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孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

コンゴ  カタール仲介でM23と停戦合意 M23の後ろ盾であるルワンダにも圧力が

2025-06-07 23:44:19 | アフリカ
(2025年2月6日、コンゴ民主共和国、ゴマのスタッド・ドゥ・リュニテでのM23戦闘員【6月3日 ヒューマンライツウォッチ】)

【反政府勢力M23と政府軍の戦いで、「戦略兵器」としての暴力・性暴力も】
アフリカ・コンゴ民主共和国(DRC)において、ルワンダの支援をうけているとされるツチ系反政府武装組織「3月23日運動(M23)」3との戦闘が激化・拡大していることは、これまでも取り上げてきました。


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2025年6月現在、コンゴ民主共和国(DRC)東部では、反政府武装組織「3月23日運動(M23)」と政府軍との間で激しい戦闘が続いています。

M23はルワンダの支援を受けており、北キブ州の州都ゴマや南キブ州の州都ブカブなど、主要都市を制圧しています。この攻勢により、数千人が死亡し、数十万人が避難を余儀なくされています【ChatGPT】
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そこでは激しい、むき出しの暴力・性暴力が日常的に行使されています。ときに、姓暴力は「兵器」として意図的・戦略的に使用されることも。

****コンゴ東部で幼児含む数千人が性被害、ユニセフ「戦略兵器」と警鐘****
国連児童基金(ユニセフ)は11日、今年1─2月にコンゴ民主共和国(旧ザイール)東部で発生したレイプなどの性的暴力事件約1万件について、被害者の3割以上が幼児を含む子どもだったと報告した。

コンゴの反政府勢力「3月23日運動(M23)」は今年に入り、急速に政府軍への攻勢を強め、東部の一部を制圧。子どもを含む数千人が死亡、数十万人が自宅を追われている。

ユニセフのエルダー報道官はジュネーブでの記者会見にコンゴ最大都市ゴマからビデオで出席し、レイプなどの性暴力は「戦争兵器」として利用されていると指摘。平均30分に一件の割合で発生しており、被害者には幼児も含まれていると述べた。

同氏は性暴力対策に取り組む複数の現地団体が収集したデータベースを引用。被害者の35─45%が18歳未満であることが示されたとし、「これは個別の事件でなく組織的な危機。戦争兵器であり、意図的なテロ戦術だ」と述べた。

また、資金不足から性的暴行被害者の治療に影響が出ていると報告。今週訪問した病院では、レイプ被害者120人が、直後のHIV感染を予防できる医療キットを利用できない状況だったとし「資金不足が生命を脅かしている」と述べた。

エルダー氏はコンゴにおける資金不足の理由を詳述しなかったが、他の地域では最大支援国の米国が対外援助を大幅に削減したことで人道支援プログラムが打撃を受けている。【4月14日 ロイター】
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****ルワンダ支援の反政府勢力、コンゴ民間人を拷問 アムネスティ*****
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは27日に発表した報告書の中で、コンゴ民主共和国(旧ザイール)東部で、ルワンダの支援を受ける反政府勢力「3月23日運動」が民間人を捕らえて殺害・拷問していると非難した。

M23は2021年に活動を再開して以来、ルワンダの支援を受けて、資源豊富なコンゴ東部の広大な地域を掌握している。

M23は電撃的な攻勢で2025年初頭に主要都市ゴマとブカブを制圧した後、支配地域に長期的な統治体制を敷いた。
だが、M23は支配地域の政情不安の収束に苦戦。同地域には政府軍兵士や政府側民兵がM23の目を逃れて潜伏している。

M23はゴマとブカブで定期的に強制捜査を行い、数百人の容疑者を捕らえたと主張している。

アムネスティのアフリカ東・南部地域局長を務めるティゲレ・チャグタ氏は、「M23は、公式にはコンゴ民主共和国東部に秩序をもたらすと主張しているが、その裏には被拘束者に対する恐ろしい扱いが隠されている」と述べた。

アムネスティは、ゴマとブカブにあるM23の収容施設に不法に拘束されていた民間人18人の証言を入手。うち9人はM23戦闘員による拷問を受けたとしている。

報告書によると、M23の戦闘員は証拠を一切示すことなく、拘束した人々をコンゴ政府支持派だと決めつけたという。
報告書はさらに、「数百人が過密で不衛生な監房に、十分な食料、水、衛生設備、医療も与えられずに収容されていた」としている。

