
(ウクライナ軍によって破壊されたロシアの軍事車両の前で記念写真を撮る人々。独立記念日にあたり、キーウ中心部のフレシャーチク通りに展示された=ウクライナの首都キーウで2022年8月22日、久野華代撮影【8月24日 毎日】)
【徹底抗戦のウクライナ 大統領「停戦の用意はない」 国民も結束 一方で犠牲も増大】
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍の侵攻開始から半年を迎えた24日のビデオ演説で、東部ドンバス地方も南部クリミア半島もウクライナの領土であると改めて訴え、「どんな(に困難な)道のりでも取り戻す。我々の土地を解放せよ。これが我々のシンプルで明確な条件だ」と、改めてロシアに撤退を求めています。
また。23日には、「われわれに停戦の用意はない」とも明言しています。
****クリミア奪還へ手段選ばず 大統領「停戦の用意はない」****
ウクライナのゼレンスキー大統領は23日の記者会見で、ロシアが2014年に強制編入したウクライナ南部クリミア半島について「他国との相談なしに、自ら正しいと決めたあらゆる手段で取り戻す」と述べ、奪還への強い決意を示した。「われわれに停戦の用意はない」とも明言し、紛争解決は一段と困難になった。
ロシアのウクライナ侵攻から24日で半年。ゼレンスキー氏は以前、侵攻前の状況までロシアが撤退すれば停戦交渉の再開が可能だとしていた。クリミアでは8月に入ってロシア軍基地などで爆発が相次ぎ、ウクライナ軍精鋭部隊が関与したとの見方も浮上。緊張が高まっている。【8月24日 共同】
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こうしたロシアとの中途半端な妥協・停戦はないという強い姿勢はゼレンスキー大統領一人の思いではなく、ウクライナ世論とも共通しています。国民の激しい思いに大統領も突き上げられている面も。
ウクライナの98%の人が「この戦争に勝利しなくてはいけない」と結束しているとのこと。
****キーウ在住の編集者が語る「ウクライナの現状」 ロシアの軍事侵略から半年が経過****
キーウ在住で「ウクルインフォルム通信」編集者の平野高志氏が8月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ロシアによる軍事侵略から半年となるウクライナの現状について現地から語った。(中略)
飯田)(中略)ウクライナの98%の人が「この戦争に勝利しなくてはいけない」と思っている 〜中途半端に停戦したらまたロシアは攻めてくる
飯田)(中略)開戦当初、「早く降伏すべきだ」というような議論が日本で起こりました。8月になり、また戦争忌避の雰囲気が強まったなかで、再びそういう議論が出てきたところもありましたが、ウクライナ国内の人たちはこの先の情勢について、どう思っていらっしゃいますか?
平野)最近、世論調査が出たのですが、ウクライナの98%の人が「この戦争の勝利を信じている。勝利しなければいけない」と思っているのです。(中略)
1つには、ウクライナ軍がウクライナ側の被害を出していないので、自分たちがどれくらい戦争に勝てるのか、あまり正しく判断できない状況にあるということがあります。
6割以上の人が根本的な勝利をしなくてはいけないと思っている
平野)もう1つ、今回の侵攻は2014〜2015年にロシアによる軍事的侵攻があったときに、ロシアとの間で中途半端な停戦をしたことに原因があると思っている人がたくさんいるのです。いま中途半端に停戦したとしても、以前と同様に、しばらくしたら力を蓄えたロシアが、ロシアに都合のいいタイミングで襲ってくることが目に見えているのです。(中略)
ウクライナの人々の間では、クリミアもドンバスも獲り返した形で、「ロシアに対して根本的な勝利をしなくてはいけない」という見方が6割以上にのぼっているのです。(後略)【8月24日 ニッポン放送NEWS ONLINE】
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ゼレンスキー大統領は24日ビデオ演説で、「(侵攻が始まった)2月24日午前4時に新しい国家が出現した。生まれたのではなく生まれ変わったのだ。(その国家は)泣かず、わめかず、ひるまず、逃げ出さなかった」と6カ月間を振り返っています。
