
【倍速ビデオ】
インドネシア旅行を終えて、今朝自宅に帰りました。
昨夜、福岡に到着したのですが、飛行機の遅れのため最終の新幹線に間に合わず、熊本で1泊することになりました。
まだ、旅行中のニュース等の整理ができませんので、今日もインドネシアでの話を。
上の写真は、27日、インドネシア第2の都市、スラバヤ市内を散策した際に訪れた「サンプルナの家 House of Sampoerna」で撮影したものです。
「サンプルナの家」は、インドネシアの大手たばこ会社の博物館ですが、たばこ工場を併設しており、その様子を博物館内から見学できます。
写真のように、大勢の整列した女性たちが紙巻たばこをつくっています。
(撮影禁止だったのですが、気づかず撮ってしまいました。)
台の上に1本分の刻みたばこを置いて、紙をセットして巻きます。
それで1本の紙巻たばこができるわけですが、それを延々と繰り返します。
よく見ていると、熟練者も初心者もいるようで、そのスピードは様々です。
なかには、驚くようなハイペースで作業している女性もいます。体全体でリズムをとりながら超高速で手を動かす様子は、倍速あるいは3倍速ビデオを観ているようです。完全にたばこ製造マシンと化しています。
ある意味、ブロモ山やイジェン火口などより興味深い光景でした。
おそらく、給与は出来高制なのでしょう。
そのスピードも驚異的ですが、この超高速ペースを1日続けられるとしたら、それはもっと驚異です。
素人考えでは、紙巻たばこの製造は、一番機械化になじみやすい簡単な単純作業に思われますが、ここでは昔ながらの手作りでやっています。
賃金が安く、大量の労働者を潤沢に雇用できる・・・というのは、東南アジアにあっても、もはや過去の話になりつつあります。
周辺国から合法・違法の大量の労働者が流入しているタイなどは、そうした海外からの労働者をいかに今後とも確保できるかという、労働者不足が成長のネックになる懸念が現実のものとなっています。
このたばこ会社、あるいはインドネシア全体のたばこ会社では、すべてこのような手作りを行っているのか、観光用に敢えて手作りでやっているのかは訊きそびれました。(訊こうとしても、私の英語力では難しいところですが)
【「たばこ天国」】
世界的な“たばこ迫害”の波によって、私のような喫煙党の残党はその行き場を失いつつありますが、インドネシアは世界最高の喫煙率を“誇る”「たばこ天国」です。
最近の大規模ハブ空港で喫煙室を探すには、ものすごい距離を歩き回る必要があります。やっと見つけても、建物から隔離されて、エアコンの効かない外界につながった部屋だったり、換気が恐ろしく悪かったり・・・。そもそも喫煙スペースが一切ない空港もあります。
スラバヤで一番大きいショッピングセンター内のフードコートに併設された喫煙室は感激でした。
冷房はフードコート内より効いており、換気もよく、吸い終わってもしばらくそこにいたいような部屋でした。
欧米の旅行者はほとんど吸いませんが、そのなかで地元インドネシア人だけが手にたばこを持っているという光景はしばしば目にします。
****喫煙率世界一はインドネシア男性、67%****
11日公表された調査報告で、世界の国別、男女別で喫煙率が最も高いのはインドネシアの男性であることが分かった。同国の15歳以上の男性の喫煙率は67%に上る。
調査は世界保健機関(WHO)と米疾病予防管理センター(CDC)の支援によって昨年、行われたもので、インドネシアの8000人が参加した。国別ではインドネシアの喫煙率は35%と、ロシアの39%に続く世界2位。また、80%の人が自宅で副流煙の影響を受けていることも分かった。
インドネシア保健省の幹部によると、同国男性の喫煙率は1995年の53%から67%に上昇した。同氏は「たばこ産業に負けた形だが、われわれはこの事実を受け入れることができない。われわれの仕事が国民をたばこの害から守ることだからだ」と話した。
AP通信によると、インドネシアではたばこが割安で広告が多数あり、毎年少なくとも20万人がたばこに関連する疾患で死亡している。「たばこ業界への管理が徹底していない」と、政府を非難する声も大きい。【2012年9月12日 livedoor News】
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【経済成長が喫煙を助長】
保健衛生関係者の嘆きにもかかわらず、インドネシアでは経済成長で所得が向上したため、かえって喫煙率が上昇するという現象があるとか。
****インドネシア所得増 喫煙を助長 医療費軽減へ規制・増税も効果薄****
インドネシアは政府による規制や増税にもかかわらず喫煙者が増加している。皮肉にも経済成長が喫煙を助長している格好だ。現地紙ジャカルタ・ポストなどが報じた。
国立インドネシア大学は、政府が規制強化などの対策を講じない場合、同国の喫煙者数は現在の7400万人から2020年に1億4000万人に増加すると予想。将来的に医療費が増加する恐れなどがあり、専門家の間で懸念が広がっている。
国際非政府組織(NGO)の東南アジア・たばこ規制連盟(SEATC)によると、01年にインドネシアでたばこが原因とみられる疾病による死亡者数は2万人。同様の疾病に対する国の医療費支出は125兆9000億ルピア(当時のレートで約1兆4980億円)で、たばこ税収の7.5倍だった。
こうした状況に加えて、若年層の喫煙が野放しだとする国際的な批判もあり、インドネシア政府は昨年12月、たばこ規制策を講じると発表した。18歳未満や妊婦への販売を禁じ、製品外装の40%のスペースを使った警告表示を命じるほか、たばこ製品のメディアでの広告に制限を設けるなどの内容だ。
しかし、同規制は違反した場合の罰則規定がないことなどから、効果を疑問視する声が多い。さらにインドネシア政界はたばこ業界から献金を受けている政治家が多く、たばこ業者が「順応するため」として同規制の適用に対して18カ月の猶予期間が設けられたこともあり、政府の姿勢を疑う声も後を絶たない状況が続いている。
またSEATCは、経済成長による所得上昇と中所得層の増加もインドネシアの喫煙者増の一因だと指摘している。同国で平均的な20本入りのたばこ製品100箱の購入に必要な金額は、1人当たり国内総生産(GDP)比で01年の0.06%から10年には0.03%に低下し、消費者がたばこを買いやすくなった形だ。
同国政府は税収増を目指して12年にたばこ製品に15.5%の増税を実施。今年も8.5%の増税を実施したが、所得上昇などで吸収され、喫煙者減の効果は上がっていないという。インドネシア大学は、同国のたばこ消費量が09年の2510億本から12年には3020億本に増加したとし、今年も増加傾向が続いていると分析する。
同大の研究者は、インドネシアのたばこ製品にかかる税率は小売価格に対して46%と、タイの70%やシンガポールの69%に比べて低いと指摘、「政府は税率を70%に引き上げるとともに、国民の喫煙に対する意識を変える努力をすべきだ」と主張した。
「たばこ天国」とも言われるインドネシアで喫煙者を減らすことができるか、取り組みをはじめた同国政府の今後の動向が注目される。【7月3日 Sankei Biz】
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インドネシアの一般的なたばこの価格がどれほどかは知りませんが、マールボロを買ったところ15,000ルピアでした。日本円で150円です。
なお、一番ポピュラーな食事であるナシゴレンやミーゴレンは安い食堂ワルンで10,000ルピア、ショッピングセンター内のフードコートの食事は多くは30.000ルピア前後です。
人力で漕ぐリキシャ(ベチャ)に乗れば、1~2kmの距離で10,000ルピア程度といったところでしょうか。