(南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島の永暑礁で中国が滑走路を完成したとみられることを示す衛星画像=〔C〕CNES2015、Distribution Airbus DS/〔C〕2015 IHS提供【9月26日 時事】)
【米国防長官「国際法が許容するいかなる場所へも、我々は飛行、航行する」】
中国はかねてより自国領と主張する南シナ海・南沙(スプラトリー)諸島において、埋め立て工事及び軍事施設建設を進めています。
****中国、南シナ海に3本目の滑走路を建設か****
香港(CNN) 米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)はこのほど、中国が南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島にある岩礁に3本目の滑走路を建設している可能性を指摘した。
今月8日に撮影された衛星画像を分析した結果だという。
CSISの専門家、グレッグ・ポーリング氏によると、中国は南シナ海のミスチーフ礁に長さ約3000メートルに及ぶ長方形の埋め立て地を作ったとみられる。すでにファイアリークロス礁、スービ礁の人工島で工事を始めている滑走路と同じ形に見える。
ポーリング氏は「新たな滑走路だとしたらこれで3本目になる」と述べた。いずれも、中国の人民解放軍が保有するすべての戦闘機に対応できる規模とされる。
「これらの場所はわずか1年ほどの間に、支柱の上の前哨基地から滑走路が作れる規模の島に変化した」と、ポーリング氏は指摘する。3本の滑走路はどれもまだ稼働していないが、ファイアリークロス礁では仕上げのペンキ塗り作業に入っている模様だ。
南シナ海では中国と東南アジア諸国が領有権を争っている。中国が昨年、岩礁の埋め立てを加速したことに対し、近隣諸国は強い警戒感を表明。米国も工事の即刻中止を求めてきた。
中国は今年6月、埋め立て作業はほぼ完了したと発表したが、埋め立てた島に各種施設を設ける工事は続けるとの方針を示していた。
ポーリング氏によれば、ベトナムやフィリピン、台湾、マレーシアもこの海域に滑走路を建設しているが、現在主流となっている第4世代ジェット戦闘機には対応していない。
中国の習近平(シーチンピン)国家主席は来週、米国を訪問する。オバマ米大統領との会談では、南シナ海での埋め立て工事が主要議題のひとつとなる見通しだ。
ポーリング氏によると、3本目の滑走路建設が両首脳の間の溝をさらに深める事態も懸念される。【9月16日 CNN】
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国際的批判をかわすために、中国は平和目的利用をアピールはしていますが・・・・。
****【南シナ海問題】中国、スプラトリー諸島で灯台完成 船舶誘導施設も建設****
中国国営新華社通信によると、中国交通運輸省は9日、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島のクアルテロン(同・華陽)礁とジョンソン南(同・赤瓜)礁で5月から建設していた灯台の完成式典を開いた。
灯台はそれぞれ高さ50メートルで照射距離は22カイリ(約40キロ)。「南シナ海は中国と世界をつなぐ非常に重要な海路だ」として、同省が船舶誘導や人命救助の施設を引き続き建設するという。【10月10日 産経】
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ホワイトハウスで9月25日行われたオバマ・習近平の米中首脳会談では、東・南シナ海を念頭に両国の軍用機の偶発的な衝突を防止するための行動規範に関しては合意がなされましたが、南シナ海問題では平行線をたどったようです。
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オバマ大統領は首脳会談で、東シナ海や南シナ海における安全保障情勢、特に人工島建設に懸念を示したことを、共同記者会見で明らかにした。