見方を変えると、ウクライナ社会には停戦を主張するのはタブー視される雰囲気も。
****「ロシア支配下で暮らすのは奴隷と同じ」…停戦タブー視、ウクライナ徹底抗戦****
(中略)ウクライナの研究機関「ラズムコフ・センター」などが8月5〜12日に実施した世論調査によると、75%以上が領土を奪還するまでの戦争継続を支持し、92%がウクライナの勝利を信じている。
戦争の長期化は、市民生活を苦境に追い込んでいる。7月の消費者物価指数は前年同月比で22・2%上昇した。それでも、停戦を主張するのはタブー視されている。5歳と10歳の娘を持つナタリア・ステパウスカさん(35)は「子供たちのことを考えれば戦争は早く終わってほしい。でも、文句を言っていられない。あらゆる犠牲を受け入れなければ」と言う。
激しい戦火にさらされる地域の住民さえ、徹底抗戦を唱えている。露軍が全域制圧を宣言する南部ヘルソンから8月上旬、7日がかりでキーウに避難してきたビクトル・ブラヒンさん(46)は「ロシア国旗の下で暮らすのは、奴隷になるのと同じだ。だから戦わざるを得ない」と言い切った。
兵士や市民の犠牲は増え続けている。だが、犠牲が増えるほど、停戦は遠のくと見る向きもある。オレクサンドル・ミハイレウコさん(71)は「戦争を止めたい。でも、遺族や負傷兵が何のための犠牲だったのかと言って停戦を許さない。だから勝つまで戦い続けなければならないのだろう」とため息をついた。”【8月24日 読売】
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ただ、そうしたなかで戦争による甚大な犠牲と悲しみが膨らんでいます。
****ウクライナ“戦闘長期化”大きな犠牲 最前線で「家族を守った」足を失う若者も…****
24日、ロシアによるウクライナ侵攻から半年を迎えました。戦争が長期化するなか、多くの若者が戦闘で足を失うなど大きな犠牲を強いられています。
◇◇◇
キーウ近郊にある墓地では、ロシアによる侵攻後、遺体を埋葬する場所が次々とつくられています。できたばかりのお墓が並ぶ一帯では、墓標に名前や、亡くなった場所も書かれていませんでした。番号だけの墓標が、無数に並んでいました。
国連によると、この半年で市民5587人が亡くなりました。ただ、実際の死者ははるかに多いとの見方を示しています。
命はとりとめたものの、戦闘により大きなケガをする若者も増えています。足などを失った兵士がリハビリをうけている施設では、「患者は増える一方だ」といいます。(中略)
今年3月、戦闘で左足を失ったビタリーさん(26)は、キーウ近郊の町・ブチャで首都攻防の最前線にいました。(中略) 「自分は体の一部を失いましたが、家族を守りました。一番大事なことです」
戦地に赴く若者の多くが、ビタリーさんのように「家族を守るために戦う」と語ります。
その家族は――(中略)「(母親は私の姿を見て)ショックを受けました」(中略)「もちろん泣きました」
◇◇◇
大切な人が傷ついていくウクライナの今。私たちは、戦場で戦う家族の帰りを待つ女性に話を聞きました。
ビクトリアさんと、その息子のアンドリーウ君(3)が暮らすイルピンの町も、一時、ロシア軍の激しい攻撃にさらされ、自宅にも戦闘の爪痕が残っています。(中略)
ビクトリアさん 「(夫が前線に向かう時は)2日間、携帯電話の電波も通じず、パニックになってしまいました」
現地は電波の状態が悪いため、夫とは電話ができません。数日に1回、夫から送られてくるメールを待ち続けています。
ビクトリアさん 「(戦地に行った夫からは)『私は大丈夫。愛しているよ。ウクライナは勝つ』『アンドリーウは元気?』(というメッセージが来る)。会いたいからでしょう。メールが来ない時は、夜中まで寝られずに心配しています」「(夫の帰りを)ずっと待っています。すべてが良くなると信じています」
戦闘が長期化するなか、愛する人々の無事を祈る日々が続いています。【8月24日 日テレNEWS】
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長期化する戦闘のなかで、「日常」を取りもどず動きも。
