孤帆の遠影碧空に尽き

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韓国 「怒れる人々」 高度成長原動力の教育の過熱の結果「少子化」 成長を可能にしたのも「少子化」

2024-04-16 23:33:03 | 東アジア

(塾の授業を終えて帰宅する子どもら=2022年5月26日、ソウル江南区の大峙洞で【2022年5月30日 中日】

【40歳以下の「怒れる人々(アングリーピープル)」の怒り・不満】
周知のように今月10日に行われた韓国総選挙では保守系与党が敗北しましたが、背景には40歳以下の「怒れる人々(アングリーピープル)」の怒り・不満があると指摘されています。

また、一般に韓国の世論調査結果は日本と比べて変動・振れ幅が非常に大きいように思えます。(調査の精度、あるいは国民の気質のせいかと思っていましたが)そのあたりの背景にも40歳以下の「怒れる人々」の存在があるようです。

****「40歳以下の世代」の怒りのわけは? 韓国総選挙で浮き彫りに…社会を揺るがす「若者たちの不満」とは****
韓国で10日、総選挙(定数300)の投開票が行われた。最大野党「共に民主党」と衛星政党「共に民主連合」は計175議席、文在寅(ムン・ジェイン)政権で法相を務めた曺国(チョ・グク)氏が率いる「祖国革新党」12議席など、左派・進歩(革新)系が過半数を大きく上回る議席を占めて圧勝した。

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の支持基盤、保守系与党の「国民の力」と比例区用の衛星政党「国民の未来」は108議席にとどまった。与党は選挙戦中盤で一時、過半数を獲得するのではないかという観測も出ていたが、しりすぼみの結果に終わった。

「長ネギ事件」が勃発
与党陣営としては、選挙戦を通じて、尹大統領のイメージを悪化させる事件が相次いだことが痛かった。その一つが「長ネギ事件」だ。

尹大統領は3月18日、ソウル市内のスーパーを訪れた。そこで、長ネギ1束が875ウォン(約100円)で売られているのをみて、「合理的な値段だ」と言ってしまった。ソウルでは最近、長ネギの価格が3000〜4000ウォンで推移している。875ウォンは特別割引価格だったが、尹氏はそれが「普通の値段」だと思ったらしい。

韓国では選挙のたびに、政治家が電車の運賃や卵の値段などを知らずに言及し、「特権階級」「世間知らず」という批判を浴びてきた。案の定、尹氏もSNSを中心に「庶民の生活を知らない」という攻撃を受けることになった。(中略)

尹政権は「死に体」なのか
尹政権は現在、任期を3年残しているものの、韓国政界のなかでは「これから緩やかなレイムダック化(任期中の政治家が政治的影響力を失うこと)が進む」という見方が支配的だ。

まず、第一に国民の最大の関心事である経済分野で展望が開けていない事情がある。韓国銀行(中央銀行)が1月に発表した、2023年GDP(国内総生産)成長率は1.4%増にとどまった。

半導体不況や物価高が影響し、22年GDP成長率の2.6%増からほぼ半減した。来年1月に米国でトランプ政権が再登場すれば、韓国は経済でも安全保障でも、ますます負担を強いられることになる。(中略)

そして何より、今回の韓国総選挙の展開自体が、「尹政権のレイムダック化が進む」という予測を裏付けている。選挙が浮き彫りにしたのは、40歳以下の「怒れる人々(アングリーピープル)」の姿だった。

彼らが怒る理由は「不公平」「不正義」だ。与党は、選挙戦の序盤で苦しい立ち上がりを迫られた。尹大統領の「不公平な姿勢」が嫌気されたからだ。

尹政権はこれまで、検察官のほか、尹氏の学歴である「ソウル大卒」の人物、「MBライン」と呼ばれる李明博(イ・ミョンバク)政権当時の幹部らを次々に起用してきた。

極めつけが、妻の金建希(キム・ゴンヒ)女史の「特別扱い」疑惑だ。尹氏は1月、金女史がからむ株価操作疑惑事件を捜査する特別検察官任命法案に再議要求権(拒否権)を行使した。昨年11月には金女史がブランド品のバッグを受け取る隠し撮り映像がYouTubeで公開されたが、尹氏は直接の謝罪を避けた。