証言者のうち8人は、拘束中に他の被収容者が死亡するのを目撃したと述べており、報告書は「拷問や過酷な収容環境が原因と考えられる」と付け加えている。

さらに証言者のうち2人が、M23の民兵が被収容者を殺害するのを目撃したと証言した。殺害にはハンマーや銃が使われたという。

目撃者らによると、M23の戦闘員は「しなやかな木材、板、電気ケーブル、エンジンベルト、銃床、棒切れなどで、被拘束者の背中、脚、臀部、性器を外傷の跡が残るような形で拷問した」とされる。

過酷な環境のために「互いの尿を飲まざるを得なかった」被拘束者もいたとされる。

アムネスティはM23に対し、拘束施設への独立監視員の立ち入りを認めるよう求めた。

チャグタ氏は国際社会に対し、ルワンダにM23への支援を停止させるべく圧力をかけるよう求めた。
これに対しM23の広報担当者ローレンス・カニュカ氏はX(旧ツイッター)で、チャグタ氏の告発は「奇怪で根拠のない」と非難。近日中に、アムネスティの各主張を否定する詳細な報告書を公表する予定だと付け加えた。 【5月28日 AFP】
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【カタール仲介で停戦合意】
そうした状況で国際的仲介による停戦交渉も行われています。

カタールの仲介により、コンゴ政府とM23は2025年4月に停戦に合意しました。両者は敵対行為の即時停止と、ヘイトスピーチの排除を約束しました。しかし、信頼醸成措置や捕虜の解放などを巡る対立が続いており、停戦の履行には課題が残っています。 

****コンゴ民主共和国政府とM23、戦闘停止と停戦に向けた取り組みで合意****
カタールの仲介による「率直な」協議を経て、両陣営は平和的手段による紛争終結を決意したと表明

コンゴ民主共和国と、ルワンダが支援するM23を含む民兵連合は、1月以来コンゴ東部を巻き込んでいる戦闘を終結させるため、停戦に向けて取り組むことで合意した。

水曜日の夜に発表された同様の声明の中で、政府とコンゴ川同盟(アライアンス・フルーヴ・コンゴ)は、それぞれの代表者がカタールの仲介による協議を行い、平和的手段による紛争終結を決意したと述べた。

「率直かつ建設的な協議を経て、コンゴ民主共和国とAFC/M23の代表は、停戦の実効性向上に資する停戦合意の締結に向けて取り組むことで合意した」と声明は述べた。

「双方の合意により、双方は敵対行為の即時停止、あらゆるヘイトスピーチおよび脅迫の断固たる拒否へのコミットメントを再確認し、すべての地域社会に対し、これらのコミットメントを遵守するよう呼びかける。」【4月24日 the Guardian】
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“また、カタールはコンゴ政府とM23に対して和平案を提示しましたが、両者は提案内容に懸念を示しています。アメリカも和平プロセスに関与しており、鉱物資源への投資を促進するため、夏までの合意を目指しています。”【ChatGPT】

【M23の後ろ盾ルワンダへの圧力・働きかけ】
M23を支援しているルワンダに対しても、和平への働きかけと国際圧力が。

****ルワンダ軍のコンゴ撤退要求=反政府勢力「支援」と非難決議―国連安保理****
アフリカ中部コンゴ(旧ザイール)東部で政府軍と反政府勢力「3月23日運動(M23)」の衝突が激化している問題を受け、国連安保理は(2月)21日、M23による侵攻を非難し、敵対行為の即時停止を求める決議を全会一致で採択した。また、M23を支援しているとして隣国のルワンダ軍を指弾し、同国軍に「コンゴ領土からの無条件の即時撤退」を要求した。
 
決議はまた、コンゴ軍も特定の武装組織を支援していると糾弾した。今年1月にM23が攻勢を強めて以降、安保理がコンゴ情勢を巡って決議を採択するのは初めて。決議案はフランスが起草した。

ルワンダは、自国の安全保障に関する懸念に対応していないとして「持続的な解決策にならない」と反発した。【2月22日 時事】
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****武装勢力支援のルワンダに圧力 コンゴ紛争、平和的解決求め****
ドイツ政府は4日、コンゴ(旧ザイール)東部での反政府武装勢力「3月23日運動(M23)」と政府軍との戦闘を巡り、M23を支援するコンゴの隣国ルワンダに対する新たな開発援助の停止を発表した。カナダ政府も3日、輸出規制などの制裁を公表。平和的解決を求める国際社会の圧力が拡大している。