ウクライナのサッカー国内リーグ「ウクライナプレミアリーグ」が23日、ロシアによる軍事侵攻以来、初めて再開しました。ロシア軍の標的となるのを防ぐために、全試合無観客で、シェルターを確保したスタジアムでのみの開催となったようです。
【ロシア 現時点では制裁対応、国民コントロールで成果 長期的には困難も】
一方、ロシアが経済的には欧米の経済制裁にもかかわらず、現時点では一定にこれをしのいでいること、また、プーチン政権はリベラル層が多い大都市などで厭戦ムードが広がることを防ぐために、都市部若者の戦闘への投入を避け、情報をコントロールしていること、そうした対応も一定に奏功していることなどはこれまでも取り上げてきました。
****「軍事作戦」開始から半年、クリミアなどで緊張激化 ロシア国内「自給自足」経済進む****
(中略)プーチン大統領は「一歩ずつウクライナ東部を解放している」と強調していますが、足もとでは制裁や軍事作戦への国民の不安や不満を抑え込むことに注力しています。
「自給自足」型の経済を進め、ここモスクワでは深刻な物不足は感じられず、撤退した外国チェーンの後継店も相次いでオープンしています。
また、国民は戦死者の数に敏感とされますが、3月に1351人が死亡したと発表されて以降、更新されていません。独立系メディアはSNSなどの情報をもとに、少なくとも5507人の死亡が確認できたとし、貧しい地方出身者や少数民族が大半を占めているといいます。リベラル層が多いモスクワなどで厭戦ムードが広がることを避ける狙いも伺えます。
最新の世論調査では作戦を支持する人の割合は76%と依然として高く、政権のコントロールが効いているともいえそうです。(中略)
ただ、長期化に伴い、制裁の影響拡大が予想されるほか、深刻な兵員不足も指摘されています。
そうした中、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミアでは爆発が相次いでいます。プーチン氏にとって、クリミアは自らの「功績」を示す象徴でもあり、攻防が激化する可能性があります。
さらに、東部や南部の制圧したとする地域では併合をにらんだ住民投票を行う動きもあり、一層緊張が高まりそうです。【8月24日 TBS NEWS DIG】
「自給自足」型の経済を進め、ここモスクワでは深刻な物不足は感じられず、撤退した外国チェーンの後継店も相次いでオープンしています。
また、国民は戦死者の数に敏感とされますが、3月に1351人が死亡したと発表されて以降、更新されていません。独立系メディアはSNSなどの情報をもとに、少なくとも5507人の死亡が確認できたとし、貧しい地方出身者や少数民族が大半を占めているといいます。リベラル層が多いモスクワなどで厭戦ムードが広がることを避ける狙いも伺えます。
最新の世論調査では作戦を支持する人の割合は76%と依然として高く、政権のコントロールが効いているともいえそうです。(中略)
ただ、長期化に伴い、制裁の影響拡大が予想されるほか、深刻な兵員不足も指摘されています。
そうした中、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミアでは爆発が相次いでいます。プーチン氏にとって、クリミアは自らの「功績」を示す象徴でもあり、攻防が激化する可能性があります。
さらに、東部や南部の制圧したとする地域では併合をにらんだ住民投票を行う動きもあり、一層緊張が高まりそうです。【8月24日 TBS NEWS DIG】
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****軍事侵攻半年で“ウクライナ疲れ”も? 各国の対応に変化は?****
(中略)
●ロシア軍 深刻な兵員不足指摘も地方から新たに派遣か
(中略)ロシア軍は、深刻な兵員不足が指摘されていますが、プーチン政権は、国民の強い反発が予想される総動員は避けながら、ロシアの地方などで兵士を募集して戦地への派遣を進めているとされています。
また、ロシア側は、掌握したとする東部や南部ヘルソン州、南東部ザポリージャ州などで支配の既成事実化を強め、早ければ、ロシアの地方選挙が行われる来月にも将来の併合をにらんで住民投票を実施する準備を進めているとみられます。