乱高下する支持率
ところが選挙戦中盤で、保守陣営が息を吹き返した時期もあった。(中略)一つは共に民主党の公認候補選びを巡る混乱だ。(中略) もう一つの事情は、尹錫悦政権が2月6日に発表した大学医学部定員の大幅増員政策だ。(中略)有権者は「医師の不正義」をなじる尹政権の医療改革を拍手喝采して迎え、支持率が上向いた。

「不公平」に再び焦点
そしてさらに、選挙終盤になると保守陣営の支持が再び急降下した。(中略)これは、尹政権の「不公平」に再び焦点が当たった結果だった。

尹政権は、職権乱用の疑いで捜査を受けている李鍾燮(イ・ジョンソプ)前国防相を駐オーストラリア大使に就任させたため、「捜査逃れだ」という批判を浴びた。李氏は結局、大使を辞任した。

3月には、元KBS記者で、大統領室の黄相武(ファン・サンム)市民社会首席秘書官が舌禍事件を起こして辞任した。尹氏が側近を特別扱いする姿が「長ネギ事件」もあって市民の怒りを買い、「KAIST強制退場事件」で若者の反感を買う結果になった。

なぜ、40歳以下の世代は怒るのか
尹政権を悩ませているのが、比較的保守的な考えが多いとされる40歳以下の若い世代での不人気ぶりだ。(中略)40〜50代は1980年代の民主化闘争の記憶を残す世代で、ほぼ「進歩支持」を変えない世代という特徴がある。

韓国の40歳以下の世代は保守的とはいえ、その時々の「不正義」で怒り、支持層を変えるのだ。これが、韓国総選挙の期間中、保守と進歩の支持がたびたび変動した背景と言える。

では、なぜ、40歳以下の世代は怒るのか。ソウルに住む50代の男性は「それは、韓国の戦後の歴史と大きな関係がある」と語る。1960年代までの韓国は失業率の高い、世界の最貧国の一つだった。(中略)

韓国人が「漢江の奇跡」として世界に誇る経済成長は、朴正熙(パク・チョンヒ)政権の開発独裁とともに、個々人の「自分は良いから、せめて子供を貧困から脱出させたい」という強い思いから実現したとされる。

「こんなに努力したのに、こんな就職口しかないのか」
「貧困からの脱出」としての手段が教育だった。韓国統計庁によれば、韓国の高校生の1日当たりの平均勉強時間は8時間を超える。ほとんどの高校生が通う学院(塾)では「高校生活の3年間は(大学受験に励むため)お前たちの人生から削り取れ」と言われる。激烈な競争は大学に入っても続く。少しでも良い就職を勝ち取るため、「スペック」と呼ばれる付加価値をつけるために皆必死になる。

知人によれば、韓国企業が求めるTOEICの最低スコアが700点以上。ソウル勤務時代の2017年ごろに取材した大学生は「良い会社に入りたかったら、900点くらいとらないとだめです」と語っていた。

韓国統計庁によれば、15〜29歳の青年失業率は24年2月現在6.5%で、26万4000人の青年失業者がいる。この数値は24年3月時点での韓国全体の失業率2.6%の倍以上の数値だ。これは、「こんなに努力したのに、こんな就職口しかないのか」と怒る若い人々が多い結果だとされる。

政治家の娘の「不正入学」
だから、彼らは不公平な社会が許せない。今回の選挙で曺国氏が率いる祖国革新党が支持を集めたが、「既存の進歩派勢力が分裂しただけ。若い世代は見向きもしなかった」(韓国政界筋)という。曺国氏の娘が韓国の名門、高麗大学に入学する際、不正を働いたからだ。(中略)

この怒りは、大統領の妻としてセレブな生活を楽しむばかりで、女性の権利向上には動かない金建希夫人、自分たちの権利を守ることに汲々とする(ように見える)医師たち、自分の逮捕を免れるために党を私物化する李在明氏、大統領と親しいというだけで、専門分野でもない駐オーストラリア大使や大統領室市民社会首席秘書官に就任してしまう尹氏の側近たちに向かった。

一方、前出のソウルに住む50代の男性は、アングリーピープルの特徴の一つとして「若くて社会経験が浅いうえ、SNSを使いこなすため、直情的・爆発的に行動する傾向がある」と語る。これが、その都度の社会的な話題ごとに、支持する政党がコロコロ変わった理由なのだという。(後略)【4月12日 牧野愛博氏 文春オンライン】
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【「漢江の奇跡」「貧困からの脱出」の原動力となった「教育」への思いが、韓国社会の「少子化」という大きな負担に】
「漢江の奇跡」「貧困からの脱出」の原動力となった「教育」への思いが、今韓国社会に大きな負担となっています。
「人口減少で地球から消滅する最初の国」とも評される韓国の「少子化」の最大原因は教育負担(教育に対する強迫観念を含めて)であると言われています。

