孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ウクライナ  長期化する戦いの中での平和を望む市民の暮らし

2022-07-24 23:12:34 | 欧州情勢

(【7月24日 日テレNEW】 30分程前に空襲警報が解除されたばかりの普段どおりのキーウ市内の様子 戦争が長期化するなかで、人々は戦争を日常の一部として受け入れざるを得ない現実も)

【ウクライナ側の反撃も】
ウクライナでの戦況は依然としてよくわかりませんが、ロシア軍の攻勢を伝える報道以外に、欧米からの武器供与が効果を示しはじめたのか、あるいはロシア側の兵器・人員・作戦展開に限界が近づいているのか、下記のようなウクライナ側の反撃を伝える記事も。

****ウクライナ軍 反転攻勢も ロシア兵1000人以上包囲****
ウクライナの政府高官は、ウクライナ軍が反転攻勢を強めている南部・ヘルソン州で、ロシア兵1,000人以上を包囲していると明らかにした。

ヘルソン州はロシア軍が制圧を宣言しているが、7月に入り、ウクライナ軍が一部を奪還したと主張し、補給などで重要な橋を攻撃していた。

ウクライナの大統領府顧問は、SNSにウクライナ軍がヘルソン州でロシア兵1,000人以上を包囲していると明らかにするとともに、「これはほんの始まりにすぎない」と投稿した。

またロシアメディアも、ロシア側が兵士を避難させるための人道回廊の設置をウクライナ側に求めたと報じている。

一方、アメリカ政府高官は22日、「ロシアが全戦力のうち、すでに85%をウクライナに投入している」としていて、ロシアが兵力の調達に苦労しているとの分析を明らかにした。

こうした中、アメリカ政府は、ウクライナ軍に初めてアメリカ製の戦闘機を供与する検討を始めたと明らかにした。
実現すれば、ウクライナ軍の戦力の大幅な増強につながり、ロシアの反発は必至。【7月23日 FNNプライムオンライン】
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アメリカ製の戦闘機・・・・ミグ戦闘機ならともかく、ウクライナ兵士が使いこなせるようになるまで、どのくらい時間を要するものか?

****1日の戦死者、30人に減少 ウクライナ軍、大統領が指摘****
ウクライナのゼレンスキー大統領は22日のウォールストリート・ジャーナル(電子版)とのインタビューで、ロシアとの戦闘によるウクライナ軍の死者は、戦闘が激しかった5〜6月の1日100〜200人に比べ、現在は30人程度に減ったと述べた。

ゼレンスキー氏は現在の1日の負傷者は約250人と指摘。2月以来のウクライナ軍の死者総数は明らかにしなかったが、ロシア側の死者よりは数分の一だと主張した。

ウクライナ軍参謀本部の23日発表の戦況分析によると、ロシア軍はウクライナ東部ドネツク州のクラマトルスクやスラビャンスク、バフムトの周辺で攻撃を継続している。【7月23日 共同】
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戦況についてはロシアにしろ、ウクライナにしろ、“大本営発表”的に自国に都合のいいようにしか情報を出さないので実際のところはよくわかりませんが、上記のような情報が多くに目につくようになったということは、南部・東部でのロシア軍の攻勢が強まっていたひと頃よりはウクライナ側に反撃の流れが出てきた・・・ということでしょうか。

イギリスの対外情報機関、秘密情報部(MI6)のムーア長官が21日、ロシア軍について「失速し、力を失う寸前にある」とする見解を明らかにしていることもありますし。(どの程度信じていいのかわかりませんが)

【家族と離れウクライナにとどまることを強要されている男性】
ここ数日、7月21日ブログ“ロシア ガスで欧州を揺さぶる 制裁の「痛み」に西側は耐えられるか?”では主に欧米側の苦しい事情、7月22日ブログ“ロシア 使い捨て兵士に利用されるシベリアのブルーカラーや少数民族出身者”ではロシア側の苦しい事情を取り上げてきました。

そこで今日は、戦いの当事国ウクライナの状況に関する最近の記事をいくつか。

ロシアでは徴兵を忌避する若者が・・・という話題は上記ブログでも取り上げましたが、ウクライナにしても全員が祖国防衛のために進んで命を・・・という訳でもないでしょう。