それに対し習近平氏は中国外交部報道官と同じように「南シナ海島嶼は中国古来の領土であり、中国は合法、正当な海洋権益を持っている」と突っぱねた。【9月28日 Newsweek 遠藤 誉氏】
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中国の譲らない姿勢にアメリカ政権内において、中国が領海と主張する海域に艦船を航行させるという強い姿勢を検討していることが報じられています。
****【南シナ海問題】中国の人工島12カイリ内に近く米艦船航行か 中国「侵犯を断固許さない」****
米海軍専門紙「ネイビー・タイムズ」は8日、米軍事筋の話として、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島に中国が建設している人工島の12カイリ(約22キロ)内に、オバマ政権が近く、米軍艦船を航行させる可能性があると伝えた。同紙によると、海軍側はオバマ大統領の承認を待っており、近く命令が下されるとみている。
一方、英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は米政府高官の話として、2週間以内に航行に踏み切る可能性があると報じた。こうした見方についてアーネスト大統領報道官は8日の記者会見で確認を避けた。
国防総省と軍は今年5月ごろから、大統領に対して、国際法で領海と規定されている12カイリ以内の海域とその上空で艦船と航空機を活動させ、中国に強いメッセージを送り牽制(けんせい)するよう繰り返し進言している。
オバマ大統領はしかし、航行させれば事態の緊迫化を招くことから、12カイリ以内での活動を「禁止」し、承認を与えないままの状況が続いている。
これに対し、カーター国防長官や議会の一部議員らはここにきて、大統領やライス大統領補佐官らに承認を再び強く求めている。
背景には、人工島の一つで3千メートル級の滑走路が完成し運用が迫っているとみていることや、先の米中首脳会談では南シナ海問題で進展がなく事実上、「失敗」に終わったことがある。(後略)【10月9日 産経】
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また、オーストラリアなど周辺国と協調して、中国への圧力を強めています。
****<南シナ海>米豪、中国に「強い懸念」・・・埋め立て中止要求****
米国と豪州の外相と国防相は13日、米東部マサチューセッツ州ボストンで閣僚会合を開催し、共同声明を発表した。
この中で、南シナ海で中国が実施した岩礁埋め立てや軍事関連施設の建設に「強い懸念」を表明、中国を含む全ての領有権主張国にこうした活動の停止と事態の外交的解決を求めた。
カーター米国防長官は会合後の共同記者会見で、「国際法が許容するいかなる場所へも、我々は飛行、航行する」と明言。中国が埋め立てた岩礁周辺でも哨戒活動を行う意向を改めて強調した。
カーター氏は、南シナ海での緊張の高まりで、日本やベトナム、フィリピンなどが米海軍との連携強化を求めていると説明。「こうした需要に応えていく」と述べて、同盟や協力関係を強めていく意向を打ち出し、間接的に中国をけん制した。
ビショップ豪外相も南シナ海で「脅迫的で一方的な行動」がないよう、米国や東南アジア諸国連合(ASEAN)などと協力していくと述べた。
共同声明は中国とASEANに対し、衝突回避策などに関し法的拘束力を持つ「行動規範」で速やかに合意するよう求めた。
また、中国の習近平国家主席が9月の訪米時に、南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島での建設作業について「軍事拠点化を進める考えはない」と述べたことに言及。「約束を守り、埋め立てによる緊張の緩和を図るべきだ」と指摘した。
米豪両国は海軍の共同訓練や演習を増やし、海洋での情勢把握や水陸両用作戦の向上でも合意。中国の活動が拡大しているとされるサイバー分野でも、情報共有や作戦運用の共通性を高めることを決めた。【10月14日 毎日】
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【中国「一部の国が大量の攻撃的武器を展開し、南シナ海で頻繁に武力を誇示している」】
