事が言論の自由を抑圧していると非難している。

マスク氏はジモラエス判事が「検閲」に従わせるためにXの前法定代理人に逮捕をちらつかせたと主張し、今月、Xのブラジル事業を閉鎖した。ただし、ブラジルのユーザーは引き続き、Xにアクセスできている。

マスク氏はこのほかにも、公金を使ってボルソナロ前大統領とその側近に有利な偽情報の拡散を計画したとされ、ブラジルの別の司法捜査の対象にもなっている。【8月30日 AFP】AFPBB News
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****ブラジル最高裁がXのサービス停止命令 偽情報対策で マスク氏は反発****
ブラジルの最高裁判所がイーロン・マスク氏が運営するSNS=Xについて、偽情報対策のため国内でのサービス停止を命じました。

現地メディアによりますと、ブラジル最高裁は30日、旧ツイッター=Xについて国内でのサービス停止を命じ、電気通信庁へインターネットから遮断するよう通告しました。

グーグルやアップルには5日以内にアプリストアから削除するよう求め、使用した個人や企業には1日あたりおよそ130万円の罰金を科すとしています。

最高裁は偽情報対策として一部アカウントの凍結を求めていましたが、マスク氏は検閲だと反発し、現地事務所を閉鎖していました。

最高裁の判事は「Xはブラジルに無法地帯をもたらしている」などとしていますが、マスク氏は「真実を知られることを抑圧的な政権が恐れている」と反発しています。【8月31日 テレ朝news】
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****最高裁のX全面停止に反発高まる ブラジル、判事弾劾模索の動きも****
ブラジルで最高裁命令によりX(旧ツイッター)が8月31日から遮断されたことを受け、全面停止は「厳しすぎる」との反発の声が国内で高まっている。ルラ政権への批判が上がっているほか、命令を下した最高裁のデモラエス判事の弾劾を模索する動きも出ており、波紋が広がりそうだ。

「北朝鮮へようこそ」。ボルソナロ前大統領は停止命令を受け、Xが利用できない北朝鮮とブラジルを重ね、米IT大手メタの短文投稿サイト「スレッズ」上で、ルラ政権への批判を展開した。野党議員らは判事の弾劾のほか、国会での議論を求めるなど圧力を強めている。

命令の中には、規制を回避できるVPN(仮想専用線)などを使ってXを利用した個人に1日5万レアル(約130万円)の罰金を科すとの内容もある。同国の弁護士会は8月31日、市民への高額な罰金は憲法に抵触する可能性があるとして最高裁に再考するよう申し立てた。

ブラジルのX利用者は、スレッズやブルースカイなど他の交流サイト(SNS)に流れ始めた。【9月3日 共同】
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Xの場合、単に偽情報・ヘイトスピーチを垂れ流しているというだけでなく、オーナーであるマスク氏自信がそうした一方の政治的傾向の言動を強めており、自身の政治的思いを表現する場としてXを利用しているという特殊な側面があります。

****マスク氏、ナチス擁護論を拡散=「見る価値あり」、即削除****
米実業家イーロン・マスク氏は4日までに、自身がオーナーを務めるX(旧ツイッター)に、ナチス・ドイツ擁護者が出演したポッドキャスト番組を「見る価値がある」と投稿、拡散した。

多くの批判を集め、その後削除。「間違いだった。部分的に聞いただけで、全部ではなかった」と釈明した。同氏は昨年にも、反ユダヤ主義的な投稿に同調し、後に謝罪した。

問題となったのは、米FOXテレビの元看板司会者タッカー・カールソン氏のポッドキャスト。出演した自称歴史家のダリル・クーパー氏が、ナチスによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を第2次世界大戦への準備不足から生じた事故かのように表現した。

カールソン氏は2日、クーパー氏を「米国で最も優秀で誠実な歴史家」とたたえ、番組をXに投稿。マスク氏は翌3日、これにコメントする形で拡散した。

カールソン氏による称賛に対し、ユダヤ系団体の名誉毀損(きそん)防止同盟は「ナチスに殺害されたユダヤ人600万人の記憶への侮辱」と批判した。【9月5日 時事】 
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マスク氏は最近はトランプ前大統領と意気投合し、トランプ氏勝利の場合は、財政のコストカッター、首切り人として存分に腕をふるう予定とか。

****トランプ氏、政府効率化に向けた委員会設置へ トップにイーロン・マスク氏を起用****
アメリカ共和党の大統領候補であるトランプ氏は、政府の効率化に向けた委員会を設置し、トップに実業家のイーロン・マスク氏を起用すると述べました。

「政府の効率化委員会を設置するつもりだ。イーロンは忙しくないので、トップを率いることに同意してくれた」(トランプ前大統領)

トランプ氏は5日、ニューヨークで講演し、大統領に返り咲いたら連邦政府の財政の効率化を目指す委員会を設置し、6カ月以内に無駄な政府支出を削減するための行動計画を策定する考えを示しました。また、委員会のトップには実業家のイーロン・マスク氏を起用することを明らかにしました。

マスク氏もSNSに「機会があれば、アメリカのために貢献できることを楽しみにしている。報酬も肩書も評価も必要ない」と投稿しました。【9月6日 ABEMA Times】
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Xに関してはブラジルだけでなく欧米諸国でも問題となっています。世論に対する大きな影響力を持つソーシャルメディアに対し各国は規制を強化する流れにあります。

