(1月27日、ドイツ西部デュッセルドルフでAfDへの抗議デモを実施する市民ら(ロイター)【2月15日 産経】)
【ドイツ 移民追放謀議の極右政党への抗議行動続く】
ドイツで移民排斥を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の勢力が拡大しており、“第1党となるのは時間の問題”との予測もある現状、一方で、ナチズムへの反省を踏まえて、AfDへの抗議行動も起きていることは、1月23日ブログ“ドイツ 移民排斥の右派(極右)政党AfDの伸長 強まる警戒感 ナチスを連想させる移民追放謀議も”で取り上げました。
AfDへの抗議行動のきっかけとなったのは、AfDのワイデル共同党首の側近らが出席した会議で移民追放の謀議がなされたとの報道でした。
****ドイツの「移民追放計画」に全国デモ 欧州で極右への警戒強まる****
ドイツで極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の幹部らが移民の大規模な排斥を謀議したとの疑惑が波紋を呼んでいる。
AfDに対する抗議集会が全土で実施され、数十万人が参加。与党からAfDの党活動禁止を求める声も上がった。フランスでも極右政党の意向を反映した移民法に反対するデモが発生。6月の欧州議会選を前に右派の台頭への警戒が強まっている。
「人種差別にNOを」
ドイツ全土で20、21両日に実施された抗議集会にはAfDや極右を批判するプラカードを掲げた市民が集まった。20日には各地で計30万人以上が結集。21日にベルリンで開かれた集会には最大で10万人が参加した。26、27日にもフランクフルトやデュッセルドルフでそれぞれ数千人がデモを行い「国内で過去最大規模の抗議活動」(欧州メディア)と報じられた。
きっかけは独調査報道団体による10日の報道だ。報道によると、昨年11月に東部ポツダムでAfDのワイデル共同党首の側近ら約20人が出席する会合が開かれた。参加した右翼活動家が移民や難民のほか、市民権があっても出身地や肌の色が異なる「同化していない国民」を追放する計画を発表した。最大200万人の追放者を北アフリカに住まわせる案も話し合われた。
AfDは「会合は党が主催したものではない」と釈明したが、報道された計画はユダヤ人をマダガスカル島に移送するナチス・ドイツの計画を連想させるとして批判が噴出。
ショルツ首相は27日、ユダヤ人ら110万人以上が虐殺されたアウシュビッツ強制収容所がソ連軍による解放から79年を迎えたことを受け「右派のポピュリストが(今も)台頭し、恐怖をあおり、憎悪をまき散らしている」と非難した。人種差別的な計画は独憲法に反しており、ショルツ氏率いる中道左派「社会民主党」の議員がAfDの活動禁止を求めた。
与党などが警戒を強める背景には、AfDの急速な躍進がある。移民排斥を掲げるAfDは2013年に結成後、経済低迷や急増する移民への不満の受け皿として支持を広げた。謀議の報道後も、AfDは世論調査の支持率で連立与党3党を抜き、2位を維持する。昨年12月の独東部の市長選ではAfDの候補者が初当選。今年の旧東ドイツ3州の州議会選ではいずれも第1党となる公算が大きい。
ワイデル氏は、AfDが政権に就いた場合、欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票の実施を目指すと明言。シリア難民流入など欧州を襲った危機の克服でかじ取り役になったドイツが、EUを不安定化させる恐れが生じている。
フランスでも昨年12月、極右「国民連合」の賛成を得て新移民法が成立。外国人労働者の社会保障の条件を厳格化するなど移民への厳しい内容が盛り込まれた。2万人以上の市民が今月21日、「(極右の)死の口づけで可決された」(仏紙)同法の廃止を求めるデモをパリなどで行った。【1月29日 産経】
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AfDへの抗議行動は現在も継続していますが、移民追放謀議だけでなく、ワイデル共同党首のEU離脱発言も問題になっています。
****ドイツで極右政党「AfD」に対し…5週連続抗議デモ EU離脱=“デグジット”党首が主張****
ドイツでは経済や移民の問題をはらみ、ドイツのEU離脱・デグジットが取りざたされている。その離脱を主張している極右政党に対して抗議する激しいデモが5週連続で起こっている。
■支持拡大する極右政党「AfD」
11日、ドイツのミュンヘンで10万人の市民が参加するデモがあった。その怒りの矛先は?