当然ながら、中国は反撥しています。
****米国が「武力誇示」と非難=南シナ海の軍事施設正当化―中国****
中国外務省の華春瑩・副報道局長は14日の定例会見で、中国が造成する南シナ海の人工島周辺に艦船を進入させる構えを見せている米国を念頭に、「一部の国が大量の攻撃的武器を展開し、南シナ海で頻繁に武力を誇示している」と非難、「これこそが南シナ海軍事化の最大の要素であり、重大な懸念を示す」と強調した。
さらに華副局長は「(日米などが)同盟国間で頻繁に特定の標的に絞った軍事演習を行っている」と批判した上で、「このため、われわれが(人工島に)防衛的な性格を持つ軍事施設を配備するのは完全に理解できる」と正当化した。
米、オーストラリアの外務・防衛担当閣僚が共同声明で南シナ海での埋め立てなどに懸念を表明したことについても、「南シナ海問題をあおり立てるのをやめ、言行を慎んでほしい」と不快感を示した。【10月14日 時事】
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【“開戦シミュレーション”も】
こうした事態を受けて、米中が南シナ海で軍事衝突した際のシュミレーションも報じられています。
***南シナ海“開戦シミュレーション” 米軍、防空能力で圧倒 7日間で中国軍撃退****
中国が、南シナ海の岩礁を一方的に埋め立てて人工島とし、軍事基地化を急いでいる問題で、米中両国間に緊張が走っている。軍事力を背景に覇権拡大を進める習近平政権下の中国を牽制するべく、米国のオバマ大統領は近く、中国が「領海」と主張する人工島の12カイリ(約22キロ)内で海軍艦艇を航行させる方針を固めた。
中国側も対抗措置を取るとみられ、軍事的衝突を排除できない状況が予想される。米中が南海の洋上で激突した場合、どうなるのか。専門家は「米側が1週間で撃退する」と分析する。(中略)
中国も反発するのは必至とみられ、応戦する状況を招く可能性がある。
迫る米軍と中国人民解放軍の一触即発の事態。軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「中国側としては絶対に12カイリ以内に米軍の艦艇を入らせたくない。戦闘は12カイリの外で始まる可能性が高い」とし、「ポイントは潜水艦」と指摘する。
横須賀(神奈川)に停泊中の米海軍第7艦隊の空母『ロナルド・レーガン』をはじめ、最低でも10艦程度の船団が現地に向かうだろう。その海域には、米中の潜水艦が先回りして情報を収集するはずだ。まず、この潜水艦同士で戦闘が始まる」(世良氏)
米軍は静粛性に優れた原子力潜水艦を運用しているのに対し、人民軍が所有する約半数は通常型のキロ型潜水艦で見劣ることから、世良氏は「緒戦は米軍が圧倒する」と読む。
この事態を受けて、人民軍は戦闘機を飛ばす第2の行動を取るという。
「中国はロシアから購入した機体を自国で生産可能にした主力戦闘機『殲11』で艦艇をねらうだろう。『ロナルド・レーガン』に約50機搭載されている米海軍の戦闘攻撃機『FA18』とは同世代に当たる機種だ。ただし、現代の空戦で求められるのは、レーダーで捕捉する技術。この点は米軍が完全に人民軍を上回っている。パイロットの腕も訓練時間の量から考えて米軍の方が高い」(世良氏)
米本土からは『ラプター』(猛禽類)の愛称を持つ空軍の『F22』が迎撃に参加。同機は、レーダーで捕捉されにくい「ステルス戦闘機」で、南沙諸島に張り巡らされた人民軍の警戒をすり抜けて攻撃を加えるとみられる。
劣勢の人民軍は、複数の艦船を現場に向かわせることになるが、世良氏はその数を「米軍を上回る少なくとも30艦」と予想する。
「海戦で勝敗を分けるのは相手の艦を攻撃する対艦ミサイルをいかに正確に撃てるか、防空能力をどれだけ発揮できるかにかかっている。人民軍は、浙江省の東海艦隊や海南島の南海艦隊から、ミサイル駆逐艦の旅洋I型やII型、より小型のフリゲート艦などを出動させるだろう。だが、対艦ミサイルの正確さ、防空能力のいずれも米軍の艦船のほうが成熟度は高く、人民軍を圧倒している」