****小学生が医大へ向け猛勉強、世帯月収の4割が教育費…出生率0.72人という「超少子化」を招いた韓国の「私教育問題」****
(中略)韓国で深刻な社会問題と化しているのが「超少子化」である。このままでは国家そのものが消滅すると指摘される中、その原因とされるのが過熱する教育問題だ。韓国で何が起きているのか。(

世界でも類を見ない韓国の超少子化現象
 韓国統計庁が発表した2023年の韓国の合計出生率(暫定集計)は0.72人、出生児数は初めて23万人台に落ちこんだ。直近の23年第4四半期(10月-12月)だけを見ると、韓国の出生率は0.65人で、軍事侵攻されているウクライナの0.7人よりも低い数字となっている。世界で類例のない韓国の超少子化現象に対して、海外ですら「国家消滅の危険性」を指摘しているが、韓国政府としては解決策が見いだせていない状況だ。(中略)

世界でも類を見ない韓国の超少子化現象は、国際的な関心事となっている。すでに2006年の国連の人口フォーラムで「韓国は少子化で地球上から消える最初の国家」と名指しした世界的な人口学者、オックスフォード大学のデービッド・コールマン名誉教授は、23年に訪韓した席で「韓国は2750年に国家消滅の危険にさらされる」と再度警告した。米ニューヨークタイムズ誌は、「韓国の人口減少速度が過去にペストが蔓延していた中世ヨーロッパより速い」と分析した。

子供が親を恨むのではないか
ペストによる人口減少に比肩する自国の超少子化現象について、韓国の多くの専門家は、過度な「競争圧力」によって若い世代が未来に対する不安を感じるのが最大の原因だと指摘する。就職難による雇用不安や高い住宅価格上昇による住まいへの不安、そして子育てに寛容でない企業文化、行き過ぎた教育費などが挙げられるだろう。
 
中でも、一般国民は子供の教育への負担感を強く感じていることが分かった。最近、保健福祉部は子供を産まないと決めた青年世代の夫婦を対象に「ファミリーストーミング(ファミリ+ブレーンストーミング)」という意見聴衆を実施しているが、この場で教育への懸念が集中的に語られている。

会議に出席した若い夫婦の口からは、「1歳の誕生日パーティーで子供が歩いているかどうかから始まって、どこの学校に通っているかとか、職場はどうなったかとか、長期間にわたってほかの子と比較し続ける。その無限競争に親として参戦する自信がない」「入試戦争が不安でしょうがない」「わが子が学校でめげないようにと、無理してでも、学校への送り迎えのための外車を買う友人もたくさんいる」「他の人のように子供に投資できないようなら、子供が親を恨むのではないかと心配だ」など、容赦のない本音が飛び出した。
 
ソウル市の江南区大峙洞はこのような「わが子を成功へと導かなければならない」という韓国の親たちの強迫観念が集結した場所といっていいだろう。韓国では学校などで実施する「公教育」に対し、私設の塾などによる教育を「私教育」と呼ぶ。この大峙洞は3.53平方キロメートルほどの狭い面積の中に実に1000以上の塾が密集する塾街として有名だ。

大峙洞キッズたちのロイヤルロード
大峙洞の名門塾には全国各地から受験生が集まるため、大峙洞の名門塾入試のための勉強を教える「セキ(セキとは子という意味)塾」も登場した。自分の体重の3分の1にもなる重いカバンを背負って塾を転々とする小学生や、大学受験対策を始めなければならない中学生、夜明けまで眠れないほど不法な授業を受けなければならない高校生たちはここ大峙洞の主人公で、いわゆる「大峙洞キッズ」と呼ばれる存在だ。

近年、大峙洞の塾では小学生を対象にした「大学医学部入試準備クラス」が旋風ともいえる人気を呼んでいる。小学生医学部クラスでは小学校3年生の時から高校の数学課程の微積分を教える。中でも英語専門の幼稚園から小学校医大入試クラス(塾)を経て自私高(自立型私立高校、名門大学進学率の高い超難関高校)に入学する進学コースは、大学医学部を目標とする大峙洞キッズたちのロイヤルロードだという。