ゼレンスキー大統領は、国を出ようとする男性を厳しく制限しており、出ようとする者は“裏切り者”扱いにもなります。多くの人々が家族と引き裂かれて国に残る状況にもなっています。

ただ、コロナ対策でも明らかになったように、長期戦になってくるとそういう厳しい対応だけでは国民の気持ちがもたないところもあるでしょう。

****ウクライナ 家族と離れ深まる男性たちの苦悩****
ロシアによる侵攻から24日で5か月となるウクライナでは、成人男性ウクライナのは国外に出ることが原則、禁じられています。戦争が長期化する中、国外に避難した家族に会えない男性たちの苦悩は深まっています。

キーウ市内に暮らす行政書士のニキタさん(27)は、ロシア軍の侵攻直後、妻と8歳の娘らをドイツに避難させ、今は一人、ウクライナに残っています。(中略)

現在、成人男性が国外に出ることは、原則禁止されているウクライナ。ニキタさんが家族と離れてから、まもなく5か月となります。自宅では娘と過ごした平和な日々ばかりが頭をよぎるといいます。

ニキタさん「複雑だ。(娘の部屋に)来たいけど、来るとつらくなる」この日は久しぶりに、娘のミラナさんとテレビ電話で話します。

ミラナさん「パパの誕生日に描いたプレゼントだよ」
ニキタさん「プレゼント? すごいね」「会えなくてすごく寂しいよ」
ミラナさん「わたしも寂しい」

ニキタさんは一刻も早く、男性が国外に避難した家族に会えるようにすべきだと訴えます。
ニキタさん「もしあと数か月(この状況が)続けば、残っているみんなの心が壊れてしまう」

キーウ市の支援センターの担当者も、多くの男性が同じ苦しみを抱えていると指摘します。
心理カウンセラー「妻はウクライナに戻るのがまだ怖いが、夫は妻のいない生活はもう耐えきれないと。それで家族の関係が悪化してしまうこともある」

ゼレンスキー大統領は当初、男性の出国基準の緩和に反対していましたが、今月、ようやく議会に基準を緩和する法案が提出されました。

停戦の兆しが依然、見えない中、戦争の長期化は人々の心に暗い影を落としています。【7月24日 日テレNEWS】
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【ロシアのミサイル攻撃に“慣れた”市民の暮らし】
これもコロナ対応と同じですが、長期戦になると危険に対する“慣れ”も生じます。戦いとの共存でしょうか。

****侵攻から5か月 市民の心情に変化も…「ミサイルに慣れてしまった」****
ロシアのウクライナ侵攻から24日で5か月となります。戦闘終結の兆しが見えない中、首都・キーウではこの日も空襲警報が出ました。キーウから渡邊翔記者の報告です。

キーウ中心部の大通りに来ています。キーウ市は朝からすでに2回、空襲警報が鳴りました。ただ、ジョギング中の市民がサイレンを聞いてもそのままのペースで走り続けるなど、人々の落ち着きが印象的でした。

一方、キーウ市役所の正面には、ロシアの捕虜になった兵士らの解放を訴える横断幕がかかっています。町の中でも、戦意発揚のポスターなどが目立ちます。

侵攻開始から5か月となる24日朝、教会の礼拝では、犠牲となった兵士や市民に祈りがささげられました。
ウクライナ軍は南部・ヘルソンの奪還に向けて攻勢を強めるなど、戦闘はさらに激化する兆しを見せています。

今週、取材中に話を聞いた市民からは、戦争に疲れたという声があがっています。ただ、一方で、「いけないとは思いながらも慣れてしまった」という声も多く聞かれます。

キーウ市民「恐怖はすでにあまりない。ミサイルに慣れてしまった」「もちろんみんなと同じように疲れている」
戦争が長期化する中、人々は、戦争を日常の一部として受け入れざるを得ない。そんな諦めにも似た感情を抱えています。【7月24日 日テレNEW】
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【ロシアが支配する地域では・・・“ただ、平和に暮らせることだけを望む”住民】
一方、ロシアが支配し、ロシア化・「併合」への動きが進む地域では、“ただ、平和に暮らせることだけを望む”住民の暮らしが。