人民軍が対艦ミサイルを打ちまくれば、米軍も無傷とはいかないが、12カイリ以内に一定期間、米軍がとどまれば、「国際社会は『中国の野望は打ち砕かれた』と判断することになる」(世良氏)。
総合的な観点からも南シナ海を舞台にした米中戦は、米軍が優位に立つ。両国の衝突について、世良氏は「中国の戦闘機が2〜3機撃墜された段階で、戦力の違いを認めて自制すれば、1週間程度で終結する」とみる。
南シナ海をめぐっての「ドンパチ」に世界中が注視している。【10月15日 夕刊フジ】
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【「ドンパチ」をいかに避けられるかに世界中が注視】
“人民軍が対艦ミサイルを打ちまくれば・・・”・・・随分と物騒な話です。
“オバマ大統領は近く、中国が「領海」と主張する人工島の12カイリ(約22キロ)内で海軍艦艇を航行させる方針を固めた”・・・・カーター米国防長官は13日に行われたオーストラリアとの会合後の共同記者会見で、「国際法が許容するいかなる場所へも、我々は飛行、航行する」と明言していますが、ホワイトハウスの最終承認待ちという状況ではないでしょうか。
とかく外交面での「弱腰」批判を受けるオバマ大統領としても、厳しい選択でしょう。
両国の間では、南シナ海問題以外にも懸案事項が存在します。
サイバー攻撃による産業スパイ活動に関しては、首脳会談前に対中国制裁案をちらつかせる形で、両国政府は実行したり支援したりしないことで合意しましたが、アメリカ側にはなお強い中国批判があります。
また、中国当局が数多くの教会を破壊するなど、信仰の自由に対する深刻な侵害が続いていることも踏まえ、ケリー米国務長官が14日、キリスト教徒の人権派弁護士・張凱氏が「信仰の平和的表現のため拘束されている」として釈放するよう呼びかけるなど、人権問題も浮上しています。
こうした状況で、オバマ大統領としても中国に強い姿勢を見せる必要に迫られています。
ただ、いったん作戦を開始すれば、途中で撤回するのは困難です。
米中とも“対艦ミサイルを打ちまくる”ような軍事衝突を起こす考えはないでしょうが、両国艦船が海上(あるいは海中)でにらみ合うような事態、米艦船が短時間問題海域を航行し、中国側は追い出したと主張するような事態はあるのかも。
「ドンパチ」を期待している上記【夕刊フジ】には“南シナ海をめぐっての「ドンパチ」に世界中が注視している”とありますが、“南シナ海をめぐっての「ドンパチ」をいかに避けられるかに世界中が注視している”と言うべきでしょう。
および飛行場建設に対しては何も言わないのか。
明らかなダブルスタンダードである。
サイバー攻撃については、米国側も中国に仕掛けて
おり、お互い様である。
中東、ウクライナ、南シナ海、いずれも
マスコミの報道が一方的過ぎる。
世界の警察を自負してきた自由主義のアメリカが、やや陰りを見せてきたのか。 思想統制する共産主義の中国が虎視眈々と世界の頂点を狙っています。
戦いの舞台が、アジアは南シナ海へとスポットライトが当たります。
いよいよ面白くなってまいりました。
ここ南シナ海を舞台に、挑戦者(中華人民共和国)は チャンピオン(アメリカ合衆国)に どう挑むのでありましょうか。
リングサイドには イギリス・フランス・ドイツ・イタリア という欧州の名だたる国々が、まだかまだかと 場内は興奮の坩堝(るつぼ)であります。
ゲストにはアメリカの友人として豪州さん(オーストラリア)にお越しいただきました。 どうぞ、よろしくお願いいたします。
青コーナーの挑戦者中国にはセコンドとして悪名高きロシアが、そして 赤コーナーには中国の野望を打ち砕かんと 気合を入れるチャンピオンアメリカのセコンドに(希望の同盟)という絆強き日本が付いております。
更には、フィリピン・ベトナムを初めとする、中国に苛められている南シナ海沿岸の国々が リングサイドでアメリカの勝利を祈祷しております。
北朝鮮と韓国は、高見の見物といったところでありましょうか。
レフェリーは、中国の抗日戦勝パレードに参加した歴代最悪の国連事務総長(パン ギムン潘基文)であります。
さあ、間もなく 試合開始のゴングが鳴ろうとしています。