●ロシアでは依然「軍事作戦に高い支持」か
独立系の世論調査機関レバダセンターは、先月下旬ロシア国内の1600人余りを対象に対面形式で調査を行いました。それによりますと、「ロシア軍の行動を支持するか」という質問に対して「明確に支持する」「どちらかといえば支持する」が合わせて76%で、ことし3月と比べて5ポイント下がったものの、依然として高い支持を保っています。
NHKの取材に対し、調査を行った独立系世論調査機関のレバダセンターのデニス・ボルコフ所長は、プーチン政権による軍事作戦への支持が依然として76%と高い支持を保っている背景については「無条件の支持は45%程度で、30%ほどは留保付きで支持するグループだ。作戦は必要なかったかもしれないと答える一方で、大統領が決定を下した以上、支持しなければならないという考えだ。留保付きの支持のうち10%程度は、作戦への反対を打ち明けることを恐れているのだろう」と分析しています。
NHKの取材に対し、調査を行った独立系世論調査機関のレバダセンターのデニス・ボルコフ所長は、プーチン政権による軍事作戦への支持が依然として76%と高い支持を保っている背景については「無条件の支持は45%程度で、30%ほどは留保付きで支持するグループだ。作戦は必要なかったかもしれないと答える一方で、大統領が決定を下した以上、支持しなければならないという考えだ。留保付きの支持のうち10%程度は、作戦への反対を打ち明けることを恐れているのだろう」と分析しています。
そして「社会の安定こそがこの先も特別軍事作戦を継続させることにつながる」と述べ、プーチン政権としては、軍事作戦の継続のためにも社会の秩序と安定の維持に懸命になっていると指摘しました。(後略)【8月24日 NHK】
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現在は戦争反対の抗議行動はほとんど見られなくなっていますが、プーチン政権は批判封じ込めを強めています。
****ロシア当局、ウクライナ侵攻批判の政治家を拘束=タス通信****
ロシア当局は政府に対する批判で知られ、エカテリンブルク市長を務めたエフゲニー・ロイズマン氏を拘束した。タス通信が24日報じた。ロイズマン氏はロシアのウクライナ侵攻にも反対している。
タス通信はエカテリンブルク市治安当局の発表として、同氏が「ロシア軍に対する名誉棄損」の疑いで捜査を受けていると伝えた。
ロシアはウクライナ侵攻を自国の安全保障確保のための「特別軍事作戦」としており、侵攻を戦争と表現したりロシアの行動を批判したりした人物を多数捜査している。【8月24日 ロイター】
タス通信はエカテリンブルク市治安当局の発表として、同氏が「ロシア軍に対する名誉棄損」の疑いで捜査を受けていると伝えた。
ロシアはウクライナ侵攻を自国の安全保障確保のための「特別軍事作戦」としており、侵攻を戦争と表現したりロシアの行動を批判したりした人物を多数捜査している。【8月24日 ロイター】
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ただ、長期的には経済制裁の影響は避けられません。
石油や天然ガスの価格高騰に支えられ、これまでロシア政府は制裁下でも戦費をまかなうのに十分な歳入を得てきました。しかし、欧州向けの石油・ガス輸出は確実に減り、接近する中国やインド向けを増やしても補い切れていないとみられています。
今後、最大の輸出先の欧州連合(EU)は脱ロシア依存を更に進める予定で、ロシア経済への打撃はさらに広がる可能性があります。
また、戦争犠牲の大きさも次第に明らかになっていくと思われます。
【アメリカ ウクライナ支援を継続】
ウクライナの抵抗・反攻を支えているのが欧米の支援ですが(ロシアにすれば、戦争を長期化させている原因)、アメリカは更に支援を強める姿勢です。
****米政府、ウクライナ追加軍事支援発表へ 最大の30億ドル=当局者****
米国はウクライナに対する約30億ドルの追加軍事支援を早ければ24日にも発表すると、米政府当局者が23日に明らかにした。2月24日のロシアによる侵攻開始以降で最大となる。
