孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

デング熱  日本国内で感染 温暖化の影響で感染地域拡大

2014-08-28 22:36:43 | 疾病・保健衛生

(代々木公園での蚊の駆除作業 【8月28日 NHK】)

エボラ出血熱は感染者2万人超?】
西アフリカのエボラ出血熱は相変わらずの猛威をふるっており、「制御できない状態」が続いています。

****エボラ熱感染、2万人突破も=封じ込めに6~9カ月―WHO****
世界保健機関(WHO)は28日、西アフリカのエボラ出血熱について、「実際の感染者数は(公表人数より)2~4倍多い可能性がある」との見解を発表した。

感染国では6~9カ月で封じ込めを目指すが、収束までに2万人を超える感染者が出る恐れもあると予測。

対策費は今後6カ月で約4億9000万ドル(約510億円)に上ると試算した。

WHOによると、リベリア、ギニア、シエラレオネ、ナイジェリア4カ国の26日時点の死者は、疑いを含めて計1552人、感染者は3069人に達している。【8月28日 時事】 
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致死率50%としても、死者が1万人を超えることもあり得ます。

約510億円で封じ込めができるなら、国際社会で分担すれば随分安い費用にも思えます。特に、戦闘・紛争で湯水のごとく浪費しているおカネに比べれば。本当に“封じ込め”ができるなら・・・・。

デング熱:感染源は代々木公園
そんな折、ある種の蚊で媒介される熱帯・亜熱帯性ウイルス病であるデング熱患者が日本でも見つかったことが話題になっています。感染源は東京・代々木公園のようです。

****代々木公園で蚊に刺されたか 都が駆除進める*****
熱帯や亜熱帯の地域で流行している「デング熱」に、海外への渡航歴のない埼玉県の20代の女性と東京都の20代の男性が、新たに感染していたことが分かりました。

2人は、27日に「デング熱」への感染が確認された埼玉県の10代の女性と同じ学校の学生で、いずれも東京・渋谷区の都立代々木公園で蚊に刺されて感染した疑いがあることから、東京都は念のため、公園内で蚊の駆除を進めています。

新たに感染が確認されたのは、埼玉県の20代の女性と東京都の20代の男性で、このうち女性は症状が落ち着いているということですが、男性は発熱の症状があり、都内の病院に入院中だということです。

「デング熱」は蚊が媒介する感染症で、ヒトからヒトには感染しません。

「デング熱」については、27日に国内でおよそ70年ぶりに、埼玉県の10代の女性が感染していたことが分かりましたが、埼玉県や東京都によりますと、2人はこの女性と同じ都内の学校に通う学生で、全員海外への渡航歴はないということです。

3人は今月の初旬から20日ごろにかけて、東京・渋谷区の都立代々木公園でダンスの練習などをしていた際、蚊に刺されて感染した疑いがあるということです。(中略)

念のため、3人が蚊に刺されたとみられる場所の周囲を29日朝まで立ち入り禁止にして、薬剤を散布して蚊の駆除を進めています。【8月28日 NHK】
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デング熱の症状は、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、皮膚発疹などですが、ほとんどの場合、問題なく順調に回復するそうです。
ただ、まれに生命を脅かすデング出血熱に移行します。

“治療せずに死亡に至る割合は1~5%で、適切な治療を行えば、その割合は1%を下回る。”【ウィキペディア】

先進国製薬会社にとって研究開発が採算がとれない多くの熱帯病同様に、デング熱も特効薬はなく、対症療法で重症化を防ぐことになります。

【「感染拡大は非常に速い。新たな地域でも確認がされている」】
これまでも、海外旅行者が日本帰国後に発症することはしばしばあり、昨年は249人が発症しています。
ただ、今回は日本国内で感染したということで注目されています。

デング熱のウイルスを媒介する蚊は、主にヒトスジシマカとネッタイシマカの2種類です。
感染力はネッタイシマカの方が強いのですが、日本国内に生息するのはヒトスジシマカと見られています。
ヒトからヒトへの感染はありません。

このヒトスジシマカの生息地域は、年間の平均気温が11度以上の地域とほぼ重なっていて、温暖化の影響で北上しているそうです。

戦後の昭和25年に行われた調査では、生息する地域の北限は栃木県の北部でしたが、50年後の平成12年の調査では秋田県の北部で確認、その10年後の平成22年の調査では青森県の一部でも確認されています。【8月28日 NHKより】