ソウル市江西区に居住するキム・ヨンウン氏は、中学校3年生の長男の塾通学のために、この大峙洞への短期間の引っ越しを検討している。学校で成績トップという彼女の長男は現在の自宅近くの最も大きな塾街である木洞で3つの塾に通っているが、夏休みを利用して大峙洞塾の集中講義を受けることを考えている。

「平日は木洞の塾に通って、週末だけ大峙洞にある塾に通っています。大峙洞までは往復2時間近くかかるので、毎回車で送り迎えする主人も大変ですが、息子がとても疲れていて……。今度の夏休みには大峙洞で集中コースを受けなければならないので、家から通うより塾の近くの部屋を借りて住むようにしたほうがいいと考えています」(キム氏)

老後の準備ができない
大峙洞の塾街の不動産屋はキム氏のように子供の塾のために引っ越しをしようとする教育ママたちが行列をなしている。特に夏休みと冬休みには1ヶ月から3ヶ月の超短期契約が急増する。ここで不動産屋を運営するパク氏によると、超短期契約の賃貸料は一般的な賃料より、50%も高いのに物件が足りないくらいだという。(中略)

ごく普通の共働き夫婦であるキム氏の家庭は、1ヶ月の世帯収入1000万ウォン(約110万円)のうち、4割程度が2人の子供の教育費に消えてしまう。キム氏が続ける。

「各種の塾代をはじめ、子供たちが学校でくじけないよう、息抜きとして休みのたびに海外旅行も行かなければならないなど、絶えずお金がかかります。子供の教育のおかげで貯金など老後の準備は全然できていません」

少子化で学生数が急減している韓国。かたや、私教育費はむしろ着実に右肩上がりとなり、21年以降、毎年、過去最高を更新している。尹錫悦政権は、私教育費の節減のため「塾など、学校の授業外で学ぶような内容を入試問題に出題することを禁止する」という「キラー問題排除案」を発表した。しかし、効果は薄く、23年度の私教育市場は前年比で4.5%の成長を見せ、市場規模で27兆1000億ウォン(約2兆9800億円)に達した。

「少子化」の呪いから逃れるためには
韓国経済人協会は少子化現象の約26%が私教育費増加に起因するという分析結果を出した。さらに、住宅価格より私教育費が少子化問題に対し、2〜3倍もの影響を及ぼすという調査結果まである。韓国の私教育が少子化の根本原因として名指しされているのだ。

歴代政権も過度な私教育ブームを鎮めるために学校などの公教育を強化する各種政策を展開したものの、国民の公教育に対する不信はなかなか消えない。

韓国を国家消滅に導く「少子化」の呪いから逃れるためにも、私教育に過度に依存している韓国の教育文化が変わっていかなければならないだろう。だが、多くの国民が「学歴こそ無限競争社会を勝ち抜く最高の武器」と信じている限り、解決が容易ではないのも、また事実なのである。【4月16日 金敬哲氏 デイリー新潮】
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小学校3年生の時から高校の数学課程の微積分・・・息抜きとして休みのたびに海外旅行・・・良い会社に入りたかったら、TOEIC900点・・・・客観的に見たら異常ですが、渦中にいる者にとっては頑張るしかないというのが現実です。

そんな非人間的とも言える過酷な競争を勝ち抜いて医師になった若者が、その医師の特権を揺るがすような定員増に憤るのもわかるものがあります。「不正入学」に憤るのも当然でしょう。

“小中高生が習い事に費やした金額は3年連続で過去最高を更新。小中高生のおよそ8割が習い事に通い、高校生1人当たりの出費は月平均でおよそ8万2000円。(2023年 中学生は約6万6000円、小学生は約5万円)韓国では収入より教育費の支出が上回る「エデュプア(教育貧困層)」という言葉も広がっています。