ルワンダ政府は4日、ドイツ政府に対し「一方的に強制的な手段を講じるべきではない」と抗議。カナダ政府にも「恥ずべきことだ」と反発する声明を出した。

戦闘激化を受けて、英国も既に対ルワンダ援助の一部停止を発表。ドイツ政府は過去に合意した援助についても再検討を表明している。【3月5日 共同】
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****コンゴがルワンダと初交渉 東部紛争で、カタール仲介****
コンゴ(旧ザイール)東部で続く政府軍と反政府勢力「3月23日運動(M23)」の戦闘を巡り、コンゴのチセケディ大統領とM23を支援する隣国ルワンダのカガメ大統領が18日、カタールの首都ドーハで会談した。仲介したカタール政府が発表した。ロイター通信によると、1月の戦闘激化後、両首脳の直接交渉は初めて。

3カ国首脳は共同声明で、平和的解決に向けた協議の継続で合意したと表明した。ただM23を巡り、「テロリスト」とみなすコンゴと、支援するルワンダの隔たりは大きく、戦闘終結につながるかどうかは不透明だ。

鉱物資源が豊富なコンゴ東部では1月以降、M23が政府軍への攻勢を強め、北キブ州の州都ゴマを掌握するなど支配地域を拡大。欧米諸国は即時停戦を求め、ルワンダへの圧力を強めている。【3月19日 共同】
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ちょっと変わったところでは、教育ではコンゴ政府とM23の異例の協力体制も。

****反政府勢力支配下のコンゴ東部で、生徒たちは治安の悪化を乗り越え試験に臨む****
反政府勢力支配下のコンゴ東部では今週、数万人の中学生が国家試験を受けた。これは複雑なロジスティクス上の偉業であり、政府とM23反政府勢力間の稀な協力を必要とした。

ルワンダの支援を受ける反政府勢力は、今年初めの攻撃でコンゴ東部の二大都市を制圧し、今や自らの統治能力を示そうとしている。

一方、アフリカ諸国の首脳は、米国とドーハ(カタール)に加え、30年以上前のルワンダ虐殺に端を発する紛争に終止符を打つ和平合意の仲介に努めている。【6月6日 ロイター】
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M23が示そうとする“統治能力”には犯罪人などへの暴力・処刑も

****コンゴ民主共和国:ルワンダ支援のM23がゴマで民間人を処刑****
2月の大量殺人事件は占領地域の人々への深刻な危険を浮き彫りにする

ルワンダの支援を受けるM23武装勢力は、2025年2月22日から23日にかけて、コンゴ民主共和国東部のゴマで少なくとも21人の民間人を即決処刑したと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表した。

M23は2025年1月27日から北キブ州の州都ゴマを占拠している。目撃者によると、2月22日午後、M23戦闘員数十人を乗せた少なくとも3台のピックアップトラックがゴマのカシカ地区各地に到着した。

彼らは、かつてコンゴ軍の兵舎だったカティンド軍事キャンプの西側で7人を処刑した。さらに、少年を含む11人の遺体がキャンプ近くの建設現場で発見された。2月23日、戦闘員は人々を一斉に拘束し、強制的に徴兵するなどした。また、逃亡を試みた男性3人を殺害した。

「M23によるゴマへの残忍な支配は、コンゴ政府と同盟関係にあるとみなされる人々の間に恐怖の空気を生み出している」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのグレート・レイクス上級調査員、クレマンティーヌ・ド・モンジョワは述べた。「大量虐殺は、ならず者戦闘員によるものではなく、M23指導部があらゆる手段を講じて支配を固めようとする試みであるように思われる。」

戦闘当事者間の戦闘の報告がなく、負傷の状況から判断すると、M23戦闘員は拘束した人々を意図的に処刑した可能性が示唆されており、これは戦争犯罪に該当すると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。(後略)【6月3日 ヒューマンライツウォッチ】
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上記のように、カタール、アメリカ、更にはアフリカ諸国による停戦・和平への牽引もありますが、コンゴ東部の情勢は依然として不安定であり、和平への道のりは険しいものとなっています。国際社会の継続的な関与と、現地の人々の安全と尊厳を守る取り組みが求められています。
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