****侵攻5か月の裏で進む「ロシア化」(1) 市民が語る、ベールに包まれた支配の実態****
ロシアによるウクライナ侵攻開始から5か月。今も激しい戦闘が続く一方、東部や南部ではロシアによる「併合」に向けた動きも始まっている。ロシア軍が占領した町にいまも暮らす市民の声を取材すると、驚くべきスピードで進む現地の「ロシア化」の実態が見えてきた。

■「ロシア製」並ぶスーパー “ルーブル支払い”も
取材に応じてくれたのは、3月にロシア軍に占領され、現在ウクライナ軍が奪還を目指す南部の主要都市・ヘルソンにいまもとどまるコンスタンチンさん(44)。ロシアによる侵攻以降、YouTubeでヘルソン市内の様子を発信してきた。

撮影した映像をみると、スーパーマーケットには多くの商品が並び、広場では家族やカップルで過ごす人々の穏やかな姿も確認できる。

発信を続けるコンスタンチンさんに話を聞いた。

――ヘルソンの状況を教えてください。
2月24日に空港あたりで爆弾の音が聞こえ、煙が見えたことから戦争が始まったのだとわかりました。数日間にわたり(ヘルソン市近郊の)アントノフ橋周辺での戦闘が続いていましたが、3月になるとロシア軍が市内に入ってきました。

その後しばらくは、すべての店が閉まっていましたが、いまは店も営業しています。クリミア半島を通る輸送ルートが確立され、ロシアから多くの商品が運ばれてきています。

逆にウクライナ製のものは少なくなっていて、商品の交代が行われています。スーパーマーケットでは、(ウクライナ通貨の)フリブナと(ロシア通貨の)ルーブルが両方使えるようになっています。ただ、ルーブルは市民にはまだ出回っていないです。最近では、ロシア系の銀行も市内にできました。

また、ロシアが年金受給者に対してルーブルで年金の提供を始めています。申請のために多くの人が行列を作っています。このまま続くと、だんだんルーブルがヘルソンの市場に入ってくると思います。

――生活の中で困っていることは?
インターネットの接続は問題があります。5月までは、ウクライナの携帯電話サービスをみんな使っていました。しかし、5月末か6月初旬にウクライナの携帯通信が切断されました。そして、ロシアの通信会社の携帯電話とインターネットのパッケージが売られるようになりました。ほかに方法がないので、いまはそれを使っています。

ロシアの通信会社のため、大半のウクライナのニュースサイトなどはブロックされ、代わりにウクライナでブロックされていたロシアのニュースが読めるようになりました。

VPN接続すれば、自由に読みたいニュースを読んだり、YouTubeにアクセスしたりできますが、VPNが使えないと外の情報にアクセスできません。

■“ウクライナの英雄”ポスターは破られ…「親ウクライナ」住民は市外へ
“英雄”ポスターを破る人々コンスタンチンさんが5月に撮影した動画に映っていたのは、ポスターを破る男性の姿。ポスターは、ウクライナの民主化運動で死亡した人々を「英雄の100人」として称える内容のものだという。

破っていたのは、「ヘルソン市民で親ロシア派」と名乗る人々。カメラの前で、民主化運動について「ナチスの痕跡」「これは私たちの歴史ではない」と切り捨てた。

コンスタンチンさんは、ロシア軍の占領下で、多くの「親ウクライナ」住民は市外に脱出したと話す。

――ロシアに反発する市民はいますか?
当初は、抵抗する市民もいました。大人数のデモも行われましたが、主催者は逮捕され、その後、多くの人がヘルソン市を離れていきました。特に、ウクライナを強く支持する人たちの多くが避難しました。

今も、夜にバーなどで座っていると、ウクライナの歌を歌ったり、ウクライナを支持したりしている人もみかけます。ただ、デモなどの行動を起こせば、ロシア側から何らかの対応をされるかもしれません。