デモに参加した人「民主主義を捨ててはいけません。『AfD』は民主的ではない」
このデモは、ドイツの極右政党「AfD」に抗議するものだ。デモはドイツ各地で行われ、これで5週間連続となっている。
極右政党「AfD」への抗議デモに参加した人 「AfDは私たちを不安に陥らせています。民主主義の中で右翼主義は認められない。私たちは、二度と過ちが起こらないように、戦わなければいけないんです」
「AfD」は2013年、ギリシャ経済危機のなかでドイツが多額の支援をすることに反発し、「反EU」を掲げて設立された。 2017年に、ドイツ連邦議会選挙で初めて議席を獲得し、国政に進出した。 その後、コロナ禍を経て、物価高や難民の急増で、2023年に支持率を大きく伸ばした。
■AfDの共同党首 ドイツの脱EUを主張
こうしたなか、「AfD」のメンバーが右翼活動家らと秘密の会合を行い、移民・難民の追放計画を議論していたことが報道により明らかになった。 これを受け、ドイツではAfDに対しての大規模デモが起きているのだ。
さらに、AfDの共同代表を務めるアリス・ワイデル氏の発言も、今、物議を醸している。
ワイデル氏 「もしEUの改革が不可能であれば、イギリスがしたように、国民に決断を委ねるべき。ドイツが『デグジット』、EUから出ていくことを…」
イギリスのEU離脱、「ブレグジット」に掛けて「デグジット」と呼ばれる、ドイツのEU離脱の必要性を主張したのだ。今、ドイツで何が起きているのか…。(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年2月14日放送分より)【2月15日 テレ朝news】
■支持拡大する極右政党「AfD」
11日、ドイツのミュンヘンで10万人の市民が参加するデモがあった。その怒りの矛先は?
デモに参加した人「民主主義を捨ててはいけません。『AfD』は民主的ではない」
このデモは、ドイツの極右政党「AfD」に抗議するものだ。デモはドイツ各地で行われ、これで5週間連続となっている。
極右政党「AfD」への抗議デモに参加した人 「AfDは私たちを不安に陥らせています。民主主義の中で右翼主義は認められない。私たちは、二度と過ちが起こらないように、戦わなければいけないんです」
「AfD」は2013年、ギリシャ経済危機のなかでドイツが多額の支援をすることに反発し、「反EU」を掲げて設立された。 2017年に、ドイツ連邦議会選挙で初めて議席を獲得し、国政に進出した。 その後、コロナ禍を経て、物価高や難民の急増で、2023年に支持率を大きく伸ばした。
■AfDの共同党首 ドイツの脱EUを主張
こうしたなか、「AfD」のメンバーが右翼活動家らと秘密の会合を行い、移民・難民の追放計画を議論していたことが報道により明らかになった。 これを受け、ドイツではAfDに対しての大規模デモが起きているのだ。
さらに、AfDの共同代表を務めるアリス・ワイデル氏の発言も、今、物議を醸している。
ワイデル氏 「もしEUの改革が不可能であれば、イギリスがしたように、国民に決断を委ねるべき。ドイツが『デグジット』、EUから出ていくことを…」
イギリスのEU離脱、「ブレグジット」に掛けて「デグジット」と呼ばれる、ドイツのEU離脱の必要性を主張したのだ。今、ドイツで何が起きているのか…。(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年2月14日放送分より)【2月15日 テレ朝news】
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イギリスにおいてEU離脱に関して失敗だったという声が増えている現状で、なぜ今「デグジット」なのかは良く知りません。
市民生活は「人」だけでなく「物」も外国産に大きく依存しています。
****外国産排除の店で戸惑う客 独スーパーの動画が話題****
外国産が排除され、自国ドイツ産の商品だけがまばらに置かれたスーパーで途方に暮れる買い物客―。
移民排斥を掲げて支持を拡大する右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」への抗議行動が広がるドイツで、大手スーパーが多様性の大切さを訴えるために制作した動画が話題を呼んでいる。