対応としては、水たまりなどの清掃といった環境をきれいに保ち蚊の発生を防止すること、体の免疫力を維持して、刺されても発症しないようにすること・・・でしょうか。

WHOによると、世界の総人口の40%以上にあたる25億人以上がデング熱感染のリスクにあり、毎年世界では5000万~1億件のデング熱感染が報告されているそうです。

特にアジア地域では非常に多い疾患で、4年前の2010年にもアジア一帯で大流行しました。
2010年10月13日ブログ「アジア各国でデング熱の感染拡大」http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20101013

****デング熱、アジアで感染拡大****
蚊が媒介する感染症で有効な治療法が無いデング熱がアジアで広がっている。英連邦競技大会(コモンウェルス・ゲームズ)が開催中のインドでは、20年ぶりに多い感染者数となっている。

デング熱は感染拡大の速度が最も速い感染症の1つ。世界保健機関(WHO)は、デング熱が「この数十年で劇的に拡大」しており、世界で25億人が感染の危険にさらされていると警告した。

WHO高官によれば、感染の危険にさらされている人のうち70%がアジア地域の人びとだという。

アジア地域で感染が増加した主な原因には、気候変動により気温が上がったことや、人口増加、外国旅行の増加などが挙げられる。

また、都市部の蚊の生息数が急速に増えたことにより、これまでよりも多くの人びとがウイルスに接触する機会が増えたという。

WHOの統計によると、ことしに入り8月までに報告された感染者数がアジア地域で最も多かったのは、インドネシアの8万65人。次いでタイが5万7948人、スリランカが2万7142人だった。

WHOアジア地域のヨゲシュ・チョードリー氏は、デング熱が国内でまん延するだけでなく、これまでに感染例の少なかった国にも広がっていると指摘し、「感染拡大は非常に速い。新たな地域でも確認がされている」と語った。(後略)【10月12日 AFP】
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上記WHO関係者の「新たな地域でも確認がされている」という発言のとおり、今回日本でも・・・という話です。
今後、温暖化が進めば、日本でもマラリアなども発生するのかも。

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マラリア媒介蚊は日本に2種類います。比較的軽症の三日熱マラリアを媒介するシナハマダラカは日本全国に広く分布しています。

一方、重症の熱帯熱マラリアを媒介するコガタハマダラカは沖縄の宮古・八重山諸島に分布していますが、今のところ、沖縄本島では見つかっていません。

温暖化が進めば、沖縄本島から、九州南部、四国の太平洋地域まで拡がるといわれています。【地球環境センター】http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/22/22-2/qa_22-2-j.html
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マレーシアでも感染者・死者が急増
個人的な話になりますが、今度の日曜日から8日間ほど、マレーシアのマラッカに旅行します。
当然、マレーシアはデング熱発生地域ではありますが、「最近の状況はどんなものだろうか?」と調べてみると、あまり芳しくありません。

当局発表によれば、マレーシア国内で今年1月1日~8月2日の7カ月間に見つかったデング熱感染者は5万6810人(昨年同期間は4万756人)、死者は110人(同32人)とのことで、感染者、死者ともに昨年より急増しています。

マレーシア政府当局も対応に取り組んではいるようです。

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マレーシア保健省はデング熱の感染拡大を防ぐための対策を行っており、国民に対しても自宅の周辺などでデング熱を媒介する蚊の繁殖がしやすいような環境を作らないよう呼びかけている。

また、実際に蚊が繁殖しやすいような環境がないかどうか2週間に1度調査を行っているという。

全国の病院ではデング熱の患者に対応するための体制を整えている。【2月8日 エマージング・マーケット】http://response.jp/article/2014/02/08/216807.html
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普段、ゲストハウスみたいな所を利用するときは蚊取り線香を持って行きます。(忘れることも多いですが)
今回のマレーシア旅行は格安(1泊3500円程度)ではありますが、一応ホテルを利用する予定です。

電気蚊取りでも持参しようか・・・でもかさばるし・・・・蚊取り線香はホテル室内では煙いし・・・・と迷っていますが、実際問題としては、デング熱より信号のない道路の横断の方がはるかに危険です。
以前クアラルンプールでは、横断しているとき車にはねられそうになりました。

2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)で大騒ぎになったときも、中国・東南アジア方面の旅行の際、「せめてマスクをして・・・」とも思ったのですが、暑くて1日でやめてしまいました。

まあ、普通の人の危機意識というのはそんなものでしょう。だからこそ、多くのリスクの中でも生きていけるとも言えますが。
コメント
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