■両サイドに“嘘”…そのまま伝えたい
コンスタンチンさん――なぜヘルソン市内の映像を発信し続けているのですか?
みんなに、実際に何が起きているのか知ってほしいからです。ヘルソンについて報じられていることは、現実とは違うことも多くあります。ロシア側もウクライナ側も、どちらも嘘をついていると思います。

ロシアは、支援物資の配給を行ったり、年金をルーブルで給付したりしている様子を積極的に報じています。しかし、実際には長い行列ができていて、なかなか受け取ることができません。また、ルーブルも、まだほとんど一般の人たちには出回っていません。

一方、ウクライナも「ヘルソンが危ない場所だ」と、住民に恐怖を与えようとしています。私自身も、ロシアのSIMカードが販売されている様子をYouTubeで配信したところ、ウクライナのサイトで「ロシアの協力者」として扱われてしまいました。

私はただ、街を歩きながら、見たものをそのまま配信しています。そうすることで、見た人が何が起きているのか、知ることができると思うのです。

――今後、ヘルソンの街はどうなると思いますか?
「ロシア化」の試みが今後どうなるかわかりませんし、ウクライナがヘルソンを奪還しようとすれば、多くのものが破壊されるでしょう。ロシアもウクライナも、政治家たちが政治的なスローガンを使って、どちらかを支持させようとしていますが、私はこれに参加しないようにしています。

私は、生まれ育ったヘルソンという場所が好きで、できるだけ家族でこの場所で暮らしたいと思っています。ただ、平和に暮らせることだけを望んでいます。【7月23日 日テレNEW】
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ヘルソン州では7月半ばからウクライナ軍が攻勢を続けており、南部奪還作戦に着手したとの見方が強まっています。

****ウクライナ軍 ロシア軍補給路の橋攻撃 ロシアは支配目標拡大か****
ウクライナ軍は、南部ヘルソン州でロシア軍が支配する、要衝の橋を攻撃するなど、ロシアに支配された地域の奪還を目指して反撃を続けています。

一方、ロシアのラブロフ外相は、東部2州にとどまらず南部など周辺地域の掌握も視野に入れていることを明らかにし、「ロシア化」を進めたい思惑もあるとみられます。

ロシア国防省は20日、東部ドネツク州の武器庫などをミサイルで攻撃したほか、南部オデーサ州ではアメリカの対艦ミサイル「ハープーン」を破壊したと発表しました。

一方、ウクライナ軍はロシア側が掌握したと主張する南部ヘルソン州などで反撃を続けています。

ヘルソン州の親ロシア派勢力の幹部は、ロシアのメディアに対し、ウクライナを縦断するドニプロ川にかかる要衝の橋が、ウクライナ側に攻撃されたと明らかにしました。

親ロシア派勢力は、橋の攻撃に、アメリカが供与した高機動ロケット砲システム=ハイマースが使われたと主張した上で、「被害は深刻だ」としています。

イギリス国防省は20日、この橋は、ロシア軍が物資を補給し、部隊を移動させるために必要なルートだったと指摘し、ドニプロ川を渡る手段をめぐる攻防が、今後の南部の戦況をうらなう重要な要素になると分析しています。

こうしたなか、ロシアのラブロフ外相は、20日国営通信社が伝えたインタビューで「今や地理的な目標は変わった。ドンバス地域だけでなく、ヘルソン州やザポリージャ州、さらにほかの地域も含まれる」と述べ、東部2州にとどまらず、南部や南東部など周辺地域の掌握も視野に入れていることを明らかにしました。

また「欧米側はウクライナに射程の長い兵器を供与し、状況を悪化させている。地理的な目標は、今後さらに広がるだろう」と述べ、ウクライナへの軍事支援を強める欧米をけん制しました。

プーチン政権はこれまで、ロシア系住民の保護を名目として東部2州の掌握を作戦目標に掲げてきましたが、ラブロフ外相の発言は、支配地域の目標を拡大するもので、東部2州以外への攻撃も正当化するとともに、掌握した地域を将来、一方的にロシアに併合することも視野に入れ、南部などで「ロシア化」を進めたい思惑もあるとみられます。【7月21日 NHK】
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