この支援は、24日のウクライナの独立記念日に合わせて準備されている。
既存の在庫から兵器を提供するのではなく、ウクライナ安全保障支援イニシアティブ(USAI)基金を活用して、業界から調達する。
当局者は今回の支援について、これまでにウクライナ軍に提供されていない兵器は含まれていないようだが、弾薬や防衛システムなどのより中期的な目標に焦点を当てたものになると述べた。
USAIの下で企業が調達する必要があり、兵器が欧州に到着するまでには数カ月かかる可能性があるという。
また、兵器の量や種類が正式発表前に変更される可能性もあるという。
ロシアによる侵攻開始以降、米国がウクライナに提供する軍事支援の総額は106億ドルに達している。【8月24日 ロイター】
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【欧州 対ロシアで域内に温度差 燃料高騰・制裁疲れで揺らぎも 「この冬をどう乗り越えるか」】
一方、欧州はロシアへの対抗姿勢が強いバルト三国やポーランドに対し、ドイツ、イタリア、フランスなどはロシアとの対話も視野に入れており、ロシア対応で温度差があること、ロシアのガスを使った揺さぶりで、今後の市民生活の犠牲増加によっては欧州側に揺らぎが出る可能性もあることは、これまでも取り上げてきたところです。
****ウクライナ侵攻半年 揺れるEU、燃料高騰・制裁疲れ色濃く 対露姿勢で東西の亀裂も****
欧州連合(EU)は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化で、エネルギー価格の高騰に揺れている。「制裁疲れ」が広がり、ウクライナ支援に手詰まり感が漂う。対ロシア姿勢で西欧と東欧の違いも浮き彫りになり、EUの結束は試練に立たされている。
ドイツの民間機関「キール世界経済研究所」によると、8月3日までにEUがウクライナに拠出表明した軍事、経済、人道支援の総額は162億ユーロ(約2兆2000億円)。独仏、東欧など主要国の2国間援助を合わせても、米国の約445億ユーロ(約6兆円)の半分以下にとどまる。独仏伊などEU主要国からの支援表明は7月、ほぼゼロだった。
EUを牽引する独仏は当初、ウクライナ、ロシア間の和平仲介を目指した。ウクライナが不快感を示し、空振りに終わった。
EU内の対露強硬派であるポーランド、バルト諸国からも不信の目を向けられる始末で、独仏は当面、米国とウクライナ支援で共同歩調をとりながら、出番を探る構えとみられる。
マクロン仏大統領は19日、約3カ月ぶりにプーチン露大統領との電話会談を再開した。ドイツは重火器の供与が遅れていたが、多連装ロケットシステム「MARS」の現着が1日に発表された。
東西欧州の対立は、ロシアの脅威に対する認識の違いに基づく。6月発表の世論調査によると、「ウクライナがロシアに譲歩しても、和平を構築すべき」という意見がイタリアで52%、ドイツで49%にのぼった。これに対し、ポーランドでは16%。「ロシアの敗北だけが、和平への道」と考える人が4割を超える。
紛争長期化は、EU各国の内政にも影を落とす。イタリアでは7月、対露経済制裁を支持してきたドラギ首相が辞任に追い込まれた。中道左派の与党がウクライナへの武器供与を批判し、生活支援の拡充を訴えて、造反に動いたのが引き金になった。
ロシアはEUの足並みの乱れに乗じ、パイプラインを通じた天然ガス供給を削減して揺さぶりをかける。EUは昨年まで、ガス輸入の4割をロシアに依存したため、暖房需要の高まりを前に、ガスの備蓄と省エネに懸命だ。物価高が家計を直撃する中、マクロン氏は、「自由と価値を守るための代価を受け入れてほしい」と仏国民に訴えた。欧州のウクライナ支援の行方は、「この冬をどう乗り越えるか」にかかっている。【8月23日 産経】
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現在は、ウクライナは欧州をなんとかつなぎとめながらロシアと戦い、ロシアは国内に反戦気運が高まらないように配慮しながらウクライナと戦う・・・・といった構図です。
この構図が今後どうなるかは、現地での戦況の変化が大きく影響するでしょう。