しかし、今、韓国の4年制大学に通う学生の就職率は6割ほどであり、3人に1人は就職できない状況だといいます。”【4月14日 テレ朝news】

【厳しい現実のなかで若者の人生観に大きな変化 その結果としての「少子化」加速】
「子供を生まない」「結婚しない」というのもそうした現実への対応です。

****「人口減少で地球から消滅する最初の国」 “非婚手当”も 韓国で何が起きている****
(中略)こうしたなか、若者の人生観に大きな変化が生まれていました。実際に韓国の若者に結婚観や、子どもの有無の希望について聞いてみると。

韓国の若者
「子どもを持つのもいいですが、それよりも2人で旅行したりして、2人の人生に集中したいです」
「私は結婚しなくても、自分の家族がいればいいですよ」
「子どもを持つと経済的に大変です。住居費も高いし、教育費もたくさんかかりますから」
「子どもは欲しいけど、経済的キャリアを考えたら厳しいかなと思います。韓国では正直難しいと思いますね。特に女性は。子ども生んだら女性が育てないといけないという認識があるので…」
「結婚して子どもがいれば幸せそうですが、子どもを生んだら、韓国で育てたいとは全く思いません。あまりに競争が激しい環境のなかでストレスを多く受けました。学生時代に戻りたいかと聞かれたら、私は『絶対に嫌だ』と答えます。そんな思いを子どもにはさせたくありません」

韓国経済と社会に詳しい亜細亜大学の金明中(キムミョンジュン)特任准教授は、出生率を改善するためには、従来の経済支援と競争社会の見直しのほか、男女間の意識改革が重要だと話します。

亜細亜大学 金明中特任准教授
「国の経済的な支援というのが 『子育て世代に偏っている』。これは日本も韓国も同じ。ただ(この世代への)経済的な支援だけでは大きな効果を得ることは難しい。日本も韓国も『性別役割分担意識』が残っている。これも少子化にかなりマイナスの影響を与えている。この部分をだんだん意識改革する。改善する必要がある」【4月14日 テレ朝news】
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【「漢江の奇跡」「貧困からの脱出」を可能にしたのも「少子化」であったが、「人口の配当」期間を終えると・・・】
「教育」が「漢江の奇跡」「貧困からの脱出」の原動力となったと、また、現在の最大の問題が「少子化」にあると再三にわたり述べていますが、客観的に分析すれば、「家族計画」による出生率抑制・「少子化」こそが「人口ボーナス」となって「漢江の奇跡」を可能にしました。

しかし、少子化のもたらす「人口の配当」をもらえる期間がすぎると、少子化の悲惨な結末も。

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人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる「唯一の現実的な方法」とは?****
(中略)
「人口の配当」が成長を後押し
出生率の低下は、人口統計学者が「人口の配当」と呼ぶものを介して、特定の状況下ではプラスの効果をもたらす可能性がある。
人口の配当は、出生率の低下によって国民の年齢構成が変化し、生産年齢の人口が増え、生産労働に寄与しない年少者と高齢者の割合が減って、その国の経済が加速度的に増加することで得られる。

実際、過去の出生率低下は韓国を非常に貧しい国から非常に豊かな国へと変貌させるのに役立った。韓国の少子化が始まった60年代は、政府が計画的な経済開発に着手し、家族計画を採用して人口の調整に乗り出した時期と重なっている。

当時の韓国は朝鮮戦争の後遺症で、経済も社会も疲弊していた。実際、50年代後半の韓国は世界で最も貧しい国の1つであり、61年の時点でも国民1人当たりGNPは約82ドルにすぎなかった。
だが韓国政府が経済開発5カ年計画を導入した62年から、劇的な経済成長が始まった。

重要なのは、政府が国の出生率を下げるために積極的な家族計画を導入したことだ。そこには、既婚男女の45%に避妊の知識と手段を提供するという目標も含まれていた(当時の韓国ではほとんど避妊が行われていなかった)。
家族計画の普及は少子化に拍車をかけた。多くの夫婦が、子供を産む数を減らせば家族の生活水準が向上することを理解したからだ。

経済政策と家族計画が両輪となって、韓国は出生率の高い国から低い国へと変身を遂げた。結果として、総人口に占める従属人口(年少者と高齢者)の割合は生産年齢人口に比べて減少した。こうした人口動態の変化は経済成長の起爆剤となり、それは90年代半ばまで続いた。生産性の向上と労働力の増加、失業率の緩やかな減少が相まって、GDPの成長率は年6~10%の高水準で推移していた。

おかげで今の韓国は世界有数の豊かな国となり、国民1人当たりGDPは3万5000ドルに上る。

韓国が貧しい国から豊かな国へと変貌を遂げたのは、少子化のもたらす「人口の配当」によるところが大きい。だが、この配当をもらえる期間は限られている。その期間を越えて少子化が続けば、その国には往々にして悲惨な結果が待っている。(後略)【4月16日 Newsweek】
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上記記事は解決策として“韓国がこの状況を好転させる唯一の現実的な方法は、移民を大幅に増やすことだ”と指摘しています。
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