「コーヒーもチョコレートもありません」。店員は客に説明する。野菜や乳製品、パンなどはあるが、ほとんどの棚はスカスカだ。「普段食べているものが何もない」と戸惑う女性や、空の棚を前に立ち尽くす男性も。
制作したスーパーのエデカは動画で「多様性がなければ、ドイツは貧しくなる」と訴える。【2月17日 共同】
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【ノルウェー第5の都市 難民受け入れをウクライナ人に限定】
ただ、ドイツだけでなく欧州各国にとって移民・難民は大きな問題となっているのは事実。
特に、アフリカ・中東などからの移民・難民に対する強い抵抗感が欧州社会にあるのも現実です。
****難民受け入れをウクライナ人に限定、ノルウェー第5の都市が非難の的に****
ノルウェーの首相と野党党首は14日、第5の都市ドランメンが難民の受け入れをウクライナ人に限定すると決定したのを非難した。
ドランメンは首都オスロの西方40キロに位置する人口12万人の都市。保守党、反移民を掲げる右派ポピュリスト、キリスト教民主党、年金生活者を代表する小政党などで構成される同市議会は13日、中道左派政権による警告を無視して、この決定を可決した。
労働党所属のヨーナス・ガール・ストーレ首相は14日、国営テレビNRKに対し、同市議会の決定は「自治体ができることではない」と批判。「基本的な価値観は、逃亡してきた人々が平等に扱われるようにすることだ」と語った。
ドランメンの市長も所属する野党・保守党党首のエルナ・ソルベルグ前首相もストーレ首相に同調。ノルウェー通信によると、たとええり好みがよくあることだとしても、「どの自治体も特定の国からの難民しか受け入れないと決定することはできない」と述べた。
さらに、中央党のある議員は同市議会が「組織的に人種差別」を行っていると刑事告発した。 【2月15日 AFP】
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「本音」と言えばそうなんでしょうが、そうした「本音」をストレートに表に出していいのか?・・・トランプ現象で「建前」「理念」より「本音」が優先する流れが強まっています。
【フランス 右派の支持取り付けのため修正、「(極右の)死の口づけで可決された」移民法 その後、憲法評議会で修正部分削除】
一方で、労働力の観点からは移民労働を必要としているのもまた現実であり、移民労働確保と移民流入への拒否感という二つの側面のバランスをとることが求められています。
そうした観点からフランス・マクロン政権が成立を図った移民法でしたが(政府は、法案は人材不足の部門で働く移民が居住許可を得やすくする一方、不法移民の追放がより簡単になると説明)、左派からは移民に厳しすぎる、右派からは逆に甘すぎるとの批判で立ち往生、結局、右派の要求を一定にいれる形で修正、極右政党「国民連合(RN)」の法案支持によって成立、「(極右の)死の口づけで可決された」(仏紙)という状況にも。
右派に配慮して修正された内容は、居住許可要件を厳しくし、児童・住宅手当などへの支給開始時期を数年繰り下げる、出生地主義による国籍付与の見直し、外国人留学生に帰国保証金を求めるなど。
ただし法案成立後、右派・共和党が加えた修正案はほぼ全て憲法評議会で削除されています。
****外国人労働者の受け入れ拡大目指す移民法公布****
(中略)
同法は、上下両院で過半数を持たない少数与党政権が当初の政府案よりも移民への対応を厳格化した右派中道・共和党の修正案を受け入れるかたちで12月19日に成立させたが、12月26日と27日にエマニュエル・マクロン大統領、下院議長、120人を超える上下両院の議員が憲法評議会に違憲審査を求めていた。
その結果、憲法評議会は1月25日、86の条文のうち、移民受け入れのクオータ制の導入や、外国人への社会保障手当(住宅手当、家族手当など)の給付条件の厳格化、出生地主義による国籍付与の見直し、外国人留学生に帰国保証金を求めるなどといった35の条文について、「法の趣旨と関連がない」などとして破棄する決定をした。憲法評議会の決定により、共和党が加えた修正案はほぼ全て削除された。【2月7日 JETRO】
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憲法評議会で否定されることは予想されていたと思いますが、それでも移民に対する厳しい姿勢をみせる政権と右派勢力のパフォーマンスだったのでしょうか?