****ブラジルに続く?...「X」即時停止命令は他国にも広がるのか EU高官は「禁止もあり得る」と警告***
<イーロン・マスクとブラジル当局の数カ月にわたる緊張状態の末、ブラジル全域で「禁止」されることになったX(旧ツイッター)。各国で規制が進むが、停止命令を出す国は出てくるのか──>
(中略)
「自由の国」アメリカではどうなるか?
一方、アメリカでは合衆国憲法修正第1条で言論の自由が強力に保護されている。
とはいえ、ソーシャルメディア運営企業だからといって、規制を完全に免れられるわけではない。

例えば、Xは2023年9月、ソーシャルメディア・プラットフォームに対するコンテンツモデレーション取り組みの公開を義務付けたカリフォルニア州法が、言論の自由を侵害するとして訴訟を起こしたが、同年12月に訴えを退けられた。

カリフォルニア州法は、相応の年間売上高があるソーシャルメディア運営企業に対し、コンテンツモデレーションへの取り組みを詳細に記した報告書を半期ごとに提出するよう義務付けている。

報告書には、好ましくない投稿数とそれらに講じた措置について、データを明記しなければならない。カリフォルニア州連邦地方裁判所判事ウィリアム・シャブは、Xが同法を凍結するよう求めた訴えを退け、次のように述べた。

「報告義務は、ソーシャルメディア運営企業にかなりのコンプライアンス負担を強いるように思われるが、合衆国憲法修正第1条の文脈においては、この報告義務が不当である、あるいは過度の負担になるとは考えられない」(中略)

EU高官は「X禁止もあり得る」と警告
欧州では、ソーシャルメディア・プラットフォームに対する規制が厳しさを増している。欧州連合(EU)は2022年11月、デジタルサービス法(DSA)を施行した。

この法律は、オンラインプラットフォームに対して、コンテンツモデレーションとユーザーの安全性について厳格なルールを定めている。

EU上級代表サンドロ・ゴジ(仏マクロン大統領率いる政党「再生」所属で欧州議会選区から選出)は8月、Xがデジタルサービス法を順守しなければ、欧州で禁止される可能性があると警告した。
コンプライアンス違反の場合は巨額の罰金が科され、欧州運営業者によるブロックもあり得ると、ゴジは述べている。

デジタルサービス法は、欧州のオンライン仲介サービス事業者すべてに適用されている。また、欧州で暮らす4億5000万人の10%以上にサービスを提供している、「非常に大規模なオンラインプラットフォーム(VLOP)」に対しては、いっそう厳格なルールが設定されている。

VLOPには具体的な義務が課されており、違法コンテンツの拡散や社会的危害などの全体的リスクを緩和しなければならない。(中略)

ブラジルにおけるXのサービス停止措置、EU高官からの警告、コンテンツモデレーションの取り組みについて公開を定めたカリフォルニア州法。これらを踏まえれば、各政府がソーシャルメディア・プラットフォームをいっそう厳しく規制する流れが強まっていることは明らかだ。

偽情報やヘイトスピーチ、そして、世論に対する大手テックの大きすぎる影響力に対する懸念から生まれたこのような変化は、まだ始まったばかりなのかもしれない。【9月3日 Newsweek】
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【犯罪利用監視を怠ったとして通信アプリ「テレグラム」CEO、フランスで逮捕】
偽情報というより、犯罪に利用されやすいということで問題になっているのが通信アプリ「テレグラム」ですが、創業者でロシア人のパベル・ドゥロフCEOが監視を怠った疑いがあるとしてフランスで逮捕されています。

****通信アプリ「テレグラム」CEO、パリで逮捕 犯罪利用を監視しなかった疑い 現地メディア報道***
通信アプリ「テレグラム」のCEOが24日、フランスの空港で逮捕されたと現地メディアが報じました。テレグラムが犯罪に利用されているにもかかわらず、監視を怠った疑いがあるということです。

現地メディアによりますと、通信アプリ「テレグラム」の創業者でロシア人のパベル・ドゥロフCEO(39)が24日、パリ郊外の空港で警察に逮捕されました。

テレグラムが麻薬密売などで利用されているにもかかわらず、必要な監視を怠った疑いがあるとして、正式な捜査に入る前の予備的捜査の一環で捜索令状が出されていました。

ドゥロフ氏はプライベートジェット機でアゼルバイジャンからの移動中だったということです。

テレグラムは2013年にドゥロフ氏が兄とともに立ち上げ、UAE=アラブ首長国連邦のドバイを拠点にしています。【8月25日 TBS NEWS DIG】
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500万ユーロ(約8億円)の保釈金で保釈されたドゥロフCEOは、「テレグラムは無法地帯の楽園だ」という見解は「全くの誤り」「毎日数百万件におよぶ有害な投稿やチャンネルを削除している」と強調し、“テレグラムユーザーが現在、世界で950万人に達しているとしながら「成長の痛みとして、犯罪者が悪用しやすくなる事態が起きた」との考えを示し、「だからこそ、この点での大幅な改善を個人的な目標にしている」と続けた。改善は「社内で」既に進行中で、詳細は今後公表されるとした。”【9月6日 AFP】

なお、強権支配国家では、政府への抵抗運動で活用されるSNSが目の敵にされるという側面もあります。
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