【スウェーデン 「必要としているのは、高度な知識や技能を有する優秀な人材の移民だ」 就労ビザを取得する要件とされる月収を49万円に】
外国人労働者については、単純労働のための移民はいらないけど、専門知識・技能を持った外国人人材は欲しい・・・という考えも。
****スウェーデン、就労ビザの収入要件引き上げ検討 月49万円に****
スウェーデン政府は15日、就労ビザを取得する際に要件とされる収入額の引き上げを検討していると発表した。
マリア・マルメルステーネルガルド移民相は、外国人労働者の要件となる最低収入の引き上げに関する政府調査の完了に合わせて会見を開き、「そもそも必要としているのは、高度な知識や技能を有する優秀な人材の移民だ」「だが、求められる技能も賃金も低い職業の移民が依然として多い」と語った。
スウェーデンは既に昨年11月1日から、シェンゲン協定または欧州連合加盟国以外出身の外国人が就労ビザを取得する要件とされる月収を、従来の1万3000クローナ(約19万円)から2万7360クローナ(約39万円)に引き上げている。
政府調査会は現在、これをさらにスウェーデンの月収の中央値に近い3万4200クローナ(約49万円)に引き上げることを提案している。
反移民を掲げるスウェーデン民主党の協力を得ている保守派・穏健党のウルフ・クリステション首相率いる連立政権は2022年の発足以来、移民の制限を公約に掲げてきた。
最低収入額の引き上げで最も影響を受けるのは飲食業界と清掃業界だが、ステーネルガルド氏は「多くの場合、すでにスウェーデンに住んでいる人々で賄えるはずだ」と述べた。
2023年11月現在、スウェーデンの就労ビザ保有者6万3477人のうち1万4991人が、現在の収入要件である2万7360クローナを満たしていない。
だが政府は、来年6月1日に新たな要件を発効させる法案を、議会で可決できると見込んでいる。 【2月16日 AFP】**************
人種・肌の色・国籍で選別するのは差別主義だが、収入で選別するのはかまわない・・・・?
よくわかりませんが、各国とも“欲しいもの”だけを手にいれたい、“余計なもの”はいらない・・・という「本音」優先です。
外国人と犯罪が結び付けられやすいのはどの国でも同じ。リベラルとされるNY市でも。
****移民収容施設の外出禁止令拡大 犯罪増加で 「的外れ」の指摘も ニューヨーク市****
アメリカ・ニューヨーク市では、移民による犯罪で治安が悪化していることから、収容施設への外出禁止令が拡大されました。これらの移民収容施設では、午後11時から午前6時まで外出禁止になります。
ニューヨークでは8日、15歳の移民の少年がタイムズスクエアで、ブラジル人観光客と警察官に発砲し、けがをさせたほか、先月には移民グループと警察官が殴り合いになるなどの事件が起きていました。
ニューヨーク市民「外出禁止令は組織の立場では理解できるが、犯罪抑制が目的なら完全に的外れだ」
移民らは仕事に就けないことへの不満などから犯罪行為に走るという見方も出ています。【2月13日 テレ朝news】
ニューヨークでは8日、15歳の移民の少年がタイムズスクエアで、ブラジル人観光客と警察官に発砲し、けがをさせたほか、先月には移民グループと警察官が殴り合いになるなどの事件が起きていました。
ニューヨーク市民「外出禁止令は組織の立場では理解できるが、犯罪抑制が目的なら完全に的外れだ」
移民らは仕事に就けないことへの不満などから犯罪行為に走るという見方も出ています。【2月13日 テレ朝news】
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本当に治安悪化の原因は外国人なのか・・・冷静な検証が必要です。
もし、そうならなぜ外国人が犯罪に走るのか? そのようにさせている状況に問題はないのか? という視点もひつようでしょう。